
中島健人が7月26日、東京ガーデンシアターにて全国ライブツアー「“IDOL1ST 中島健人”LIVE TOUR 2026」の最終日公演を開催。2月26日の京都公演を皮切りに、全国10都市27公演を駆け抜け、計7万8500人を動員した本ツアー。ここでは、ツアー最終日・昼公演の模様をレポートする。
■中島健人だけができるエンターテインメント
「3000年前の前世でも中島健人がアイドルだったとしたら――」
そんな突拍子もない想像すら、彼なら現実のものとして受け入れたくなる。それが中島健人というアイドルの魅力だ。
長くケンティーを追いかけているファンなら、一度は思うのではないだろうか。「よくそんな角度のテーマを思いつくな」と。しかし、中島健人はそういうアイドルだ。まだ誰も踏み入れていない場所を切り開き、ソロアイドルとなってからも、楽曲制作やステージ演出、ライブグッズに至るまで、独自のエンターテインメントへのこだわりを貫いてきた。その大胆かつユニークな発想は、笑って流すのではなく「信じるほうがきっと楽しい」と思わせてくれる。それこそが、中島健人のすごさなのだ。
「“IDOL1ST 中島健人”LIVE TOUR 2026」は、まさに彼にしか作り出せないエンターテインメントが凝縮された空間となっていた。古代の遺跡を思わせるセットには2体の石像が置かれ、オープニング映像ではイタリアのコロッセオを彷彿とさせるコロシアムに群衆が集う。映像の世界観と呼応するように、U:nity(ファンネーム)は中島考案のライトスティック「IDOLICの魔法」を掲げて光を放つ。
「IDOL1ST!」「ケンティー!」というコールが響き渡ると、神話から舞い降りたアイドルが現代によみがえったように、中島がステージに登場。古代をイメージしたという白×ゴールドの衣装に身を包み、顔の右側を仮面で覆った状態で1曲目「SOL1ST」を披露し、曲の途中で仮面を外した瞬間は割れんばかりの歓声が。細部まで物語を描き切る演出力は、さすがの一言だった。
■「必ずU:nityを東京ドームに連れて行きます!」
セットリストは、2月18日にリリースされた2ndアルバム「IDOL1ST」の収録曲を軸に、幅広い楽曲と映像演出によって、中島健人がアイドルとして生きること自体が“運命(=宿命)”なのだと感じさせる物語へと導いていく。
「IDOLIC」では上着を肩まで下ろし、鍛え上げられた二の腕を披露。「MONTAGE」では一切隙のないパフォーマンスで会場を圧倒する。続く「Celeste」では青いバラを手に歌唱。二分割されたモニターには、短髪姿も印象的な過去に自作した同曲のMVと、イタリア滞在中の優雅な姿が映し出され、伸びやかな歌声と相まって観客を夢見心地へと誘った。
ピンクの衣装へとスタイルチェンジすると、女性ダンサーを迎え入れた文字通りスウィートな演出で会場を魅了。「LIGHTNING」ではゲーム画面を模した遊び心ある演出を展開し、さらにソロ曲を“ver2.0”として披露する「カレカノ!!」「SHE IS...LOVE」は会場の熱気をさらに高めていく。そして迎えた、自身が作詞・作曲を手がけ、TikTokを中心に広がった「最初はキュン!」。会場中から巻き起こるコールの声量は圧巻だった。客席が一体となって声を届ける光景は、まさに中島健人だからこそ生み出せる空間。甘く華やかで少し予測不能――そんな“ケンティーワールド”が会場全体を包み込んだ。
MC中の公開囲み取材では、「何年かぶりにやります!」と本人も嬉しそう。準備のため一度裏へ回り、中島たってのリクエストでU:nityが「若君~!」と声を合わせると、艶やかな“若君”ルックで登場した。8月19日発売の3rdシングル「鬼事」の“若君”を思わせる艶やかな和装姿には、会場のあちこちから「カッコいい!」という声が飛んでいた。
いざ取材が始まると、約半年間にわたるツアーについて「27公演やっているんですけど、U:nityとの絆がさらに深まりました」とコメント。さらに「日本中の方々に聴いていただけるような“ケンティーソング”を絶対に作りたい」と今後の楽曲制作への意欲も。また、同日に先輩の山田涼介がソロで東京ドーム公演を開催していることに自ら触れ、「ソロとしてドームに立っている姿はとてもリスペクトできます」と語った中島。「僕もソロアイドルとして必ずU:nityを東京ドームに連れて行きます!」と力強く宣言すると、その約束を一緒にかなえようとするかのような大歓声と拍手に包まれた。
■「最初も最後もキュンは俺だけだ」
扇子や花びらを使った和の世界観の「鬼事」、巨大な羽根を背負って歌唱した「Waraigusa」へと続き、後半戦は「XTC」で再び仮面を装着。全力を出し切った後には「どう? 俺のエクスタシー感じた?」と問いかける一幕もあり、4階席、3階席と細かく客席の反応を確かめる姿も印象的だった。どんな会場でも、一人ひとりに届けようとする細やかなファンサービス。その姿勢もまた、中島健人というアイドルを形作る大きな魅力だ。
本編ラストは「Uni:verse」。浮遊感のある楽曲に乗せてU:nityも大合唱し、会場にはまるで愛の結晶が具現化したような景色が広がった。アンコールでは「JUST KENTY☆」「CANDY~Can U be my BABY~(remix)」という、ケンティーが誇るアイドルソングを立て続けに披露。さらに彼を求める声は止まず、恒例となっている「ピカレスク」の大合唱が起こるとダブルアンコールへ突入。最後に届けたのは、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックTEAM JAPAN公式応援ソング「結唱」。力の限り歌い切った中島は、「愛してるよ」と言葉を残し、ピースサインを掲げてステージを後にした。
かつて「ピカレスク」で見せていた葛藤や痛みを乗り越え、その後、猛烈な勢いでアイドルとしての道を突き進んでいる中島健人。その姿から感じるのは、揺るぎない覚悟と、アイドルであり続けることへの強い意志だ。また彼の魅力は、パフォーマンスだけではない。セットリストの合間やMCで放たれる言葉たちは、どれも強烈なインパクトを残す。
「俺だけにキュンしてる? 最初も最後もキュンは俺だけだ」
「熱中症、気をつけてね。あ、太陽じゃなくて、俺に」
この日も、思わず書き留めたくなるような言葉が多く飛び出し、それらはもはや独自のエンターテイメントとして成立している。「この言葉が刺さる! ケンティーフレーズ辞典」のようなものを早く作ってほしい。
もちろん、パフォーマンスや振る舞いも一級品だ。ステージ上の中島を見ていると、時折、客席を愛おしそうに見つめる瞬間がある。この日も、そのまっすぐな眼差しに心を奪われたU:nityは多かっただろう。そう、まるで魔法にかけられたように。
「日本のどの時代に俺が生まれても、きっとアイドルとしての人生を過ごしていたと思う。だから、日本中、世界中のどこにいても、時代が違っても、僕たちは出会えていたと思います」
こんな言葉を、真正面から、何のためらいもなく届けられる男性アイドルがほかにいるだろうか。最強のアイドル・ケンティーの物語が、逆に3000年後は“神話”になっているかもしれない――。そんなことすら信じてみたくなる、目には見えない魔法のような力に心を揺さぶられるライブだった。
◆取材・文=川倉由起子

