セントルイス・カーディナルスは今夏のトレード期限で、ラーズ・ヌートバーをアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ放出した。
28歳の外野手を手放し、若手投手2人を獲得したことからも、今季の優勝争いよりも将来を見据えたチーム作りに舵を切ったことが窺える。
実際、カーディナルス専門メディア『Redbird Rants』は、トレード期限を前にしたチームについて「まさに板挟みの状態にあるチームの一つだった」と指摘。さらに、8月3日までに「新しいユニホームを着ることが確実視されていた選手が何人かいた」と振り返っている。
ところが、そうした“放出候補”と見られていた選手のなかには、最終的にカーディナルスに残った選手もいた。
同メディアが取り上げたのが、ライン・スタネク、ライリー・オブライエン、アレック・バールソンの3人だ。
■若手投手を守るためのベテラン
まず名前が挙がったのが、35歳の右腕ライン・スタネクだ。
カーディナルスは今回のトレード期限で若手を積極的に補強し、「優勝を狙わないことを明確にした」と『Redbird Rants』は分析している。
その一方で、チームが再建に舵を切ったからといって、すべてのベテランを放出すればいいわけではない。同メディアがスタネクの残留を説明するうえで強調したのが、若手投手への負担軽減だ。
「レッドバーズが最も避けたいのは、まだ成長途中の投手にMLBレベルの試合終盤を任せること」
つまり、優勝争いから後退したチームだからこそ、これから経験を積ませる若手投手をいきなり終盤の重要な場面に送り込むのではなく、ベテランのスタネクに任せる意味があるというわけだ。
同メディアはスタネクについて、頼りにしている選手を怪我させるリスクを回避してくれる存在だと評価している。
■守護神オブライエンも残留
続いて挙げられたのが、クローザーのライリー・オブライエンだ。
31歳の長身右腕は今季ここまで27セーブを記録。シーズン序盤には圧巻の投球を見せた一方、5月以降は苦しんだ時期もあったという。
それでも、ここまで守護神として一定の存在感を示していることに変わりはない。
『Redbird Rants』は、オブライエンについて、獲得を望むチームがあれば「最初の1か月の好調な状態に戻すだけの知識を持っている」と考えるはずだと指摘。
それでもトレードが成立しなかった理由として、同メディアはオブライエンがカーディナルスに残留する権利を持っていることを挙げている。
■バールソンには高額オファーも?
そして3人目が、外野手のアレック・バールソンだ。
今季、打率.284、125安打を記録しているバールソンには、トレード期限前から他球団の関心が集まっていた。『MLB Insider』のジョエル・シャーマン記者からも「獲得可能な打者の中で最有力候補の一人」と紹介されていたという。
『Redbird Rants』も、「かなりの高額オファーがあったことは間違いないだろう」と推測している。それでも、カーディナルスはバールソンを残す道を選んだ。
同メディアによれば、カーディナルスはバールソンの代わりに、チーム内での支配力がより弱いヌートバーをトレード。トップ30に入る有望選手2人を獲得する形で、チームの将来を見据えた補強を進めたという。
結果として、日本代表経験もあるヌートバーはチームを去った一方、バールソンは残留。今後も打線の中心を担うことになった。
カーディナルスが再建モードに入ったことは明らかだが、今回のトレード期限では、単純に「若手を残してベテランを放出」という判断をしたわけではないというのが現地での見方だ。若手投手の負担を減らすためにスタネクを残し、守護神オブライエンもチームにとどめ、将来の打線を担うバールソンについては放出せずにキープした。
ヌートバーの放出ばかりが注目された今回のカーディナルスの動きだが、その裏には、再建を進めながらもチームの競争力を維持するための判断があったようだ。
構成●THE DIGEST編集部
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