野球のトークイベント「『探球論REAL&LIVE』辻発彦×平石洋介」が、7月30日に都内で開催された。元東北楽天ゴールデンイーグルス監督の平石氏が、野球界で当たり前になっている打撃理論について私見を論じた。
同氏は、アマチュアではPL学園高、同志社大、トヨタ自動車と王道を歩み、04年に楽天からドラフト7巡目指名を受けて入団。11年にプロ生活に一区切りをつけ、32歳で指導者に転身した。2019年に38歳で楽天生え抜きとして初の一軍監督に就任など、常にリーダーシップを発揮してきた。
年齢に関係なく自分の意見をストレートに伝えてきた熱血漢は、同イベントの冒頭で現代の若者について尋ねられると、「真面目は真面目です」と強調。そのうえで、「ただ情報が、例えばSNS、YouTubeとか、いろんなものがあるので。例えばバッティングだったら、『こうしないとダメ』とか、少しもったいないと思うところはあります」と私見を述べた。
イベント終了後、囲み取材に応じた平石氏に改めてその真意を問うと、「昔は良かった、ではなくて。昔という言葉も一つにしたら、ダメですね」と丁寧に前置き。「例えば野球界で、当たり前に通っていた理論。脇を締めてバットは上から、最短でインサイドアウトというのは、僕らも小さい頃から教わってきた。それが正義でしたよね。だから、それが良いと言っているわけではなく今の時代、いろんな理論が出てきました」と説明する。
そのうえで「もちろん筋力も背丈もタイプも違う選手がいるなかで、一つ似たような理論がいっぱいありますよね。以前が良かったとか、今がダメではなく、結果的に確率の高いスイング、ボールの軌道に対して1点では難しいので、できるだけ長いポイントで打ちたい。でも、その実際の動きとイメージ、感覚とかの部分だけは、人それぞれ絶対に違います」と力説。「皆が同じイメージで振っても、同じ形にはなりません。『こうあったら絶対打てる』という答えもないですし、そんな形もないです。そこを人それぞれ、いろいろあっていいのでは」と、バッティングに明確な正解はないと伝えた。
「バッターは形だけではない部分があります。極端に言えば、ボールが来ている時に、まだ準備ができていなかったり、タイミングが明らかにとれていなかったら、間に合わないです。もう一つは、どれだけ効率のいい伝達の部分で、身体の連動性でどれだけ効率の良いスイングをしていても、ここに来ると思ったジャッジを間違ったり、ジャッジが合っていても、そこにバットを出せないなら必ず打てないので。だから形だけではないところもあります。でも、力の伝達で言えば効率はあると思います。だから、片方だけでは絶対ダメです」
自身はアマチュア時代にシュアな左の巧打者として名門チームの主軸として活躍したものの、プロでは7年間で37安打に終わった。その苦悩から、著書『人に学び、人に生かす』には、「二度と『平石洋介』を作らない」という記述がある。今後も平石氏は、指導者として打撃の難しさを伝え続けるのだろう。
取材・文●野口一郎(THE DIGEST編集部)
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