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怪獣から任侠まで『パトレイバー』の意外なほど広い「許容範囲」はなぜ成立するのか?

怪獣から任侠まで『パトレイバー』の意外なほど広い「許容範囲」はなぜ成立するのか?


彼らに「後藤隊長」と「香貫花・クランシー」を加えた7人がTV版の初期「第2小隊」の面々。『機動警察パトレイバー ON TELEVISION』第02話「香貫花が来た」より (C)HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TFC

【画像3枚】え、ガチ怪獣やん! こちらTV版『パトレイバー』を彩ったアイドルと巨大生物です

「パトレイバー」シリーズを「成立」させるものは?

 2026年7月末現在、YouTube「バンダイナムコフィルムワークス チャンネル」にてTVアニメシリーズ『機動警察パトレイバー ON TELEVISION』が日替わり配信中です。

 現実の延長線上のリアリティで描かれる警察ロボットアニメですが、先日配信された第19話「ジオフロントの影」では、地下工事現場に謎の巨大生物が現れます。「こんなのもアリ?」と驚いた人もいるのではないでしょうか。

 ほかにも、クジラをめぐる騒動、アイドルに懐かれる話、後藤隊長の過去など、レイバー犯罪から離れた話は珍しくありませんでした。とはいえさすがに、特撮映画のような巨大生物の登場は作品のリアリティラインを大きく揺さぶります。それでも不思議なことに「パトレイバー」らしさは失われません。いったいなぜでしょうか。

ヤクザから届いた寿司、食べちゃっていいの?

 その理由は、作品のコアが主役機「イングラム」よりも、特車二課第二小隊のメンバーとその人間関係にあるからではないでしょうか。

 例えば「太田功」です。太田といえば銃を撃ちたがり、デリカシーに欠ける暑苦しい男の印象が強い隊員です。しかし第12話「太田 惑いの午後」では、恋愛に奥手な無骨さと不器用さが描かれました。

 また7月27日公開分の第22話「花とレイバー」では、ヤクザの組長から届いた寿司を警察官の立場から拒否しました。しかし「後藤隊長」らが食べ始めると「一蓮托生」と言って自分も食べ始めます。

「泉野明」や「香貫花・クランシー」が暴力団関係者の屋敷に招かれ、私的な依頼(レイバーの初期設定)をこなしたという流れからのこの展開、現在ならコンプライアンス的に難しいかもしれません。暴力団対策法の施行前だった放送時の空気が表れているようです。

 それと同時に太田の態度からは、彼が単なる無神経な戦闘要員ではなく、生真面目で仲間意識が強い人物だと分かります。警察官としての規律と人情の間で揺れて、最後には同僚と同じ側に立つ。このグラデーションが太田功という人間の立体感を生んでいるのです。

パラレルでも変わらないもの

「パトレイバー」はTVシリーズだけではありません。ゆうきまさみ先生によるマンガ版、押井監督による2本の劇場版、初期OVAとNEW OVA、実写版、そして8月14日に劇場で新規エピソードが公開される『EZY』などがあります。

 それら「パトレイバー」シリーズは、基本設定や登場人物を共有しながら、細部の設定や出来事が異なるパラレルワールドとして展開してきました。作品同士がつながっていたり、つながっていなかったりするため、厳密な時系列を追おうとすると複雑ですが、どの作品を見ても「パトレイバー」だと感じられます。コアとなる第二小隊の面々が、それぞれの世界で「その人らしく」振る舞うからでしょう。

 TVシリーズ中盤以降も、食中毒で小隊が壊滅したり、保険会社が査定に来たり、海外特撮をパロディにしたりと、さまざまな物語が描かれます。これほど多様でも作品がバラバラにならないのは、役割に収まらない多面的なキャラクターの反応が一貫しているためです。

 また、いかにもロボットアニメの主役機といったデザインのイングラムですが、毎週敵を倒すヒーローロボットというよりも、若い警察官たちが職場で扱う特殊な重機として描かれている点に注目です。「パトレイバー」が一貫して描いているのは、目立つイングラムではなく、生活感あふれる第二小隊の面々だといえるかもしれません。

配信元: マグミクス

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