ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフをよりよいものにしていくためにさまざまなことを考え、走り続けている。どんなことを考え、どのようにゴルフと向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。
「プロ3戦目でいきなりプレーオフ」

──プロ1年目(インタビュー時は2025年)ですが、開幕戦に向けて、とくに取り組んだことはありますか?
中村 筋力アップと体重増加を目指して、プロ野球選手と一緒にトレーニングをさせていただきました。これから毎週試合となると、この体格では厳しいかと思っていたので。
──その効果は?
中村 まわりの人から「体が大きくなったね」といわれました。また、スイング動画を見て、自分でもガッシリしたなと実感しています。
──たしかに「アスリート感」が増しました。飛距離は?
中村 250ヤードを超えるようになったし、打球が強くなったともいわれるので、トレーニングの効果が出ていると思います。
──シーズンがはじまって、ここまでの手応えは?
中村 目標としていたプロの舞台に立てたことがうれしくて、初戦は楽しんで回れたのを覚えています。今はまだうまくいかないことのほうが断然多いですが、マネジメントや、番手選びなどをプロキャディさんに教えていただいたり、同組の先輩たちの上手なプレーを参考にしたり、毎日いい経験をさせてもらっています。
──経験のある選手との違いは、どんなところにある?
中村 たとえばパッティングのとき、上位で戦っている選手は、ボギーを打ってしまいそうな場面でもしっかりパーで凌いでいますよね。そういうときに、強い選手の力を感じます。
──プロになってはじめて優勝争いをした4月の「富士フイルム・スタジオアリス」で見た中村プロのパッティングは、強い選手のオーラを感じました。その試合を少し振り返ってもらえますか?
中村 最終日の最終ホールまでトップに立っていて、最後のホールも2オンして下りのスライスライン、カップまで残り2メートルくらい。手も動いていたし、思ったところには打てたのですが……。
──入れば初優勝でしたが、残念ながらボールはカップに蹴られてしまいましたね。そのあと3人でのプレーオフに突入しましたが、そのときの心境は?
中村 プレーオフははじめてのことだらけで緊張していたので、どんな気持ちだったかほとんど覚えてないんです。結局1ホール目でまたもカップに蹴られてしまって。
──惜しかったです。でも堂々のナイスプレーでした。
中村 今思うと運命だったというか「もっと修行しなさい」って神様にいわれているように思いました。もちろん勝ちたかったですけど、勝てなかったからこその経験があるはずと思って、今はとても前向きにガンバれています。
「前を向いてポジティブに悩むんです」

──ここまでのプレーを自己採点すると何点くらい?
中村 25点くらいです。
──かなり厳しい評価ですね。これから磨いていかなければならない部分は?
中村 まずはアプローチとパッティングです。毎週変わるコースに対応するには、ショートゲームの技術をもっと身につけたいです。
──引き出しが増えれば、もう少し上位で戦える?
中村 各部分がほんの少しずつよくなっていけば、戦っていける自信はあります。
──その自信は大事ですね。くよくよと悩んだりはしない?
中村 悩みますよ(笑)。でもネガティブではなくて、ポジティブに前向きに悩んでいます。
──ギャラリーに見てもらいたいプレーは?
中村 ドライバーと、ピンをデッドに狙っていくアイアンショットが私の得意なプレーなので、そこを見てもらいたいです。
──目標とする選手はいますか?
中村 アタヤ・ティティクル選手です。
──彼女のどんなところが?
中村 高校生のときに「TOTOジャパンクラシック」を観戦に行ったんですけど、そのすごいショット力と明るいキャラクターに、すっかりファンになってしまいました。ティティクル選手と一緒にプレーする、それが今の私の夢です。
──将来は海外でのプレーを考えていますか?
中村 はい。高校卒業後にナショナルチームに入って、海外での試合中に外国の選手のレベルの高さに驚いて、ここで戦ってみたいという気持ちが強くなりました。ただ食事面で少し不安が……。
──今季から米ツアー参戦の山下美夢有プロも、食べ物問題は最後まで心配していましたね。
中村 そうだったんですね。私はオーガスタで試合をしたときに、日本からインスタント味噌汁をもっていったのですが、現地でお米が手に入らなかったんです(笑)。しょうがないのでパンやポテトばかり食べていました。実際に行くときには、お米問題をクリアにしてからの参戦になりそうです。
──同期の入谷響プロの初優勝は刺激になりましたか?
中村 はい。私もルーキーのなかで優勝1番乗りを狙っていたので、本当は悔しい気持ちもありますけど、私自身の目標である「ルーキーイヤーで初優勝」を達成できるように、これからもガンバっていきます。
──「思えば叶う」ですね。ガンバってください! 気分転換にはどんなことを?
中村 ちょっと前にちゃんとしたカメラを買って、写真を撮りはじめました。最終的には「月」を撮りたいんです。でも、そのためには高価な望遠レンズが必要で、それを買うためにゴルフをガンバろうと思っているくらいです(笑)

インタビュー中に彼女は「いい経験」という言葉を何度も口にした。まだプロ1年目、うまくいかないのが当たり前と割り切れている印象だった。ただ「今年中に初優勝」という目標に変更がないことも、同じく何度も口にしている。悩んで、もがいて、はい上がろうとするルーキー。
この経験が血となり肉となって、つねに上位で戦える選手へと成長していくのだ。今思うに、あのウイニングパットが入らなかったことが、彼女のゴルファー人生に、より多くの経験をもたらしているといえるかもしれない。
前進できるのは前を向く者だけ。今シーズンが終わったとき、中村心はどの地点にいるのか。きっと年末のアワード(表彰式)で、満面の笑顔を見せてくれるだろう。
いかがでしたか? これからの中村選手の活躍が楽しみですね。
文=ひよこきんぎょ
写真=小林司
撮影トーナメント=ワールドレディス サロンパスカップ

