ついにJリーグ新シーズンが開幕する。
これまでは2月開幕で12月閉幕の「春秋制」だった。それが8月開幕6月閉幕の「秋春制」に移行する。その理由は、年々厳しくなる夏の暑さに対応するため、真夏の試合を減らすことにある。さらに選手のパフォーマンス低下を防ぐだけでなく、観客の健康上の負担を軽減するという意味もある。
ヨーロッパを中心とする世界のサッカースケジュールに合わせることで、海外への移籍がスムーズにいく環境ができる。
新シーズン1年目に優勝の名前を刻むチームはどこか。本命はやはり、昨季優勝の鹿島アントラーズだろう。百年構想リーグでは優勝決定戦でヴィッセル神戸に敗れ、2位に甘んじたが、安定感はリーグトップクラスだ。
今夏は知念慶が横浜F・マリノスに、師岡柊生がアビスパ福岡に、そして船橋佑が水戸ホーリーホックに移籍。荒木遼太郎と濃野公人は海外に移籍した。
知念と船橋が抜けたボランチだが、清水エスパルスからマテウス・ブエノを獲得。師岡、荒木が抜けた2列目には、Jリーグで実績のあるヤン・マテウスをカタールSCから獲得した。
濃野が抜けた右サイドバックには、広瀬陸斗が神戸から2年半ぶりに復帰。大型補強というよりも、ピンポイントで即戦力を補った。
ただ、開幕前に左サイドバックの安西幸輝が左膝前十字靭帯を損傷。ボランチの樋口雄太は右腓骨を骨折した。全治は発表されていないが、開幕戦は絶望的だ。鹿島はACLE(アジアチャンピオンズリーグエリート)にも出場するため、長いシーズンを考えれば、ケガ人が増えるのは厳しい。
各ポジションにレベルの高い選手を2人揃えた
対抗馬は百年構想リーグ王者の神戸だろう。鹿島同様に即戦力をピンポイントで補強した。FWではJリーグで2度の得点王に輝いたアンデルセン・ロペスを、ライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)から獲得。また、横浜マリノスからは、ボランチもインサイドハーフもできる渡辺皓太を得た。さらにジェフ千葉から、右サイドバックの髙橋壱晟を補強している。
大迫勇也、酒井高徳、武藤嘉紀といったベテランが健在で、百年構想リーグではここ一番での勝負強さを発揮して優勝した。ただ、年齢的にもケガが増えてきているのは事実で、短期決戦ならまだしも、ACLEも含め長いシーズンをどう乗り切るかがカギを握る。
鹿島、神戸の2強だが、両チームとも盤石とはいえない。ならば、町田ゼルビアの方が面白いのではないか。補強は的確だ。
元韓国代表のナ・サンホがファジアーノ岡山に移籍すると、浦和レッズからスピードスターの松尾佑介を獲得。浦和に移籍した林幸多郎の穴を埋めるのは、OHルーヴェン(ベルギー)から獲得した明本考浩だ。
さらに、高さと強さを兼ね備えたミッチェル・デュークが半年ぶりに復帰したのも大きい。登録メンバーを見ると、各ポジションにレベルの高い選手を2人揃えているといっても過言ではない。
昨季のACLEで決勝まで勝ち進んだことが、自信に繋がっているはずだ。今季はACLEに出場しておらず、Jリーグに集中できるのも大きい。鹿島と神戸を引きずり降ろして優勝するならば、この町田ではないか。
Jリーグ新シーズンは8月7日、金曜ナイターで開幕する。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

