
父・憲剛の「14」を背負った選手権。日大藤沢のMF中村龍剛、キャプテンとして挑む“もう一度あの舞台へ”
「本当にめちゃくちゃ楽しくて。事前合宿や試合を思い出せば思い出すほど楽しかった。重圧も多少あったけど、それよりもワクワクが勝っていた。等々力にたくさんの人が入ってくれたので、自分を見せてやると意気込んでいた。すごく思い出の大会になりました」
日大藤沢のMF中村龍剛(3年)は、父である元日本代表・憲剛氏の代名詞である14番を背負い、ピッチに立った昨年の選手権を振り返る。最終学年の今年はキャプテンに任命。この夏は再び選手権の舞台に戻るため、ピッチで奮闘を続けている。
6月に行なわれたインターハイ予選は、選手権から2大会連続での全国大会出場を目ざしたが、準決勝で桐光学園に0-2で敗れた。
「自分はチームのキャプテンなので、インターハイで負けた悔しさを絶対に忘れちゃいけないという気持ちで日々練習しているし、全員、インターハイで負けた時の悔しさが毎日の練習で心に刻まれていると思う」
そう口にする中村を中心に「気持ちだけ、身体だけでは桐光学園や桐蔭学園には勝てない」とワールドカップで優勝したスペイン代表のスタイルを参考に選手同士の関りを増やし、テンポよくパスを繋いで崩す攻撃を磨いてきた。
全国各地から強豪が集まる国内最大級のフェスティバル「和倉ユースサッカー大会」はそうした取り組みの成果を示す格好の舞台だ。
「暑さや時間帯など、色んな状況が変わりながら試合は進んでいくので状況によって繋ぐのか、シンプルにプレーするのか判断しないといけない。自分はチームを落ち着かせるプレーや、ゲームを作るところを武器にしているので、チームがスムーズになる動きを、毎試合徹底している」
そう話す中村は3列目で攻撃のリズムを作りつつ、機を見てはゴール前への配球を続けていく。
大会初日は複数得点を奪い2連勝とチームとして成長の跡を感じさせる試合運びを披露したが、中村は自身の出来に満足していない。
「得点とアシストという目に見える結果でチームに貢献して、より一層選手として成長したいという気持ちで今大会に臨んでいるのですが、初日は2試合ともに得点とアシストがゼロで終わってしまった」
大会2日目の市立船橋戦も決定機がありながらもゴールネットを揺らせないまま試合が進んでいったが、試合終盤に精度の高い右足キックを披露し、左CKから決勝点をアシスト。直後には一瞬の隙から失点し、「強い相手であるほど、あそこは許してはいけない。もう一回ちゃんと徹底しないといけない。勝ったから良しとするのではなく、しっかり失点にフォーカスして明日も勝ちたい」と気を引き締めたが、随所で彼の良さは出ていた。
持ち味である上手さ以上に目を惹いたのはボールを持っていない時の動きだ。
「昨年は3年生が凄く良い人たちだったので、負けたくない気持ちで何とか気持ちで走っていたのですが、今年は少しずつ筋肉が付いてきてしっかり走れるようになった。それにキャプテンということもあり、試合を通してチームを鼓舞するところは凄く上がってきている」
そう話す中村は試合終盤に市立船橋のカウンターを受けそうになった場面で、懸命に相手を追いかけ、上手く身体を入れてボールハント。相手に押し込まれた苦しい展開では声を張り上げ、チームメイトを鼓舞する姿も印象的で、逞しさは昨年よりも増している。
「キャプテンとしても、一選手としても、もっと相手に怖がられる選手になっていきたい」と口にするようにこの夏、さらなる進化を遂げ、晴れ舞台に戻る準備を進めていくつもりだ。
取材・文●森田将義
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