
ヴェルディ期待の若手、仲山獅恩が覚醒のために必要なこと。U-19日本代表の主軸候補でA代表のW杯にも帯同。“ギラギラ感”と“現実の狭間”
[J1・第1節]東京V 1−1 川崎/8月9日/味の素スタジアム
決して物怖じはしない。やってやるというメンタリティも誰よりある。一方、試合に展開によっては欲を出しにくい状況があるのも事実。“ギラギラ感”と“現実の狭間”。揺らぎそうになる感情の中で、東京V期待の若手、MF仲山獅恩がもがきながらも前に進んでいる。
今年1月からトップチームでプレーする18歳はJ1百年構想リーグを経て、新シーズンをスタートさせた。開幕戦、川崎とのオープニングマッチはスタメンの可能性もあったが、ベンチから戦況を見守った。
出番が訪れたのは、1−0でリードした63分。ピッチに送り込まれると、3−4−2−1の右シャドーで持ち味を発揮しようと試みた。しかし、難しかったのは試合展開。1点を先行している展開では攻撃的に振る舞うよりも、バランスを取りながら守備に力を割く時間帯が多くなった。本人も理解しており、自分の欲を優先させる気持ちは1ミリもない。
「まずは勝つことが大事。もちろん、自分の結果よりもチームの助けになるようにプレーするのが最初の考えにある。今日は個人として結果を出せなかったけど、チームの結果を最優先に考えているので」
点を取りたいという気持ちを持ちながらも、チームの勝利を最優先に考えて仲間のために汗をかいた。
ただ、これで良いと思っているわけではない。結果を残せなければ、スタメンを勝ち取れないし、いつベンチから外れるかも分からない世界にいる。さらにU-19日本代表の一員として今年6月にはA代表のワールドカップにトレーニングパートナーとして帯同。多くのことを学び、現場でしか味わえない体験をしてきた。
「あの経験はものすごく大事だった。これだなって自分の中で思っている」と振り返った体験は唯一無二の出来事で、仲山は「自分に何が足りないのか、何が足りているからここをもっと伸ばさないといけないとか、そういうのが明確になったので、こっちに帰ってきてからものすごくやりやすい」と振り返る。
とりわけ感じたのは個の重要性だ。世界のベスト4に入ったチームには必ず圧倒的なタレントがいた。スペインのヤマル、アルゼンチンのメッシ、イングランドのハリー・ケイン、フランスのエムバベ。いずれも一人で試合を決められるスーパースターだ。仲山はリアルにその姿を見てきた。守備も含めて、強調した個について仲山は言う。
「自分でなんとかする。自分は周りを使って活きるタイプだけど、世界を見てもやっぱり個なんで。個のところでは味方を使いながら剥がしている部分はあるけど、個でどう違いを出せるかは常に意識している。
守備でも攻撃でもなんですけど、個にこだわって決めたり、アシストしたり。守備では誰よりも走って守ることだったり。どの局面にも個はあると思うので、そこでどれだけ自分が上回れるかというのを考えてやるようになりました」
もちろん、言うのは簡単でやるのは難しい。今の起用法は途中からがメインでチームのバランスも見なければならず、難易度はかなり高いと言える。それでも結果を出さなければ、次はない。その立場にいるのも事実で、覚醒のために“個”で示す必要がある。
現状では攻守においてアベレージが高く、サッカー理解度も目を惹く。だが、圧倒的に突き抜けている武器があるとは言えない。その武器を磨くことも含め、まだまだやるべきことはある。18歳の若武者は今何を思うのか――。苦しんだ先に光があると信じ、今はただがむしゃらにやり続けていく。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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