もうすぐお盆休みがやってくる。海外旅行を計画している人も多いだろう。日本人に人気の高い渡航先、タイをはじめとする東南アジアはこの時期は雨季にあたり、スコールだけでなく落雷のリスクも高まるため、注意が必要だ。
タイ南部では8月4日、地域サッカー大会「ゴロックFAカップ2026」の準決勝で、タイ3部リーグのヤラFCに所属する24歳のウインガー、サフワン・アワエ選手が試合中に落雷を受けて死亡する痛ましい事故が発生した。医療スタッフが心肺蘇生法(CPR)などの救命措置を行ったものの助からず、さらに近くにいた12人も落雷の影響で負傷し、病院に搬送された。
現地では雷が鳴り続ける悪天候にもかかわらず試合が続行されたことについて、安全管理の問題を指摘する声が上がっている。
タイは現在、5月頃から10月頃まで続く雨季の真っただ中。日本人観光客が多く訪れるバンコクやプーケット、チェンマイなどでも、晴れていた空が午後になると一転して積乱雲が発達し、激しいスコールと雷雨に見舞われることが珍しくない。
日本では「雨が降っているから傘を差せば大丈夫」と考えがちだが、雷の危険性は別問題だ。サッカー場やビーチ、ゴルフ場、公園など開けた場所では、人が周囲で最も高い存在になりやすく、落雷の標的となる危険性が生じる。
落雷は直撃だけが怖いわけではない。地面に落ちた電流が周囲へ広がる「地表電流」によって、落雷地点から数メートルから十数メートル離れた人にまで感電することがあるからだ。今回、選手の周囲にいた12人が負傷したのは、この現象が考えられる。
最後の雷鳴から30分以上が経過するまでは屋内に
「スマホを持っていると雷が落ちやすい」という話を耳にすることがあるが、科学的根拠はない。危険なのはスマートフォンではなく、雷が接近しているにもかかわらず、屋外に居続けることだ。動画撮影や通話に気を取られて避難が遅れれば、それだけ危険は増す。
また、ホテルでスマホをコンセントにつないで充電している最中に近くへ落雷があった場合、電力線を伝わる「雷サージ」によって充電器やスマートフォンが故障するケースがある。雷が激しく鳴ったら、充電器をコンセントから外しておくと安心だ。
アメリカ国立気象局(NWS)は、雷鳴が聞こえたら直ちに屋外活動を中止し、最後の雷鳴から30分以上が経過するまで再開しないよう呼びかけている。観光中も同じで、寺院巡りやビーチ、ナイトマーケットへの移動中であっても、雷鳴が聞こえたら建物や車内へ避難することがなにより重要だ。
せっかくのバカンスを悲劇に変えないためにも、「タイの雨季はスコールだけでなく雷も危険」という認識を持って行動したい。
(カワノアユミ)

