全国のラーメンを食べ歩くラーメンライター、井手隊長です。
全国のラーメンの名店が集まる東京駅一番街の「東京ラーメンストリート」。全国各地のご当地ラーメンを期間限定で楽しめる企画「ご当地ラーメンチャレンジ」の第3弾として、福島・喜多方の名店「食堂 はせ川」が2026年8月6日から11月23日までの期間限定で出店する。
「食堂 はせ川」は1982年創業。現在は二代目・長谷川大輔さんが店を守る喜多方屈指の人気店だ。
長谷川さんが掲げるのは「先代の味を守る」のではなく、「先代を超える」という挑戦。喜多方ラーメンの王道を大切にしながらも、独自の発想を取り入れた一杯を追求し続け、その革新的なスタイルから”喜多方ラーメンの異端児”と呼ばれている。今回の東京ラーメンストリートへの出店は、長期出店としては初の県外進出となる。
こちらが看板メニューの「大判チャーシュー醤油らーめん」。
最大の特徴は、国産鶏と九十九里産の青口煮干しを合わせたスープだ。
喜多方ラーメンでここまで煮干しを前面に打ち出したスタイルは珍しい。鶏がほんのりと下支えしたスープに、青口煮干しの香りと旨味が重なっていく。
「炊く」というよりも「抽出」をモットーにしているというだけあり、煮干しの旨味だけを丁寧に引き出し、苦味や雑味は皆無。レンゲを口に運んだ瞬間、煮干しの旨味が一気に押し寄せ、口の中がまさに旨味のパラダイスになる。透明感がありながら力強い。喜多方ラーメンの新しい可能性を感じさせるスープだ。
合わせるのは特注の多加水中太ちぢれ麺。この日の加水率は44%。
ひと口すすれば、ちゅるちゅるモチモチと噛むほどに弾力があり、この食感こそ、まさに”THE東北の麺”。
そして何より外せないのがメニュー名にも冠された自慢の大判チャーシュー。
箸で持ち上げるだけでも崩れてしまいそうなほど柔らかく、お店では切れないように箸を2膳使って丁寧に盛り付けているという。
口に入れるとホロリとほどける脂の甘さと、しっかりとした肉感が同居。かなりの満足感があり、チャーシューを食べに来る価値があると感じさせる完成度だ。
そしてぜひ試してほしいのがライスとの組み合わせ。
チャーシューやメンマ、ネギをのせるだけでも十分に贅沢だが、この店ではぜひ麺までライスにのせてほしい。さらに黒コショウをひと振り。
モチモチの麺と熱々のご飯、チャーシューの旨味、そして黒コショウの刺激が一体となり、思わず「これは反則だ」と笑ってしまうほどの美味しさだ。一杯のラーメンで二度楽しめる、まさに至福の食べ方である。
喜多方ラーメンには長い歴史があり、多くの名店が存在する。その中で「食堂 はせ川」は伝統をリスペクトしながらも、自分たちらしい味を追求してきた。だからこそ”異端児”と呼ばれる。しかし食べ終わる頃には、その異端さは決して奇抜ではなく、喜多方ラーメンの「進化形」であることがよく分かる。
喜多方まで行かなければ味わえなかった名店の一杯を、ぜひ東京駅で堪能してほしい。
(執筆者: 井手隊長)
