
手塚治虫の珠玉の人間ドラマ『ブラック・ジャック』。天才的な外科医の腕を持ちながら無免許医であるブラック・ジャック(B・J)と、彼を囲む愛すべき仲間や患者たちが織りなす物語を通じて、「命とは何か」「生きるとはどれほど美しいことか」を、子どもから大人まで多くの人々の胸に届けてくれる。
今回、ABEMAが8月8日(土)夜8:00より、アニメ『ブラック・ジャック』チャンネルを期間限定で初開設。本コラムでは、色褪せない“命の物語”である「伝説の5話」を厳選して紹介していく。
■「オペの順番」(アニメ版話数: Karte:00)
あらすじ
西表島を出航した客船の中で、密猟者に捕らえられていたイリオモテヤマネコが逃げ出し、船長の顔に飛びついたことで船が突如として大揺れする事故が発生。この衝撃で権力者の代議士、小さな赤ん坊、そして傷ついたヤマネコが重傷を負ってしまう。偶然乗り合わせていたB・Jは治療を引き受けるが、周囲の猛烈な反発をよそに最初に手術台へ運ばせたのは、人間ではなく、もっとも瀕死の重傷を負っていた小さなヤマネコの命だった。
解説
2004年にスタートしたTVアニメシリーズの記念すべき最初のエピソード(第1話・Karte:00)として放送され、視聴者の心に鮮烈な覚悟を焼き付けた。社会的な地位や名誉、さらには人間と動物という区分すら無意味とし「この世に生まれた命の価値はすべて平等であり、もっとも消えそうな命から救い出す」というB・Jの誠実な信念が描かれている。人間が忘れがちな“命の真理”を真っ直ぐに伝えたこの物語は、ゴールデンタイムのテレビの前の多くの人々の胸を深く打ち、伝説の幕開けにふさわしい名作として語り継がれている。
■「アリの足」アニメ版話数: Karte:02
あらすじ
小児麻痺の影響で両脚が不自由になった少年・光男。彼は自らの強い意志で、足のリハビリを兼ねた徒歩で広島から大阪まで向かう過酷な旅へと挑戦する決意を固める。旅の途中、B・Jがなぜか後ろからずっとついてくるのをうとましく感じながらも、光男は重い装具を引きずり、歯を食いしばって懸命に一歩一歩を進め続ける。
解説
人間ドラマとしての深いぬくもりで視聴者の心を捉えた感動作である。他人に頼るのではなく、自らの足で困難に立ち向かおうとする少年の内に輝く「自ら立ち上がり、生きようとする意志」と、あえて手を出さず冷徹な態度を装いながら陰で旅路を支え続けたB・Jの深い慈愛と彼を見守った真の理由が、視聴者の涙腺を強く揺さぶった。
■「六等星の男」アニメ版話数: Karte:05
あらすじ
大病院に勤める勤務医・椎竹(しいたけ)先生は、出世欲がなく周囲から見下されている冴えない男。しかし病院の幹部たちが保身から尻込みする緊急の難手術が発生した際、黙々と手術室へ入り、見事な神業で患者を救ってみせる。誰からも賞賛されずともただ患者の命のために腕を振るい続ける椎竹の姿に、一部始終を見ていたB・Jは深い敬意と誇りを抱く。
解説
原作ファンからも「隠れた最高傑作」と名高いエピソードを、原作「六等星」から「六等星の男」へタイトルを新たにして映像化。名声や富を追わず、目の前の小さな命を救うことだけに人生を捧げる椎竹先生の謙虚で美しい生き様は、「派手な一等星より尊い、名無き英雄」として、日々仕事や日常でひたむきに頑張る多くの社会人層に深い驚きと感動をもたらした。ひたむきな努力が報われる一瞬の輝きを描いた、温かな涙がこぼれる名編である。
■「緑の想い」アニメ版話数: OVA KARTE 8
あらすじ
弟の体から謎の「木の芽」が生えてくる奇怪な病に悩む兄が、藁にもすがる思いでB・Jを訪ねる。取り除いても次々と芽吹き、少年の肉体を植物へと変えていく奇病。その原因を究明するB・Jは、ひとりの老人と知り合う。老人は山の開発によって切り倒されようとしている巨大な老木を守るため、体を張って工事関係者と対立していた。B・Jは植物化する少年と切り倒されようとしている老木との間に「命の奇蹟」を見つめていく。
解説
本エピソードは、原作の『木の芽』と『老人と木』をベースに、出崎統監督によるOVA版『ブラック・ジャック』でアニメ化された。体から木が生えて少年の体を覆い尽くしていく衝撃的なビジュアルが、当時の視聴者に忘れられないインパクトを残した。人間による自然破壊の罪深さを描いたダークファンタジーであり、その深く重い“命のテーマ”は今なお多くのファンの心を震わせ続けている。
■「ときには真珠のように」アニメ版話数: ブラック・ジャック スペシャル~命をめぐる4つの奇跡~#4
あらすじ
ある日、B・Jのもとに石で作った鞘に収められている一本のメスが届けられた。包みにはJ・Hのイニシャル。B・Jはそれが子供の頃の彼を救った恩人、本間丈太郎からのものだと気づき、本間の元を尋ねて行く。そしてB・Jは老衰で横たわる恩人の懺悔を聞き、その死に立ち会うことになる。
解説
B・Jが「神様」のように尊敬する命の恩人・本間丈太郎先生の過去の過ちを巡る、シリーズ屈指の感動作である。完璧なはずの恩師がかつて手術中に体内に置き忘れてしまった一本のメス。しかし、そのミスを責めることなく、長い歳月をかけて美しい真珠のように優しく包み込んだ人体の神秘が描かれている。本間丈一郎がB・Jに「医師と人間の生命」の関わりを説いた名シーンは必見。
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命の平等を問う「オペの順番」に始まり、ひたむきに生きる少年の勇気を描いた「アリの足」、名もなき者の誇りを歌う「六等星の男」、自然への畏怖を描く「緑の想い」、そして生命の奇跡を描いた「ときには真珠のように」。
『ブラック・ジャック』という作品の底流にあるのは、いつの時代も変わらない「命そのものが持つ尊さと、生きようとする者たちへの深い愛」だ。
どれほど難しい局面に立たされても、あきらめずに命と向き合い続けるブラック・ジャックの背中は、私たちに生きる希望と優しさを教えてくれる。ABEMAの期間限定チャンネルでは、TVアニメシリーズ『ブラック・ジャック』をはじめ、『ブラック・ジャック〈OVA〉』『ブラック・ジャック21』『ブラック・ジャック ~命をめぐる4つの奇跡~』の全4シリーズ・全94話を、8月8日(土)より期間限定で毎日無料放送。ぜひこれら心を揺さぶる“命の物語”との素晴らしい出会いを楽しんでみてほしい。

