最大震度7の激震が襲った熊本市内の被災地を8月3日に視察した、高市早苗首相。現場での滞在時間の短さや、ヘリコプターを中心とした移動スタイルに対し、「パフォーマンスに過ぎないのではないか」との批判が噴出した。
全国政治部紙記者が、苦笑交じりにこう語る。
「高市首相は避難所視察を前に自衛隊のヘリコプターで、爆発死亡事故が起きた『イオンモール熊本』などの状況を上空から視察。内閣広報官のXには、機内で合掌する首相の写真が投稿されました。その後に訪れた氷川町では過酷な状況の避難所や、車中泊を強いられいる被災者をスルーし、冷房完備の部屋で地元町長らに話を聞いただけ。視察時間が10分にも満たない、との指摘に対し、内閣広報官はXで〈一部SNSで事実と全く異なる情報が流れていますが、(中略)避難所視察は51分間ですので、お伝えします〉と言い訳しています。そういう問題ではないと思うんですがねぇ…」
危機管理のスペシャリストを自負する高市首相であっても、自然災害の現場対応はなかなか一筋縄ではいかないようだが、思い返せば歴代の首相や大臣たちもまた、被災地での軽率な言動やトンボ帰り視察で、国民から激しくヒンシュクを買ってきた歴史がある。
記憶に新しいところでは、2023年7月の九州北部豪雨の際、岸田文雄前首相が災害発生から大幅に遅れて被災地に入ったものの、あまりに短い滞在時間に「プロモーション動画の撮影のようだ」と冷笑された。
2016年の熊本地震当時の安倍晋三首相による視察でも、厳戒態勢の警備が避難所運営の大きな負担となり、被災者の生活空間を圧迫する結果になった。
上から目線で「知恵を出したところは助けるが、出さないやつは助けない」
さらに、視察に伴う閣僚の失言と暴走劇はもはや、定番となった感がある。
東日本大震災直後の2011年には、大臣就任直後に現地を訪れた松本龍復興担当相が宮城県知事に対し、上から目線の大暴言を吐く。
「知恵を出したところは助けるが、出さないやつは助けない」
「県でコンセンサスとれよ。そうしないと我々は(お金を)何もしない」
わずか9日で辞任に追い込まれたのだった。
この年には鉢呂吉雄経済産業相が東北の被災地を、
「人っ子ひとりいない、まさに死の町だった」
と表現。2017年の今村雅弘復興相による自主避難者への「自己責任」発言と記者への逆ギレなど、現場を知らない対応や尊大な態度、見え見えのパフォーマンス視察が、被災者の心を深く傷つけてきた。
言うまでもないが、被災地が求めているのは、生活再建に向けた実効性のある支援と、現場の負担を最小限に抑える緻密な危機管理だ。政治家たちは、国民の目が想像以上に厳しく光っていることを知るべきである。
(灯倫太郎)

