各地で酷暑日を記録した7月22日、府中刑務所付近も早朝からグングンと気温が上昇していく。午前8時、警戒する刑務官も汗だくになるほどの猛暑の中を1人の男が出所した。淡いグレーのスーツにハットを被り、待機していた組員とともに駐車場へと足取りも軽く、出迎えの車両に向かっていく。その横顔からは笑みを浮かべているように見えた。この男こそ、神戸山口組(井上邦雄組長)若頭補佐である二代目英組・藤田恭道組長である。
藤田若頭補佐は22年7月に都内江戸川区の拠点にいたところ、周囲で写真を撮影するなど怪しい行動をとる男らを発見。追いかけて、その男の左大腿部を包丁で刺したとして逮捕された。拠点周囲をうかがっていたのは、三代目弘道会(当時)系組織の関係者と言われ、襲撃の下調べをしていたと見られている。
その後、藤田若頭補佐は傷害罪で起訴され、24年に懲役3年6カ月の有罪判決を受けて服役した。実に4年ぶりにシャバの空気を吸ったことになる。笑みの理由はそれだけではないだろう。服役している間に六代目山口組が一方的に抗争終結を宣言。以後、抗争事件は起きていない。そんな安堵もあったのではないか。
しかし、藤田若頭補佐が出所時に乗った車両の後ろには、警察車両3台が追尾するなど、当局は警戒を緩めていなかった。
翌23日、兵庫県明石市内で神戸山口組の井上組長をはじめ直参衆が集まり、藤田若頭補佐の放免を祝ったという。これまで沈黙を続けてきた神戸山口組は、最高幹部の現場復帰で何かしらのリアクションを起こすのか。今後が注視される。

