
春泥の人気漫画を、原作の世界観を感じさせる懐かしいタッチでアニメ化した「ガンバレ!中村くん!!」(ABEMA・FOD・Hulu・Leminoほかにて配信)。内気な男子高校生・中村男久斗(CV.小林千晃)が、片想いするクラスメイトの広瀬愛貴(CV.榊原優希)と仲良くなるため、空回りしながらも奮闘する姿をコミカルに描いている。放送時に話題を呼んだのが、昭和から平成までの懐かしい名曲で構成されるED曲だ。本コラムでは、第7話から第13話までのEDを彩った名曲たちを、各話のストーリーと合わせて振り返ってみたい(以降、ネタバレが含まれます)。
■ホラー回を締めくくるのは悪魔が紡ぐヘヴィメタルの名盤

第7話では、ホラー映画の撮影に参加した出演者たちが遭遇する怪異が描かれた。青木山麗子(CV.大地葉)が部長を務めるオカルト・ホラー研究部に拉致された中村は、強制的に悪魔召喚の儀式の生贄にされてしまう。その様子を見た演劇・映像部の田村亜乱堂(CV.千葉翔也)は、中村を自らが手掛ける映画の幽霊役にスカウト。撮影現場となる夜の学校で、広瀬と2人きりになるチャンスに恵まれた中村は、広瀬の怖がりという意外な一面を知る。
広瀬にベルトをつかまれたり、手を握られたりと、胸キュンな展開にドキドキさせられたのは途中まで。実は中村の手を握っていたのが広瀬ではなかったことが判明し、SNSには「中村くんの手を握っていたあの手は…誰だ?」「広瀬と手を繋いでると思ったら違う人だったのは怖すぎる」「中村くん、誰と手を繋いでんのよー。花子さん!?」と恐怖を吐露するコメントが相次いだ。
ED映像でも中村の恐怖体験は続き、自室で机に向かう中村の周囲に、姿の見えない何者かの手が出現。さらにはカーテンが勝手に開き、中村を驚かせる。そんなホラー展開を盛り上げるED曲は、聖飢魔Ⅱの初シングル「蝋人形の館」。おどろおどろしいフレーズと重低音で唸るギター、デーモン閣下の力強いボーカルが、中村を襲う怪現象にぴったりとマッチしていた。
この選曲の妙に、視聴者は「スタッフさんに天才いらっしゃるでしょこれ」「イントロ流れてきた瞬間コーヒー吹いた笑」「みんなで歌おうアニソンになった蝋人形の館!」「お前も蝋人形にしてやろうかァ!」と拍手喝采。マルチな才能で知られるデーモン閣下だが、視聴者の中にはED曲で初めて歌声を聴いた人もいたようだ。
■ライバル登場に焦る中村への応援歌にも聞こえる

続く第8話では、中村に強力なライバルが登場する。広瀬の中学時代からの友人・松村高青(CV.小野賢章)は、爽やかなイケメンに見えるが、広瀬に異常な執着心を抱く男。ある意味で似た者同士といえる中村と松村は、“広瀬エピソード対決”で爆笑必至の舌戦を繰り広げる。
激しいバトルの末に、松村は中学時代に広瀬から借りパクした体操着という切り札を突きつけるが、タグに書かれた名前から、本来の持ち主が広瀬の友人・轟矗(CV.三宅健太)であると判明。スピード感溢れるコミカル展開に、視聴者からは「マウント合戦おもしろすぎた~」「二人共結構ガチめにギルティw」「広瀬マウントどんぐりの背比べすぎる」「エネルギーが凄い回だったな」などの声が寄せられた。
筋トレに励む中村の姿を描くED映像と共に流れたのは、応援ソングとして広く知られる爆風スランプの「Runner」。中村と松村の追いかけっこを彷彿させるだけでなく、ライバル登場で焦る中村と、中村を応援する視聴者を鼓舞しているようにも感じられた。
■友人たちとの優しい交流を思わせるREBECCAの代表曲

第9話の舞台は学校の文化祭。またもオカルト・ホラー研究部に拉致された中村は、降霊術デモンストレーションに協力したお礼にと、青木山から全ての運がアップするという“まじないの数珠”を手渡される。数珠の効果か、川村ひふみ(CV.ファイルーズあい)に広瀬の似顔絵を描いてもらい、轟矗にタダで焼きそばを振る舞ってもらう中村。さらには、広瀬によく似た年上の女性に遭遇し、不覚にもときめいてしまう。
その後、中村はひょんなことから演劇・映像部の芝居に村人B役で出演することになるが、主演する美女が先ほど出会った広瀬似の女性と知って仰天。しかし、芝居本番でそれが広瀬本人だと気づく。校内で遭遇した女性は、広瀬の実の姉・広瀬佐帆(CV.七海ひろき)だったのだ。芝居のラストで広瀬の腕に抱かれた中村は、感動のあまり昇天する。
ラブコメ要素だけでなく、青木山や川村、轟との出会いや彼らの優しさも印象に残った回で、EDを飾った楽曲はREBECCAの「フレンズ」。ペットのいっちゃんに文化祭での出来事を報告する中村を描いたED映像も微笑ましく、SNSには「一番の友達はやっぱりタコのいっちゃんだね」「中村くんといっちゃんの絡み最高にかわいすぎた~」「いっちゃんに似顔絵みせてるの可愛すぎんか」などの声が集まった。
■大江千里の名曲がそれぞれの“好き”が詰まった内容にぴったり

