最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
『機動戦士ガンダム』のメカデザインに大河原邦男が組み込んだ「ある法則」とは?

『機動戦士ガンダム』のメカデザインに大河原邦男が組み込んだ「ある法則」とは?


売れる主役メカの要素を全て備えた「ROBOT魂 〈SIDE MS〉 RX-78-2 ガンダム ver. A.N.I.M.E.」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

【画像4枚】えっ、あのメカも? こちら多岐にわたる「大河原邦男デザインメカ」です

ガンダムの「玩具」を売るために実施された“あらゆる工夫”

 いまや一大コンテンツに成長した「ガンダム」シリーズですが、第1作『機動戦士ガンダム』(1979年)の制作当初は当時の他のロボットアニメ同様に、あくまで「スポンサーのロボット玩具を売る」という使命を課されたひとつの番組に過ぎませんでした。

 当時のロボット玩具業界では「売れるための絶対法則」が存在し、「ガンダム」もその法則に則りデザインされています。そして、ガンダムのデザインを担当したのは、ご存じのように大河原邦男氏です。

おもちゃ屋で勝つための「玩具三原色」

 当時、売れた玩具には必ず「赤、青、黄」の3色が使われ「玩具三原色」と呼ばれました。3色がうまく組み合わさると、おもちゃ屋のショーケースに並んだ際にもっとも子供たちの目を引きつけるのです。そのころ流行していた「超合金ロボット」にも、この手法が使われています。

 大河原邦男氏の著書『メカニックデザイナーの仕事論』(光文社新書)によると、当初、富野由悠季監督が思い描いていたガンダムは白一色でした。大河原氏は「それでは玩具は売れない」と判断し、三原色を散りばめたそうです。

ロボット玩具業界を支配する数字「3」

 当時のサンライズアニメにおいて、ヒットのキーワードは「3」でした。大河原氏が手がけた『無敵超人ザンボット3』は3台のマシンが合体、『無敵鋼人ダイターン3』は3段変形を見せました。

 ガンダム以前の『マジンガーZ』しかり、『ゲッターロボ』しかり、合体や変形のギミックは子供たちの大好物で、ロボットアニメの主役メカには不可欠な要素です。

 この要素は『ガンダム』にも受け継がれ、主役メカとしてガンダムのほかに、「ガンキャノン」「ガンタンク」が考案されました。ちなみに、順序としては最後にデザインされたガンタンクは、富野氏、安彦氏ともにあまり関心がなかったため、大河原氏は自由に描くことができたそうです。

 制作開始前、大河原氏はスポンサーであるクローバーの社長に、「コア・ファイター」をマッチ箱に見立て「上半身はガンダムに下半身はガンタンクに合体して遊べる」とプレゼンし、ゴーサインを勝ち取りました。しかしそうした「合体」のバリエーションは、本編にはほとんど反映されていません。

主役メカには「こけおどし」が大事

 リアルロボットと呼ばれるガンダムですが、細部を見ると「実際の兵器としては不合理なパーツ」がいくつか存在します。大河原氏はガンダムをデザインするときに、日本の鎧兜を参考にしました。

 兜には立物(たてもの)という装飾がついており、個人を識別する標識として、そして何より敵への示威としての効果を狙ったものです。このように主役メカには、見た瞬間に子供を驚かせる「こけおどし」、つまり派手さが必要だと大河原氏は主張します。

 当初、宇宙服をイメージして作られたガンキャノンは、主役メカとしては派手さが足りませんでした。そこで大河原氏は江戸時代からの伝統的な様式を再構築し、ガンダムをデザインします。頭頂部の突起はチョンマゲ、上半身は裃(かみしも)をモチーフにしています。ビームサーベルは刀を持つ侍のイメージでした。

 長く愛されたガンダムが生まれたのも、メカデザインに精通した大河原氏の力量あればこそだったのです。

※参考文献
『メカニックデザイナーの仕事論』(著:大河原邦男/光文社)

配信元: マグミクス

あなたにおすすめ