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渥美清「没後30年」全方位特集“旅と女と寅次郎”(2)蓬莱橋で「女難の相」

渥美清「没後30年」全方位特集“旅と女と寅次郎”(2)蓬莱橋で「女難の相」

 麗しきマドンナたちとともにシリーズ人気を不動にしたのが全国津々浦々を訪ねる旅情あふれるロケ地の数々だ。

 ここから先は、日本唯一のロケ地情報誌「ロケーションジャパン」(地域活性プランニング)の山田実希編集長にガイド役を願おう。

「『望郷篇』で描かれた昭和45年頃の小樽は、石炭産業の斜陽化などに伴い、なんとも寂しげな風情が漂っていました。ところが今では運河も整備され、すし屋通りをはじめ、小樽は北海道を代表する観光地に生まれ変わりました。当時を思い返して映画とのギャップをぜひ、楽しんでほしいですね」

 まさに光陰矢の如し。寅さん映画は、昭和史を記録する貴重なアーカイブスでもあるのだ。

 ちなみにここ小樽は、第15作「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」にも登場している。

「函館のラーメン屋台でリリー(浅丘ルリ子)と再会した寅さんはさえない中年男・兵藤(船越英二)と3人で気ままに北海道を旅する。兵藤の昔の恋人を訪ねて3人は小樽へ。ところがここで、寅さんとリリーが大喧嘩して別れ別れになる。今作は名場面が多いことで知られ、ファンの間では人気の高い作品です」(亀和田氏)

 気ままな列車の旅もシリーズの醍醐味である。

 初期作でもう一つの名作の呼び声が高いのが第6作「男はつらいよ 純情篇」だ。

 旅先の長崎港で子連れの絹代(宮本信子)と出会う寅次郎。実家に帰るかどうか迷っている絹代を連れて、五島列島の福江島へ。そこで旅館を営む父親(森繁久弥)と再会を果たす。ここで、渥美が尊敬してやまない喜劇俳優・森繁との丁々発止は今観ても見応え十分なのだ。

 18年に世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録され、多くの観光客が訪れるようになった五島列島。しかし、撮影当時は九州最西端の島でしかなかった。

「今から半世紀以上前に、この地を撮影場所に選んだスタッフの慧眼には頭が下がります。訪れたら、ぜひ絶品の『五島牛』に舌鼓を打ってほしいですね」(山田編集長)

 ここまで来たら、ついでに第35作「男はつらいよ寅次郎恋愛塾」のロケ地、五島列島の北部の新上五島町にも足を延ばしたい。

「あご出汁の名物で、新上五島町発祥の『五島うどん』で腹ごしらえをした後、急峻な山並みに建つ個性的な教会を巡り、寅さんの世界に思いを巡らせてほしいものです。旅グルメとしては養殖クロマグロも絶品です」(山田編集長)

 さらに、この夏とっておきのロケ地として山田編集長が提案するのが、第22作「男はつらいよ 噂の寅次郎」で登場する静岡だ。

「旅の途中、島田市の大井川にかかる蓬莱橋で雲水(大滝秀治)に“女難の相”があると告げられる印象的なシーンが登場します。その上流には木製の個性的な吊り橋が12本も架かっており、その下を大井川鐵道が走っている。乗り鉄にはたまらない絶景スポットになっています。さらに、和彩食堂『あけぼの』で食べるジビエの餃子は絶品。奥大井の自然が育んだ味わい深い“川根茶”もぜひ味わってもらいたいですね」

 酷暑に一服の涼をもたらす旅に出て、あなたも寅さんの思い出に浸ってみてはいかがだろうか。

配信元: アサ芸プラス

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