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「蛾」がモチーフらしい『ウルトラマンタロウ』登場の超異常デザイン怪獣 作者「描いていいのかな?」「後で怒られた」

「蛾」がモチーフらしい『ウルトラマンタロウ』登場の超異常デザイン怪獣 作者「描いていいのかな?」「後で怒られた」


「ウルトラマンタロウ COMPLETE DVD-BOX」(バンダイビジュアル)

【画像】え、「要素が多すぎる」「上半身が股関節みたい」コチラが『ウルトラマン』の一応「蛾がモチーフ」の奇怪な怪獣です

デザイナー「こんなの描いていいのかな?」

 昭和ウルトラシリーズに登場する怪獣たちは、ざっくりながら大きく二種類に分けることができます。すなわち「シンプル」か「複雑」か、です。そのなかでも、「蛾」がモチーフの、複雑怪奇な怪獣がいました。

『ウルトラマン』『ウルトラセブン』においてデザインを担当(『セブン』は途中降板)した成田亨さんが手がけた怪獣たちは、まさにシンプルそのものです。それだけに唯一無二でした。

「ゴモラ」「レッドキング」「ゼットン」「エレキング」などなど……現在も「ウルトラ怪獣」といえば、成田さんが手がけたこれらの怪獣たちをイメージする人も多いでしょう。

 さて、そんなウルトラ怪獣たちも『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンA』『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』と、いわゆる「昭和二期」になると俄然、雰囲気が変わっていきます。

 その特徴は、とにかく「ド派手」です。とりわけ『ウルトラマンA』で登場した「超獣」は、シンプルとはかけ離れた姿をしています。複雑でときに過剰とも思えるその装飾ぶりは、コアなファンを惹きつけてやみません。

 こうした昭和二期の「ウルトラ怪獣」たちの筆頭デザイナーのひとりが、鈴木儀雄さんです。それこそ「サボテンダー」「ユニタング」「ヒッポリト星人」「タイラント」など、作家性の強い怪獣(超獣)たちが鈴木さんの手によって数多く放たれました。

 そして、この鈴木さんが手がけた怪獣のなかでも、今も特撮ファンから「どうしてこうなった」と嬉しい悲鳴にも近い評価を受けているのが「ムルロア」です。

『ウルトラマンタロウ』の第24話「これがウルトラの国だ!」、そして第25話「燃えろ!ウルトラ6兄弟」で大暴れする、別名「宇宙大怪獣」でした。

 その強さは宇宙レベルで、地球を暗黒に覆うなど、計り知れない実力の持ち主です。そして、それ以上にもっと計り知れないのが、そのビジュアルでした。

 これは、異形の極地としか言いようがありません。ぱっと見で理解が追いつかない、だから余計に見る、でもやっぱり分からない、そんな深淵を思わせるカオスさです。

 設定上は「蛾がモチーフ」ということになっているのですが、そんなわけがあるでしょうか。たしかに、頭部は蛾の構造が仮面のように張り付いており、その顔つきはどこか福岡の郷土芸能「博多仁和加」で着用する、半面を思わせます。

 そして何より、その胴体から尻尾にかけての構造が異常です。脊椎動物の骨盤のような形状をしており、ちょうど股関節っぽい部分からハサミ状の手が生えています。一方、その骨盤状の構造自体が翼のようにも見えるのです。本当に、「着ぐるみ」になったことが奇跡としか思えません。

 実際、鈴木さんはムルロアをデザインしている時に「こんなの描いていいのかな?」と半信半疑の状態だったといいます。生みの親すら戸惑っているのですから、視聴者が驚愕するのは無理からぬことでしょう。

 そして案の定、ムルロアの着ぐるみは作るのに相当な手間がかかったようで、鈴木さんはのちに円谷プロの経理担当者に叱られてしまったのでした。

 生みの親は困惑、経理担当者は怒り、そして視聴者は目を疑う事態になるという、まさにカオスの象徴として「ムルロア」は産声を上げたのです。

参考書籍:『円谷怪獣デザイン大鑑 1971-1980』(ホビージャパン)

配信元: マグミクス

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