最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
在日コリアンのひとつの“今”を描いた映画『トロフィー』市川実和子インタビュー「青春が美しく、生きる楽しさが描かれている」

在日コリアンのひとつの“今”を描いた映画『トロフィー』市川実和子インタビュー「青春が美しく、生きる楽しさが描かれている」

K2 Pictures製作、分福企画による、是枝裕和監督や西川美和監督の監督助手を務めて きた、映像制作集団分福の新鋭・孫 明雅(そんみょんあ)監督の長編デビュー作映画『トロフィー』が現在全国公開中です。

自身も朝鮮学校に通っていた在日コリアン3世である孫監督が、自らの経験と感情を起点に、いまの時代を生きる在日コリアンの葛藤を、みずみずしく、繊細な筆致で描き出した本作。公開初日から多くの映画ファンの支持を集め、国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス「Filmarks」において、初日満足度ランキング第1位(★4.03/7月13日時点)を獲得。観客から高い評価を受け、現在も満席が相次ぐなど注目を集めています。

主人公ソヒの母ミリョンを演じた市川実和子さんにお話を伺いました。

【ストーリー】主人公は在日コリアンの14歳の少女・ソヒ。朝鮮学校に通い、部活で朝鮮舞踊に打ち込む日々を送っている。ある日、日本学校との交流会で日本人の未来とK-POP好きという共通点で仲良くなり、ソヒは少しずつ外の世界と繋がりを持っていく。そんな中、ふたりは推しのK-POPアイドルのライブチケット代を稼ぐために、ソヒの家にある不用品をフリマサイトで売ることに。そこで意外にも高値で売れたのは、朝鮮学校の校長である父・サンジュが持っていた一枚の北朝鮮のCDだった。それに味をしめたソヒたちは、サンジュが祖国・北朝鮮から授与された”勲章”までも売ってしまうー。

──本作大変素晴らしかったです。市川さんは脚本のどの様な所にまず惹かれましたか?

まずは自分が演じるとか考えずに、すごく可愛らしいお話だなと思いました。思春期のグチャグチャした感じって、周りから見たらキラキラ輝いて見えるじゃないですか。監督に「(台本を読んで)どう思われましたか?」と聞かれた時も「すごく可愛いお話でした!」と言ったら、「可愛いですか?」と驚いていらっしゃいましたけど。

──私も「可愛い」に大共感です。監督はご自身の経験でもあったりするので、意外だったのかもしれませんね。

そうなんですよね。自分自身の青春時代なんては暗闇の様に感じていたけれど、周りから見たらこんなに素敵なんだって、今になって自分を認めてあげられたような気持ちになりました。そのくらい大人になったのだろうなと感じましたし、色々と気付かされる作品だなと思います。

──ソヒのオンマであるミリョンを演じることに緊張などはありましたか?

私が在日コリアンの方を演じるということは失礼ではないかな? 何かを踏みにじってしまわないかな?という心配はありました。でも、私が一番最初にこの物語に感じた思春期に対する普遍的な感情というか、人の心の動きには国籍は関係無いかなとも考えました。失礼じゃないかな?大丈夫だよね、という両極端の感情で動いていた感じです。

──オンマ、とっても素敵でした。

本当ですか?男の夢を打ち砕く様なオンマだったかなと心配しているんですけれど(笑)。

──ソヒがお父さんの勲章を売ってしまったことが発覚した時に、「何でソヒがこんなことをしたと思う?」とお父さんに聞くシーンが本当に好きでした。

ありがとうございます。本当に皆さんに助けていただいて良いシーンになったのだと思います。ソヒ役の恒那ちゃんはすごくさっぱりしていて、あんなに美しい子なのにおっさんみたいなんです。大物になると思います。素のままでいてくれるから私も素でオンマになれたし。
(井浦)新くんも、たぶん出会ってから30年くらいの時が経っていて。10代の頃から知っているので、積み重ねてきた年月みたいなものが、何にも代えがたいなと感じる瞬間がたくさんありました。言葉にしなくても通じ合うことが何度もあって。自分が自分以上になる必要が無かった現場だなと思います。

──市川さんは本作で特に気に入っているシーンはどこですか?

自分のシーンでは無いのですが、ソヒと未来が遊んでいる楽しそうな姿を見ているだけで尊いなと思いましたし、舞踊のシーンも素晴らしかったですね。

──市川さんご自身がソヒの年齢の頃はもうモデルのお仕事をされていたのですよね。

そうですね。あんな風に何かに夢中になったりしたタイプではないので、羨ましくもありました。恒那ちゃんと最初に会った時に、一人で帰っていったので「こんな透明感の塊みたいな子が一人で帰るなんて!」と心配になっていたのですが、よく考えたら私もおなじくらいの頃一人で仕事行って一人で帰っていたなあって。

──本作を拝見して、あからさまな差別は減っているかもしれないけれど、他国の踊りを馬鹿にしたりとか、茶化して、多分無自覚に差別している人はたくさんいるし、傷ついている方もたくさんいるのだろうなと感じました。

そうなんですよね。全てを世代のせいにするわけでは無いのですが、私が10代の頃って斜めから見る、斜に構える、冷笑することが面白いという時代だったので、今になって申し訳ないなという気持ちになることがあります。

──すごく分かります。劇中に北朝鮮の勲章のコレクターが出てきますが、ああいう方ってたくさんいたと思いますし、当時は私も特段不思議に思っていなかったので、反省も含めて複雑な感情になりました。

本当にごめんなさいって思いますよね。一生懸命に生きていることが素晴らしいと心から思いますし、本作を観た方は同じ様な気持ちになってくれる方もいらっしゃるのではないかなと。

──在日コリアンの少女が主人公の物語ですけれど、どんな方にも刺さるメッセージがある物語だと感じました。

在日や朝鮮学校という題材はどこか遠くに感じている部分もあったのですが、本作に入る前に監督に色々はお話をしていただいて、興味深く感じられることがたくさんありました。この映画に出てくる人たちは、みんな“属性”によって覆い隠されてしまった個人の事情や環境を乗り越えようとしている所が素敵だと思います。何よりも本当に青春が美しく描かれている作品ですので、生きる楽しさみたいなものも感じていただけたら嬉しいです。

──今日は素敵なお話をありがとうございました。

映画『トロフィー』
https://k2pic.com/film/trophy/ [リンク]

©2026 K2 Pictures

配信元: ガジェット通信

あなたにおすすめ