
『令和のダラさん』キービジュアル (C)ともつか治臣・KADOKAWA/令和のダラさん製作委員会
【画像】え、「横から…」「はみ出てる」こちらが「童貞を殺すセーター」を着た『ダラさん』の姿です
話題作の舞台は「近畿」が多数?
夏休みシーズンを迎え、お気に入りのアニメの舞台を訪れる「聖地巡礼」の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。今回はその参考になりそうな、今期アニメシーンを彩る「西日本・近畿舞台作品」の魅力と、その背景にあるトレンドについて考察します。
滋賀、奈良、京都……近畿の風景を描く話題作たち
今期の夏アニメを見渡してみると、作品のテイストは多岐にわたりながらも、近畿地方を舞台にした作品が多いことが窺えます。
例えば、琵琶湖周辺を舞台に人間となった人魚姫の物語を描く『さよならララ』は、滋賀県の美しい水辺やノスタルジックな風景が見事に表現された注目作です。
また、甘酸っぱいラブコメディ『転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件』の一部舞台は奈良県の自然豊かな田舎町がモデルとなっており、独特の怪異描写が際立つ『令和のダラさん』も同県が舞台です。
さらに、明治時代の京都から滋賀に至る歴史ドラマを描く『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』や、室町時代の大和国(現在の奈良県)で「舞」に情熱を傾ける少年たちを描いた『ワールドイズダンシング』など、歴史の重みを感じさせる作品も存在感を放っています。

『ガールズ&パンツァー 劇場版』ビジュアル (C)GIRLS und PANZER Film Projekt
「脱・関東圏」の流れと、近畿圏が持つ独自の魅力
なぜこれほどまでに、近畿地方を舞台にしたアニメが集中しているのでしょうか。理由のひとつとして、「脱・関東近辺」の流れが考えられます。かつてアニメの舞台(聖地)といえばアクセスやロケハンのしやすさのためか、『らき☆すた』や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『ガールズ&パンツァー』など、首都圏、あるいはその近辺が中心となるケースが目立っていました。
しかし、聖地巡礼文化が一般化し、地方自治体や地域コンテンツとの連携が定着した現代では、作品の個性を際立たせるためにあらかじめ地方都市や独自の景観を持つ地域を舞台に据えるケースが増加しています。
なかでも近畿地方は、古都としての歴史や豊かな自然が都市部と密接に溶け込んでおり、フィクションの舞台として圧倒的な奥行きを与えてくれるため、クリエイターにとって魅力的なロケーションとなっているのでしょう。
民俗学などのカルチャーとの親和性
もうひとつ見逃せないのが題材との親和性です。例えば古くからの神社仏閣や伝承、土地に根付いた妖怪や怪異のうわさといった要素は、歴史の深い近畿地方と抜群の相性を誇り、それが『令和のダラさん』における祟り神の伝承に説得力を持たせます。
ほかにも『ワールドイズダンシング』が描く芸能の起源など、今期の近畿舞台作品には、土地が持つ歴史や伝承の「深み」が巧みに取り入れられています。つまり、単なる舞台設定にとどまらず、作品を観ることでその土地のカルチャーや伝承に触れられるのです。
この夏休みは、画面越しに感じた情景や歴史の余韻を確かめに、関西方面へ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
