レッスンを受けると聞かれる理論。その用語は本当に正しいのか。レッスン用語について、奥嶋コーチが実際に解説します!
【用語】「体重は右足の上から左足の上へ移す」

重心が動く範囲はスタンス幅の中央で、距離にして30センチにも満たない範囲だ
体重はいつでも右足の上から左足の上まで移動させるものだと考えていませんか?
【answer】
2軸として考える場 合、クラブの長さや状況に応じて、軸の幅は変わります。ウエイトシフトはその軸の間で行なうものですから、いつも右足の上から左足の上とはかぎりません。
ウエイトシフトはするのか、しないのか。これについてはどちらの教え方も聞いたことがあります。
「ウエイトシフトはしない」という言い方は、「しないつもり」という意味にすぎません。「1軸でスイングをしている」とほぼ同じ意味でいっているのだと思います。しかし、軸を動かさないようにスイングをつくったとしても、回転によって腕の重みが左右に動きますから、ウエイトシフトは起きています。
もし本当に「ウエイトシフトが起こらない」ような動きをしようとすると、回転によって腕の重さが左右に動くのに対して、バランスをとるように体全体を腕とは逆方向、つまりバックスイングで左、ダウンスイングで右へと動かさなければならないはずですが、誰もそんなことはしていません。
飛ばしを目的とすると2つの軸の間での移動が起こるのが自然ですし、逆に、飛ばすことよりも正確性を優先するならば、軸を動かさない動きになるほうが自然です。
「ウエイトシフトはする」にしても「ウエイトシフトはしない」にしても、すべてのショットにおいて、答えはどちらかひとつ、つねにそれだけが正しいと考えることこそ不自然だと思います。
ウエイトシフトの注意点としては、ウエイトシフトは軸を2つとして考えたときには、その内側で行なうものです。スタンス幅を広くして軸の間隔を広げれば、ウエイトシフトする距離も長くなり、スタンス幅を狭く、軸の間隔も狭くすれば、ウエイトシフトする距離も短くなります。軸の内側で行なうといっても、インパクト後に関しては、さらに動いて、左足の真上に立つくらいになってもOKです。

ショットの場合はウエイトシフトが起きる。ごく狭い範囲で起きていたり、ある程度の幅をもっていたり、スタンス幅で起きていたりする。ごく狭い範囲で起きているウエイトシフトを2軸と意識するか1軸と意識するかも試してみる価値がある。
【用語】上体が右に傾いてはいけない

ダウンスイングで上体を右に倒し、右肩を下げる動きはダメ! と思っていませんか?
【answer】
右手を下にしてグリップするので、構えたときから上体は右に傾いています。そのまま前傾した軸で回転すれば、右に傾いた状態は変わらないはず。右に傾くのは間違いではないのです。
ダウンスイングで「右に倒れてしまう」という悩みをよく聞きます。
しかし、上体は、右に倒れないわけではないのです。「右に倒れないようにしよう」と考えると、それが逆に悪い動きの原因になってしまいます。
まず、構えた時点で右手が左手の下にあるため、右肩は低くなっています。そして前傾した軸で回転運動をするので、トップでは上半身は右を向きます。前傾角度を保つため、左肩が下がり、左に側屈した状態になっています。
ダウンスイングではこれと反対のことが起こります。上半身が左を向いて、右肩が下がるわけです。
ただし、右に向いて左肩が下がっている状態(トップ)から、いきなり左を向いて右肩が下がる状態(フォロースルー)になるわけではありません。回転運動ですからいったん、右を向いた状態から元に戻っていく時間があるわけです。トップからいったん、正面を向いて右にも左にも側屈していない状態に戻って、そこから左へ向き、右肩が下がる状態になっていく。これが流れです。
ダウンスイングのはじまりで、いきなり右に傾くと左サイドが伸び上がり、腰の左側が高くなるので左足にウエイトを乗せていくことができなくなり、回転のつもりが上下運動に変わってしまいます。

トップでは上半身は左に傾いている。ダウンスイングではいったんアドレスの状態に戻り、そこからさらに回転して体が左を向くにつれて右に傾いていく。いったん戻ることを省いてはいけない

ダウンスイングの早い時期に体を右に倒すと、スイング軌道が強いインサイド・アウトになりミスを引き起こす。
いかがでしたか? レッスン用語の解説をぜひ参考にしてください!

解説=奥嶋誠昭
●おくしま・ともあき/1980年生まれ。ツアーコーチ。アメリカの最先端スイング解析システム「GEARS」を日本で最初に導入。ゴルフスイングを科学的かつ客観的に分析するノウハウを『ザ・リアル・スイング』(小社刊)に著して一躍注目された。アマチュアからプロまで幅広く指導し、稲見萌寧、木下稜介らのコーチとしても活躍。主宰する「ザ・リアル・スイング・ゴルフスタジオ」(横浜市)を拠点に活動する。
写真=高橋淳司

