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『機動戦士ガンダム』あの兄妹関係もまさかの「後付け」 当初はなかった「設定」とは

『機動戦士ガンダム』あの兄妹関係もまさかの「後付け」 当初はなかった「設定」とは


のちの作品ではシャアとセイラの過去や未来の物語も展開。画像は「フルカラー版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」第10巻書影 原案:矢立肇、富野由悠季/作:安彦良和/メカニカルデザイン:大河原邦男(KADOKAWA)

【画像5枚】こちら「後付け」で肉付けされていった『ガンダム』を彩る美女たちです

緻密どころか…伝説を生んだ「現場のノリ」

 ロボットアニメに革命を起こした最初の『機動戦士ガンダム』は、のちに富野由悠季監督や脚本家陣が語ったところによると、意外にも制作現場のなかで肉付けされた設定やキャラクターも多かったようです。今となってはにわかには信じられない、ガンダムの「意外すぎる後付け設定」を振り返りましょう。

「まさか、兄さん?」シャアとセイラの兄妹設定

 ガンダムの人間ドラマを大きく動かす軸のひとつは、ジオン公国の「赤い彗星」こと「シャア・アズナブル」と、ホワイトベースクルーのひとり「セイラ・マス」が実の兄妹であるという運命的な設定です。第2話で、サイド7に潜入したシャアがセイラと遭遇し、お互いに面影を見出すシーンはあまりにも有名です。

 一見すると、のちに兄妹だと判明する計算された伏線に思えますが、当時はまったく決まっていなかった完全な後付けでした。

 2010年に発行された別冊GoodsPress「ガンダム世代のための超ガンプラ大全 GUNPLA」(徳間書店)に収録された富野由悠季監督のインタビューによると、「シャアやセイラを兄妹にするなんて、当初は全く考えていなかった」と打ち明けています。

 しかしサイド7での遭遇で、シャアがセイラに対して「似ている」と感じた関係性を保ちつつ、物語は進んでいきました。

 富野監督は、安彦良和作画監督やメカニックデザイナーの大河原邦男氏の才能と、4人の脚本家の合議のもと、偶発的なものを利用しながら取りまとめて方向づけをしていったようです。上述したインタビューで富野監督は「兄妹にしてみたら登場人物たちが自然に動いてくれた」とも振り返っています。

脚本作業のなかで生まれた憧れの女性「マチルダ」

 登場回数は少ないものの初期ガンダム世代に強烈な印象を残した「マチルダ・アジャン」も、企画当初にはいなかったキャラクターでした。

 同じく『ガンダム世代のための超ガンプラ大全 GUNPLA』収録の富野監督へのインタビューによると、「ある日、脚本家が勝手に“マチルダ”という登場人物を、ポンと台本に書いてきちゃった」といいます。その脚本を元に安彦氏が描いたキャラクターが現在のマチルダです。富野監督は「それをひと目見て『わー、これはいいねぇ』って、制作スタッフのみんなが気に入っちゃって、絵づらに似合う話をくっつけたんだ」と語っていました。

 そして、マチルダは重要な役に昇格して活躍する様子が描かれます。計算外だったのは劇的な効果を狙って戦死させたところ、「なぜマチルダさんを殺したんだ!」と視聴者から抗議を受けたことでした。

 その声に応えてマチルダを回想シーンで再登場させるため、ジャブローの宇宙船ドックの責任者「ウッディ大尉」を、マチルダの婚約者という設定にしたそうです。


富野監督は当初、「ニュータイプ」をどこまで考えていたのでしょうね。およそ20年後に発表された小説『密会 アムロとララァ』 著:富野由悠季/イラスト:NOCCHI (KADOKAWA)

それってあの物語の「根幹」では…?

脚本家にも知らされていなかった「ニュータイプ」

 ガンダムシリーズの代名詞と言っても過言ではない「ニュータイプ」という概念ですが、これも放送開始時にはなかった設定でした。

 第9話には、マチルダがアムロに対し口にした「あなたはエスパーかもしれない」というセリフがあります。つまりこの時点では、まだ「ニュータイプ」という設定や呼称がなかったことを示唆しているといえるでしょう。

『ガンダム者:ガンダムを創った男たち』(講談社)によれば、実際のところ4人の脚本家でさえも、富野監督からニュータイプの概念を聞かされたのは制作の終盤になってからだったといいます。

 脚本家のひとり山本優氏は同書で「ニュータイプに関しては、どこかで思いついたのを隠していたんじゃないかのな」と語っており、「正直なところ僕は最後まであの概念をつかみきれていないんです」と明かしていました。

 また、同書では脚本チームのチーフを務めた星山博之氏も「(難しかったのは)ニュータイプの表現です」と述べています。ニュータイプである「ララァ・スン」が初登場する第34話で、「ララァがニュータイプであること」を言葉ではなく映像で伝えるにはどう表現すればいいのかと悩み、富野監督もまたいいアイデアが思いつかなかったそうです。

 星山氏は苦心の末に、アムロの前でララァが白鳥の死を予見するという形で、ニュータイプの能力を具現化しました。そして、よくも悪くもニュータイプの概念の出現により、それまで、等身大の青春群像として描かれていたドラマが一気にそこへ集約されて、最終回へ向かっていったといいます。

※ ※ ※

 このように振り返ると、意外にも「後付け設定」こそ『機動戦士ガンダム』という作品の評価そのものを決定づけたと言っても過言ではなさそうです。

※参考文献
・別冊GoodsPress『ガンダム世代のための超ガンプラ大全 GUNPLA』(徳間書店)
・『ガンダム者:ガンダムを創った男たち』(講談社)

配信元: マグミクス

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