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父親の泣く姿を見たことない男性に共通する「心理傾向」とは

父親の泣く姿を見たことない男性に共通する「心理傾向」とは

Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

父親が泣いている姿を見たことがあるでしょうか。

男性の中には、父親の笑顔や怒った顔は思い出せても、涙を流す姿だけは一度も見た記憶がないという人が少なくありません。

これは単に、父親が悲しい経験をしなかったからではないでしょう。

悲しみや不安を抱えていても、それを家族の前で表現しないことを「男らしさ」だと考えてきた可能性があります。

では、父親が感情を抑える姿を見て育った男性には、どのような心理傾向が生じるのでしょうか。

米国で男性の心理支援に携わる心理療法家は、父親の泣く姿を見たことがない男性ほど、自分の弱さを表すことにも抵抗を感じ、経験できる感情の幅が狭くなりやすいと指摘しています。

ただし、これは大規模な調査によって因果関係を証明した研究結果ではなく、著者自身の経験と臨床現場での観察をもとにした論考です。

目次

  • 父親が泣かない家庭で育つと?
  • 泣きたい感情を抑えることの危険性とは?

父親が泣かない家庭で育つと?

元記事の著者アサエル・ロマネッリ氏は、診療の場で男性たちに必ず尋ねる質問があります。

「あなたは、父親が泣く姿を見たことがありますか?」

著者によると、この質問に「ある」と答える男性はごく少数であり、見た経験がある人でも、その回数は片手で数えられるほどだといいます。

もちろん、父親が子どもの前で泣かなかったからといって、感情そのものを持っていなかったわけではありません。

悲しみや恐怖、寂しさを感じていても、それを表に出さないよう抑えていたと考えられます。

多くの男性は幼いころから、「男の子は泣くな」「弱音を吐くな」「強くあれ」と教えられます。

泣かずに我慢すれば褒められ、涙を見せれば恥ずかしいことだと扱われます。

心理療法家は、このように男性へ感情の抑制を求める社会的な仕組みを「心理的家父長制」と表現しています。

この環境で問題になるのは、子どもが感情表現のお手本を見られないことです。

子どもは親の言葉だけでなく、行動からも「大人の男性はどのように振る舞うものか」を学びます。

父親が悲しいときにも涙を見せず、苦しいときにも何事もないように振る舞っていれば、息子も「男性は悲しみを表に出してはいけない」と学ぶ可能性があります。

著者は、感情を絶望から大きな喜びまでの1から10の目盛りで表した場合、多くの男性は中央付近の狭い範囲だけで生きていると説明します。

激しい怒りは表現できても、深い悲しみや恐れ、無邪気な喜び、他者に頼りたい気持ちは表しにくいという状態です。

ここで重要なのは、感情を持っていないのではなく、感情に気づいたり、それを言葉や涙で外に出したりする方法を学んでいないという点です。

その結果、「悲しい」「怖い」「傷ついた」と認識されるはずの感情が、すべて「腹が立つ」という形に変換されることがあります。

父親の泣く姿を見たことがない男性に共通しうる心理傾向とは、単に涙を流しにくいことではありません。

自分の弱さを人に見せることを避け、限られた感情だけを「男性が感じてもよいもの」として扱う傾向なのです。

泣きたい感情を抑えることの危険性とは?

著者は、泣くことを「感情のエネルギーを外へ動かす行為」と捉えています。

悲しいときに涙を流せば、身体は抱えていた緊張を少しずつ解放できます。

しかし、泣くことを恥じて感情を押し込めても、その感情自体が消えるわけではありません。

著者によると、表現されなかった悲しみや不安は、攻撃性、支配的な行動、依存、冷笑、無気力など、別の形で表に出ることがあるという。

ただし、泣かない男性が必ず暴力的になったり、依存症になったりするという意味ではありません。

著者も、父親の涙を見なかったことが、こうした問題を直接引き起こすと科学的に証明しているわけではありません。

ここで述べられているのは、感情を認識して安全に表現する方法を持たない場合、苦しさを処理する手段が限られてしまうという心理的な見方です。

悲しみを悲しみとして表現できなければ、外に向けて怒りをぶつけるか、何も感じないように自分を麻痺させるかという、両極端な反応に傾くことがあります。

そして、この感情表現のパターンは、次の世代にも受け継がれる可能性があるのです。

著者自身は現在、子どもの前で泣き、その涙がどのような感情から生まれたものなのかを伝えているという。

息子から一時的に「男らしくない」と思われる可能性があっても、長期的には「男性も悲しんでよい」「弱さを見せても人との関係は壊れない」という許可を与えられると考えているからです。

感情の幅を広げることは、楽しい感情だけを増やすことではありません。

より大きな喜びを感じるには、悲しみや痛みにも触れる必要があります。

不快な感情だけを閉じ込め、幸福だけを十分に味わうことは難しいというのが、彼の主張です。

まとめ

父親の泣く姿を見たことがない男性は、知らないうちに「弱さを表してはいけない」という習慣を受け継いでいる可能性があります。

その習慣の中では、悲しみや恐怖を素直に認めることよりも、平静を装うことや一人で耐えることが重視されます。

しかし、それは生まれつきの男性の性質ではなく、家庭や社会の中で学習された行動なのかもしれません。

学習されたものであれば、意識することで書き換えることもできます。

もちろん、泣くこと自体が心の問題をすべて解決するわけではありません。

また、人前で無理に涙を見せる必要もありません。

大切なのは、自分が何を感じているのかに気づき、悲しみや不安を「弱さ」として切り捨てないことだといいます。

参考文献

Did You Ever See Your Father Cry?
https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-other-side-of-relationships/202605/did-you-ever-see-your-father-cry

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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