8月6日、中日がヤクルトを5-0で下し、最下位を脱出して5位に浮上した。金丸夢斗が7回を無失点に抑え、0-0の8回に石川昂弥の2点二塁打から一挙5得点。勝利投手は4月に脇腹痛で離脱していた橋本侑樹だった。3位ヤクルトとの差は3ゲーム、残り43試合。42勝57敗1分で借金15のチームに、Aクラスの目はあるのか。
その可能性を考える上で注目したいのが「WAR」だ。選手の貢献度を打撃、走塁、守備、投球から総合的に評価する指標で、中日のチーム合計は8月6日時点で18.7。セ・リーグでは巨人19.6、阪神19.2に次ぐ3位であり、首位・阪神との差は0.5しかない。野手10.6、投手8.1とバランスも取れている。
WARはあくまでここまでの貢献度を測るもので、将来の成績を保証するわけではないが、前日まで最下位だったチームがセ3位という事実は、順位とここまでの選手の総合的な貢献に、ズレがあることを示している。
では、そのズレはどこで生まれたのか。手掛かりとなるのは接戦での成績だ。中日の3・4月の1点差試合は2勝7敗。6月も2勝6敗と、接戦を拾えない時期が長く続いた。
開幕戦ではアブレウが5-1の9回に4失点して同点にされ、延長10回に勝野昌慶がサヨナラ打を浴びた。
5月20日の阪神戦は7-0とリードしていたが、7回に4点、8回に3点を失って追いつかれ、9回にサヨナラ負けを喫した。
救援陣が戻ったら7月の1点差試合は6勝2敗へと一転
終盤にリードを守れない試合が続いたのは、救援陣の故障や離脱が重なった原因が挙げられる。松山晋也は脇腹損傷で今季初登録が4月7日、アブレウは開幕戦のぎっくり腰で1軍復帰が6月19日。橋本侑樹も脇腹痛で4月に抹消、清水達也は昨秋からの腰の不調で5月まで1軍に上がれなかった。勝負どころで使える投手の選択肢が大きく限られていたのだから、僅差の試合を落としたのは采配以前の問題だった面は否めない。
流れが変わったのは7月だ。この月を迎えるまでに松山、橋本、アブレウが1軍に戻り、救援陣の選択肢は序盤より増えていた。すると7月の1点差試合は6勝2敗へと一転し、月間成績は12勝11敗と勝ち越し。6月は得失点差がわずかマイナス4だったのに6つも負け越した中日が、接戦を取り始めた。そして8月6日、ついに最下位を脱出した。
WARだけを見れば、中日は5位に甘んじる戦力ではない。問題はここからだ。残り43試合で3位ヤクルトとの3差をひっくり返すのはたやすくはないが、不可能でもない。継投のタイミングや代打の切り方など、僅差での運用は監督の仕事である。
接戦を拾い続ければ十分にAクラスを狙える位置にあるが、戦力が整った中で再び1点差の試合を落とし始めれば、井上一樹監督の采配力が改めて問われることになる。
(ケン高田)

