朝、着替えながらスマートフォンに「Hey Google、いつものニュース番組を流して」と頼む。車に乗ればハンドルから手を離さず「妻に電話して」「いつものラジオを流して」。音声操作が習慣になっている人には、9月4日からの変更が思わぬ不便を招くかもしれない。
Googleは8月上旬、対象ユーザーへのメールで「Googleアシスタント」のモバイル版を9月4日から順次終了すると案内した。生成AIの「Gemini」に置き換えることになる。
変更は数週間かけて対象ユーザーに適用され、完了後はGoogleアシスタントに戻せなくなる。Geminiの動作条件を満たさない古い端末などは対象外だ。呼びかけの「Hey Google」は残るが、その先で答える相手が変わる。問題は、Geminiが従来の仕事を全て引き継いでいるわけではないことだ。
Googleの公式ヘルプには、Geminiで未対応の機能としてポッドキャスト、ニュース番組やラジオ局の音声再生、一部の外部音楽サービス、通訳モードが挙げられている。ルーティンは利用できるものの、一部の開始条件や動作には対応していない。
出勤前にニュース番組やラジオを流していた人は、利用するサービスによって同じ指示が通らなくなる可能性がある。海外旅行でスマホを相手との間に置き、双方の会話をリアルタイムで訳す通訳モードも使えない。
Googleは現在、Geminiで使えない機能については、Googleアシスタントへの切り替えを案内している。通訳モードのヘルプにも「Googleアシスタントに切り替えてください」と書かれている。ところが9月4日から始まる移行が適用された端末では、その切り替え先がなくなる。終了までに機能が追加されなければ、Google自身が示していた回避策まで使えなくなるわけだ。
賢くなったはずのAIがかえって操作を面倒にする
その影響が及ぶのは、スマホだけにとどまらない。スマホと車載画面をつなぐ「Android Auto」、Wear OS搭載の腕時計、対応イヤホンも移行対象に含まれる。
一方、車自体にGoogleの機能を組み込んだ「Google built-in」搭載車ではGoogleアシスタントが当面、継続するため、同じ車内音声操作でも扱いが分かれる。
Android Autoでは6月中旬、Geminiから音声で電話をかけられない不具合が、一部の利用者に発生した。Googleはこの問題を認め、6月16日にアプリ更新で修正している。問題が起きた一部の利用者はGoogleアシスタントに戻して対処していたが、移行が適用された後はこの手段をとることができない。
運転中に求められるのは気の利いた会話ではなく、「電話して」「自宅へ案内して」というひと言への確実な反応だ。それは台所やリビングでも変わらない。賢くなったはずのAIが、これまでひと言で済んでいた操作をかえって面倒にしないか。切り替わる前に、ふだん使っている音声操作をひと通り試しておいた方がいい。
(ケン高田)