第10話は2話構成。Aパートでは、広瀬たちとの勉強会でファミレスを訪れた中村が、広瀬の好きなものを知り、喜びを覚える姿が描かれた。Bパートでは、中村がバイブルと崇めるBL漫画「ラブ弁!」のサイン会に出陣。会場近くで川村と遭遇して大いに焦るが、サイン会では作者・米谷飯(CV.咲野俊介)に思いを伝えることができ、温かいメッセージ入りのサインをもらうハッピーな結末となった。
とりわけ反響を呼んだのが、米谷がサインに添えたメッセージだ。中村に想い人がいるのを察したのだろう、中村の推しキャラ・宅(CV.竹内順子)のイラストと共に書かれていたのは「がんばれ!!なかむらくん!!」の文字。粋すぎるラストに、SNSは「漫画家の先生、優しい!!」「ラストのタイトル回収は流石に完璧!」「作者さんは中村くんの秘めた恋心に気づいたのかも。よかったね」と称賛の声で溢れた。
ED曲は大江千里の「GLORY DAYS」。大切な人との出会いや、愛に満ちた日々を想起させる歌詞は、中村や広瀬、川村らの“好き”が詰まったようなストーリーにぴったり。中村が米谷にファンレターを書いていると思しきED映像にもほっこりさせられた。
■挑戦や冒険を想起させる名曲が中村の行動と重なる

前話に続き2話構成となった第11話では、中村と松村のハチャメチャなクリスマスプレゼント争奪戦と、中村と担任・乙切想(CV.江口拓也)それぞれのヘアカットの様子が描かれた。ヘアカットのエピソードでは中村が初めておしゃれな美容室に行き、美容師の女性の一方的なおしゃべりに辟易している間に、思いもよらないヘアスタイルにされてしまう。
家族を驚かせ、広瀬に気づかれないほどの大変身を遂げた中村だが、自室を掃除するED映像も含めて新ヘアスタイルは明かされずじまい。「広瀬に分からなくなるほど髪切られたのか、よく見たかった」「中村くんの新ヘアスタイルは次回明らかになるのか?」「中村のモテ期が来るのか来週が楽しみ」と、多くの視聴者をやきもきさせた。
そんな第11話のED曲は、挑戦や旅立ち、新たな冒険をイメージさせる米米CLUBの「浪漫飛行」。広瀬にクリスマスプレゼントを贈ろうとする中村の決意、初めての美容院と今までと違うヘアスタイルといったエピソードに、しっくりとハマっていた。
■最終話、岡村靖幸の「だいすき」がくれた爽やかな余韻

明るいエピソードから一転、第12話では広瀬に恋人ができ、中村は激しく動揺。川村に広瀬と仲良くなる漫画の続きを描いてもらうが、心は癒えず、夜に展望台で号泣する様子が描かれた。中村不在のED映像には楽曲が流れず、中村の母(CV.竹内恵美子)と妹(CV.飯田友子)の会話、テレビ番組の音声のみ。変わってしまった中村の日常を感じさせるような演出も、視聴者の涙腺を崩壊させた。

そして迎えた最終話。広瀬の恋を応援しようと決意する中村に、広瀬は彼女にフラれたと報告。中村は広瀬を気遣って一緒に帰ろうと誘うが、中村の言葉に元気が出たという広瀬は、なんとLINEの交換を申し出る。その夜、広瀬から映画に誘われた中村は、緊張しながらも待ち合わせ場所へ。上映後に立ち寄ったカフェで「中村とじゃなきゃ観てなかったかも」と言われ、中村の心は大きく揺れる。
その後、広瀬と一緒に公園を訪れた中村は、広瀬に自分の魅力は何かと聞かれ「ぜ、全部ー!!」と絶叫。さらに広瀬からタコのキーホルダーをプレゼントされたことで、広瀬への想いを再認識する。修了式の様子を描いたED映像では、これからも消えることのない想いが中村の独白で綴られ、「最初から最後までずっと涙が止まらなかった…」「なんて美しい片想いなんだろう」「キュンが止まらねえーー!」と視聴者を感動の渦に包んだ。
爽やかなラストを彩ったED曲は、主題歌を手掛ける岡村靖幸の「だいすき」。好きな人への真っ直ぐな恋心を歌った楽曲は、映画風のED映像と相まって、心に爽やかな風を吹き込んでくれた。新学期初日、中村がクラス名簿を見上げるラストシーンも絶妙で、「“ガン中”を見続けて良かった…!」と感慨にふけった視聴者も多かったのではなかろうか。
また、アニメは最終回を迎えたが、盛り上がりはまだまだ続く――。Blu-ray&DVDの発売を記念し、中村男久斗役・小林千晃、広瀬愛貴役・榊原優希が登壇するトークイベントの開催が決定! ぜひ続報にも注目したい。
※蝋人形の「蝋」は正式には旧字体
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)


