
画像は「転生したらスライムだった件 ANIME Illustration Collections」(講談社)
【画像】え、「丸見え」「覗いちゃってごめん」こちらが『転スラ』主人公の秘書の「お着替え中」の姿です
『転スラ』の大ヒットから約10年
異世界転生、追放、成り上がり……Web小説サイト「小説家になろう」を発端とする「なろう系」作品は、この10年ほどでアニメ・マンガの人気ジャンルとして定着してきました。しかし盛者必衰という言葉があるように、現在の流行もいつかは移り変わっていくものです。では次に「覇権」となるジャンルは、いったい何なのでしょうか。
もともとアニメの覇権ジャンルは、時代ごとの視聴環境や社会的な関心を反映しながら移り変わってきました。なろう系の次を考えるためには、その流れを一度整理してみる必要があるかもしれません。
ここ最近のアニメブームは、大きく2回あったように思えます。いわゆる第一次アニメブームに相当するのが、2010年~2015年頃です。この時代には『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『魔法少女まどか☆マギカ』『ソードアート・オンライン』『進撃の巨人』といった作品が大きな注目を集め、深夜アニメ文化が拡大していきました。
その一方で、当時はまだ「アニメ=オタクコンテンツ」というイメージも根強く、現在ほど一般層には浸透していませんでした。
空気が大きく変わったのは2016年のことです。新海誠監督の『君の名は。』が社会現象を引き起こし、それまでアニメ映画は「ジブリしか見ない」層までを映画館へと引き込みました。また同年には『聲の形』や『この世界の片隅に』といった作品も相次いで話題となり、アニメは「誰もが楽しむエンタメ」へと変化していったのです。
一方で、TVアニメの領域でも変化が起きていました。2015年にはアニメ『オーバーロード』が放送され、その翌年には『Re:ゼロから始める異世界生活』や『この素晴らしい世界に祝福を!』といった作品が次々に登場するなど、「なろう」発の異世界転生作品が台頭していきます。
そして決定的だったのが、『転生したらスライムだった件』のTVアニメ化です。2018年の放送をきっかけに、異世界転生や追放、成り上がりといった「なろう的フォーマット」がジャンルとして定着していきました。
Web小説をコミカライズし、アニメ化へ至るという流れも一般化し、そのサイクルは約10年にわたって続いています。こうした状況を踏まえれば、「なろう系」が一大覇権ジャンルに君臨していることは間違いないでしょう。
10年後のアニメ界を背負う「覇権候補」は?
では、「なろう系」の次にはどのようなジャンルが台頭するのでしょうか。もちろん未来を正確に予測することはできませんが、近年のヒット作を見ていると、いくつか有力な候補が浮かび上がってきます。
そのひとつが、『俺だけレベルアップな件』に代表される「現代ダンジョン系」です。従来の「なろう系」で定番だった異世界への転生や召喚ではなく、現代世界にダンジョンやモンスターが出現し、人類がそれに立ち向かうという設定が人気を集めています。
もっとも、現代ダンジョン系は「小説家になろう」でもすでに人気のジャンルであり、「なろう系」の次というよりも、進化形のひとつと見るべきかもしれません。
そこでもうひとつ、注目したいのが「AI・ロボット相棒系」です。これまで覇権ジャンルが時代ごとの空気を反映しながら移り変わってきたことを考えると、人と人工知能の距離がかつてなく縮まっている現代もまた、新たな物語を生み出す土壌になり得ます。
かつて『ドラえもん』が未来のロボットとの共生を描いたように、AI時代ならではの相棒像を描く作品が登場すれば、大きな支持を集める可能性もありそうです。はたして10年後、アニメ界の主役はどのジャンルになっているのでしょうか。
