2026年サッカーW杯北中米大会が終わったばかりというのに、記念すべき100周年となる2030年のスペイン、ポルトガル、モロッコの3カ国共同開催に赤信号が灯った。
国際サッカー連盟(FIFA)が発表した「W杯事業売却」「子会社設立計画」をめぐり、欧州サッカー連盟(UEFA)に加盟する全55協会が、この構想が撤回されない限り、FIFA主催大会を全てボイコットする方針で一致した。北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)もボイコットにまでは言及していないが、FIFAの構想撤回を求めている。
FIFAが発表したのは、W杯の商業権と運営を束ねる新会社FIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)を設け、株式の約20%を外部の投資ファンドなどに売る計画だ。スポーツビジネスに投資ファンドが介入することは決して悪いことばかりではない。高騰するチームの評価額に対応するため、2019年に米大リーグ(MLB)、米バスケットボール(NBA)、2024年にナショナルフットボールリーグ(NFL)が投資ファンドの参入を解禁している(10〜30%が上限)。
100年の歴史にアメリカ・スポーツビジネスの手法を…
今でこそ大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希が所属するドジャース球団も2011年、当時の球団オーナー、フランク・マッコート氏の放漫経営で破産法を申請。MLB管理下で球団は売りに出され、2012年3月にマジック・ジョンソン氏らの投資グループへ約20億ドルで売却され、再出発した。投資グループが大谷の二刀流に「ビジネスチャンス」を見出していなければ、大谷のメジャー二刀流は実現しなかっただろう。
だが、FIFAの「W杯事業売却」「子会社設立計画」がキナ臭いのは、JPモルガンから助言を受けたFIFAのジャンニ・インファンティノ会長の独断で決定したことにある。
さらに投資ファンドへの売却を主導するのは、米トランプ大統領の娘イヴァンカさんの夫ジャレッド・クシュナー氏の弟ジョシュア氏なのだという。
北中米大会でアメリカ代表選手のレッドカードをめぐり、政治介入したトランプ大統領と蜜月関係にあるインファンティノ会長が、100年の歴史があるサッカーW杯にアメリカのスポーツビジネスの手法を取り入れると決めてしまったのだから、サッカー発祥国のイギリスはじめUEFAがボイコットという宣戦布告をするのは当然だろう。
このままFIFAは分裂してしまうのか。
(那須優子)

