
スタートダッシュではない。秋葉ジュビロが放つ“スタートインパクト”。プレーもマインドも「本当に変わったんだ」を見せつけたい
8月8日のブラウブリッツ秋田戦から、ジュビロ磐田の2026−27シーズンが始まる。J1昇格、そしてJ2優勝という明確な目標を掲げて新たなスタートを切るチームを率いるのが、秋葉忠宏監督だ。
沖縄県糸満市での一次キャンプ、静岡県御前崎市での二次キャンプを経て、チームは開幕に向けた最終段階に入った。乾貴士、太田龍之介ら新戦力も加わり、アカデミー育ちの藤原健介が新主将に就任。チーム内の競争も激しさを増している。
そんななか、秋葉監督が繰り返し口にしているのが、「ジュビロが変わった」と周囲に感じさせることだ。
「もうスタートダッシュというよりも、スタートインパクトを与えるかどうかと思っていますので。やはり『ジュビロ、変わったな』っていう。それはサポーターだけじゃなくて、相手チームにも与えなきゃいけないですから」
指揮官が目ざすのは、慎重に勝点を拾うだけのサッカーではない。ボールを奪いに行き、ゴールへ向かい、最後まで走り抜く。就任当初から掲げてきた「超攻撃的」な姿勢を、開幕戦から全面的に表現するつもりだ。
「もう我々らしく、ゴールに向かっていく。ボールを奪いにいく。最後の最後まで戦って、最後まで走り抜く姿っていうのは、お約束しますので。まして、ホームで相手の方が走るだとか、相手の方が切り替えで勝るなんてありませんから」
得点への意欲も強烈だ。
「1点、2点で勝とうなんて思っていないので。4、5点取って、ゼロに抑えてというストーリーを目ざしたい」
決定機を一度で仕留められないなら、シュートチャンスそのものを増やす。「5、6回でダメだったら、我々は10回、15回と数を増やす」という言葉にも、秋葉監督らしい発想が表われている。
一方で、開幕スタメン、ベンチメンバーもギリギリまで決まりそうにない。
「皆さんに投票してほしいぐらい(笑)。今現在、思っている11人と20人を出してほしいぐらいです」
冗談を交えながらも、その表情には嬉しい悩みがにじむ。沖縄、御前崎から継続してアピールしてきた選手がいる一方で、コンディションの回復とともに急激に評価を高めている選手もいる。太田はプレシーズンでゴールを量産。新加入選手だけでなく、昨季まで悔しい思いをした既存戦力も激しくポジションを争っている。
秋葉監督が重視するのは実績だけではない。「旬」を逃さないことだ。
「俺はその旬って絶対あると思っていて。でも2週間ぐらいだと思うんですよ。タイミングを逃さずに使ってあげないと、どうしたって落ちると思うので。本当に良い時に使ってあげると、とんでもない成長を見せる選手をたくさん見てきた」
ポジションごとの序列だけでなく、選手同士の相性や対戦相手との組み合わせまで考える。「この選手が一番だから使う」だけではなく、90分をどうデザインするかまで含めてメンバーを決めるのが秋葉流だ。
特に今季は5人交代を積極的に使う考えで、「16人レギュラー」という言葉を選手たちにも伝えている。
「僕はほぼ5人を使うので。『16人レギュラーだよ』ってよく言うんですけど、今日はサブだからじゃなくて、必ず5枚、交代するから、常に16人は出るから準備してよって話はしてます」
夏場の開幕という特殊な条件もある。飲水タイムを挟みながら、ゲームの流れをどう変えるのか。先発だけでなく、終盤に試合を締める選手、あるいは勝負を決めに行く選手まで含めた総力戦になる。
そして秋葉監督が何より強く意識しているのが、ヤマハスタジアムを埋めるサポーターの存在だ。
「必ず満員のサックスブルーの声援に応えられるように、しっかりとした結果を出したいと思います」
百年構想リーグで味わった悔しさを経て、再びJ1を目ざす磐田。秋葉監督は、自らのチームを「全試合チャレンジャー」と位置付ける。
「全試合チャレンジャー精神を持って、大きなインパクトを与える。もう本当に変わったんだっていう、それはプレーだけじゃなくてマインドも変わったって見せられるようにやりたい」
目ざすのは単なる昇格ではない。38試合を通してチャンピオンとなり、その先に再びJ1でタイトルを争えるクラブを作ること。その第一歩が、秋田との開幕戦になる。
「我々はサポーターの方と共に歩んでいくからこそ、皆さんに愛されるからこそ、強くなる。もう一度、そういう自分たちのDNAを呼び覚ましながら1年間を戦って、必ずチャンピオンになって昇格したいと思います」
スタートダッシュではなく、スタートインパクト。新生ジュビロがどれだけ強烈な第一歩を踏み出せるか。秋葉監督の掲げる攻撃的なフットボールとともに、26−27シーズンがいよいよ幕を開ける。
取材・文●河治良幸
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