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有村架純、ファンタジックな作品に説得力をもたらせる“奥ゆかしい”演技「ひよっこ」キャストの再共演もエモい<mopim>

有村架純、ファンタジックな作品に説得力をもたらせる“奥ゆかしい”演技「ひよっこ」キャストの再共演もエモい<mopim>

有村架純
有村架純 / ※ザテレビジョン撮影

「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA) 2026」でジャパンカテゴリーに選出された、有村架純とオダギリジョー共演のショートフィルム「mopim(ムパン)」が7月31日に配信された。有村が“神様の計らい”によって若かりし頃の姿に戻った100歳の主人公を、穏やかに演じている。(以下、ネタバレを含みます)

■米国アカデミー賞公認映画祭

「SSFF & ASIA」は、米国俳優協会(SAG)の会員でもある俳優・別所哲也が代表を務める米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭。2004年に米国アカデミー賞公認映画祭に認定され、アジア発の新しい映像文化の発信・新進若手映像作家の育成を目的として開催されており、2026年で28回目を迎えた。

「mopim」は、ある月がきれいな夜、病室で孤独な死を迎えようとしている100歳の栗田節(山本ゆりえ)の元に、黒装束の男(オダギリ)が“お迎え”にやってくる。死神にしては穏やかなその男は、「栗田節さん、お迎えにあがりました」と優しく語り掛けると、「最期の夜、神様から一つ贈り物があります」と節の手を握る。

すると節はたちまち若き日の彼女の姿(有村)に戻り、自身の姿を手鏡で見た節はうら若き乙女のような笑みを浮かべる。それだけではなく、その男は「わずかな時間ではありますが、節さんが行きたい所にお連れします」と告げ、“神の贈り物”として望む場所に連れて行ってくれるという。

彼に促されるまま、行きたい所を想像してそっと目を閉じた節。目を開けると、望み通りの場所に立っていた。だが、どこか表情が晴れない。実は、彼女が本当に行きたい所は80年前の過去で、亡き夫にある言葉を伝えたいのだという。そして再び目を閉じ、80年前に戻った節。目の前には「ただいま」と笑顔を見せる亡き夫・治(泉澤祐希)がおり、節も穏やかに「おかえり」と笑顔で返すのだった――。

■オダギリの“浮世離れ”した存在感もいいスパイスに

脚本・演出を務めた水落豊監督は、TVCMの企画演出を主軸に長編映画、短編映画、ミュージックビデオなど幅広い映像作品を手掛けてきた映像クリエーター。瀬戸内海を望む“天空の鳥居”や、青い地球が眼前に広がる宇宙、夕暮れ時の波打ち際とスケールの大きな映像が美しい。

実はこの作品、電通クリエイティブピクチャーズと、有村も所属する芸能プロダクション・フラームが共同で製作を担当。実際にロケ地に行かずとも臨場感ある映像が撮影できるバーチャルプロダクション技術(スクリーンプロセス)を活用し、複数のシチュエーションをスタジオで撮影した。

これは多忙なキャストやスタッフの移動・拘束時間の軽減にもつながることから近年注目を集める撮影技術で、2025年に公開された当時、有村も「全てスタジオで撮影したとは思えない壮大な空間が広がっていて、これからの映像界の可能性を考えるととても胸が高鳴りました」とコメントしていた。

もちろん最新技術を使った施策としての映像というだけでなく、約12分の作品ながら、しっかりストーリーの奥深さも感じさせてくれるところは水落監督のこだわりであり、「SSFF & ASIA」に選出されたショートフィルムらしいクオリティー。

オダギリ演じる、“お迎え”にくる死神らしき黒装束の男の“正体”も後半で明らかになるが、つい節のセリフを借りて「粋なことするのね、神様って」と言いたくなる。こういうファンタジックな役どころは、いい意味で浮世離れした雰囲気を持つオダギリだからこそ、違和感なく見られる。

■「ひよっこ」コンビが夫婦に

また、有村と泉澤が夫婦役というのもエモい。この組み合わせに、有村の代表作の一つである連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年、NHK総合ほか)を思い出す人も多いだろう。同作で、泉澤は主人公・みね子(有村)の幼なじみ・三男を好演し、茨城弁の2人のやりとりも実に心地良かった。

ヒットメーカー・岡田惠和氏が紡ぐ優しい世界観も相まって今でもファンが多い作品で、出演者がその後別の作品で共演すると「ひよっこコンビ!」「みね子と三男だ!」といった声がSNSに寄せられるほど。8月3日からNHK総合で再放送が始まったというのも何かの縁だろうか。

そして何より、短い時間でも作品に説得力をもたらせる有村の穏やかな演技に、スタンディングオベーションを送りたい。見た目は若返ったとしても中身は100歳の老婦人なので、見た目通りの若い立ち居振る舞いをしてしまうと、このストーリーは成立しない。

■有村が“奥ゆかしい”演技で魅了

映画「ビリギャル」(2015年)では第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞・新人俳優賞をW受賞、映画「花束みたいな恋をした」(2021年)では第45回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、演技力には定評のある有村。

本作では、「粋なことするのね、神様って」「どこへでも行けるなら、過去にも連れて行っていただけるのかしら?」といった古風なせりふ回しや、手鏡に映る若返った自分に向けるうれしそうな笑顔、過去に戻った場面でむしゃむしゃとご飯を食べる夫を優しく見つめる表情などから、どこかノスタルジーと、そこはかとない奥ゆかしさを感じさせる。

視聴者をすっと物語の世界観へ引き込んでいく。そんな有村の穏やかな演技と最新技術のハーモニーによって、約12分ながら長く心に残るショートフィルムが誕生した。

水落監督によるとタイトルの「mopim」は、widow(未亡人)をひっくり返した造語。伝えたいことをちゃんと言葉にする、それによって人生は180度違うものになるかもしれない、という若者へ向けたメッセージが込められており、ラストシーンまで見るとこのタイトルも粋に感じる。

1時間のドラマですら倍速で見る人が増えた現代だが、そんな慌ただしい日々に疲れたら体感してほしい、穏やかな余韻をもたらしてくれる物語だ。

なお、SSFF & ASIA関連では「mopim」をはじめ、2026年のジョージ・ルーカス アワード(グランプリ)受賞作「スピーディ!」、ライブアクション部門インターナショナル優秀賞の「三人目」、「まわりまわる」といった映画祭選出作のほか、第98回アカデミー賞短編映画賞実写部門の共同受賞作「唾液を交わす二人」など、計20作品が7月31日よりディズニープラスで配信されている。

◆文=武原堅人

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