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AI時代に「誤解」の拡散も… 『ガンダム』人気を決定づけた「MSV」は異ジャンルの掛け算だった?

AI時代に「誤解」の拡散も… 『ガンダム』人気を決定づけた「MSV」は異ジャンルの掛け算だった?


「MSV」のなかでも知名度の高い機体のひとつ、「HGUC MSV MS-06R-2 ジョニー・ライデン専用ザク 1/144スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

【画像】「えっ、貴重…」「幻だったんだ」これが80年代の少年たちが切望した「MSV」ガンプラです(4枚)

発売まで3年、多様な「土台づくり」があった?

『機動戦士ガンダム』をベースとして模型企画として誕生した「モビルスーツバリエーション(MSV)」は、今では多くのファンに知られ、楽しまれているコンテンツですが、その誕生に至るまでには複雑な経緯がありました。

 MSVは1983年4月から『ガンダム』のプラモデル、通称「ガンプラ」として販売を開始します。しかし最初からガンプラ用の企画だったわけではありません。その原点は書籍で発表された描き下ろしのMSでした。

 講談社のムック「劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック」(1981年5月)で、『ガンダム』のメカデザイナーである大河原邦男さんによる「湿地帯用ザク」、「砲撃戦用ザク(後のザクキャノン)」、「水中型ザク(後のザク・マリンタイプ)」、「砂漠戦用ザク(後のザク・デザートタイプ)」のイラストが掲載されました。これが最初のMSVです。

 この後に刊行された系列書籍でも、「グフ」から「ドム」の開発経過機など、アニメをベースにした新型MSが掲載されました。これらのMSは大河原さんの手によるものですが、あくまでもアニメとは無関係のお遊び企画でしかありません。当時は今ほどキッチリと設定が作られていたわけではなかったのです。

 これと同時期、みのり書房からSFやミリタリー要素に特化した書籍「宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY」(1981年9月)が発売されました。ここには後にサンライズがオフィシャルに取り入れた設定が数多くあり、『ガンダム』の世界観に大きな影響を与えます。この本で文字設定のみ登場したのが、黒い三連星が搭乗した「MS-06R」でした。

 さらに1981年10月、講談社から子供向け雑誌「コミックボンボン」が創刊します。ここでTVに登場しないMSのイラストを大河原さんが描き下ろし、それを立体化するという企画が連載されました。時には『ガンダム』以外の作品もありましたが、読者の人気コーナーとなります。

 このように大河原さん描き起こしのMSデザインが頻繁に発表され、同時にアニメだった『ガンダム』の設定が考察により深掘りされてリアルな形に整っていきました。

 そして、これらとは異なる方角からの新風が、ガンプラにさらなる勢いを与えることになります。


「コミックボンボン」で連載された『プラモ狂四郎』第5巻(原作:クラフト団、マンガ:やまと虹一/講談社)

ガンプラを「子供たち」に届けた「新風」も?

 MSV誕生までファンを熱狂させたのもの。それは模型雑誌などの作例です。もともとガンプラ発売以前からフルスクラッチでMSを制作するモデラーはいました。ガンプラ発売以降はその勢いを増し、改造というエッセンスを加え、模型雑誌の中心となるくらい注目されます。

 さらに模型雑誌だけでなく、前述の「ボンボン」のような子供向け雑誌にもガンプラの作例は掲載され、その人気を支える一因となりました。こうしたモデラーたちが腕を振るうという点において、大河原さんが描き下ろしたMS群は、改造しがいのある立体物として注目の的だったのでしょう。

 一説によると、MSVという名称が初めて掲載されたのは模型雑誌別冊「HOW TO BUILD GUNDAM」(1981年7月)といわれています。もっとも模型雑誌は小学生には少々ハードルが高く、それゆえ「ボンボン」の需要は高かったといえるでしょう。

 さらに「ボンボン」で1982年2月号から連載を開始したマンガ「プラモ狂四郎」が、この流れを加速させました。小学生にも理解できるマンガという手法で、ガンプラ作りをわかりやすくした功績は大きなものです。

 こうした追い風のもと、ガンプラの商品展開に息詰まっていたバンダイはMSVのガンプラ化を決め、シリーズ展開することになりました。オリジナル企画であるMSVが成功したのは、前述した「土台づくり」といえる部分が時間をかけて行われたからでしょう。

 そしてMSVが成功した要因のひとつに、前述のマンガ『狂四郎』の存在がありました。アニメでは出てこないMSVも「狂四郎」の劇中では活躍し、プロモーションとして相乗効果で盛り上げたわけです。この「狂四郎」人気に支えられ、後に主役機「パーフェクトガンダム」が一般販売されました。

 こうしたアニメ、ガンプラ、雑誌などの複数のジャンルを紐づけることでMSVの誕生経緯は明確に見えてくると思います。近年では「点と点」だけでブームを推測する人もいるようですが、公式な情報や発言だけをなぞることで全体像は見えてくることでしょう。

 近年では、SNSで広まった誤情報をAIが学習して大事になるというケースもあるようですから、ガンダムにおいても、情報は慎重に精査する姿勢が必要かもしれません。

配信元: マグミクス

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