まさに電撃補強だった。今夏にマルク・ククレジャやヤン・ディオマンデなど名前がほとんどメディアに浮上しないうちに獲得をまとめてきたレアル・マドリーが、7月30日にレバンテの新星FWカルロス・エスピの加入を発表した。
レバンテの地元スポーツ紙『Superdeporte』は、その5日前の25日にマドリーがジョゼ・モウリーニョ監督の強いリクエストを受けてレバンテに接触し、クラブ間合意に達した後、ゴンサロ・ガルシアのフルアム売却完了(移籍金は保有権の70%に相当する4000万ユーロ=約73億円)を待ってメディカルチェック、サイン、公式発表へと至った舞台裏を明かしている。
その間、ブライトン、クリスタル・パレス、ハルが猛アプローチをかけたが、レバンテは環境面や戦術面を考慮してマドリーがエスピにとって最も適切な移籍先と判断し、交渉成立に全力を注いだという。
マドリードに拠点を置くスポーツ紙『AS』は、マドリーが21歳のエスピに興味を持った背景を次のように説明している。
「マドリーが求めたのは、かつてホセル(現アル・ガラファ)が果たした役割を担えるFWだった。確かな得点力を備え、キリアン・エムバペに休息が必要な場面や、モウリーニョが純粋なフィニッシャーを欲した際、いつでも牙を研いで待機できる計算の立つサブだ」
「攻撃が手詰まりになった時、その停滞を打破したり、あるいは試合展開に強烈な揺さぶりをかける。エスピはその補強像に完全に合致する。1部初挑戦となった昨シーズンに彼が証明してみせた最大の魅力は、ゴールへの飽くなき執着心に他ならない。公式戦27試合で13ゴールを記録し、レバンテの1部残留の重要な立役者になった」
移籍金は契約解除金に相当する2500万ユーロ(約45億円)。マドリーはG・ガルシアと入れ替える形で純利益まで得た格好となったが、この両者の比較について戦術アナリストのアドリアン・ブランコ氏は、「エスピはクロスのターゲットとして圧倒的な強さを誇る9番であり、ポストプレーで攻撃の起点となり、デュエルで強さを発揮する。昨シーズン後半戦、彼が与えた衝撃は絶大だった。客観的に見て、パワープレー要員としての適性はG・ガルシアよりも高い。『ホセル 2.0』と呼ぶべき存在だ」と分析する。
覚醒のきっかけは昨年末のルイス・カストロ監督の就任だった。それまでラ・リーガで先発ゼロだった若武者は、出番が増えると一気にゴールを量産した。
得点力の背景にある気迫を前面に押し出すプレースタイルについて『AS』のレバンテ番、ルイス・サンチョ・デロサ記者は「武骨な昔ながらのストライカーは、自身のフィジカルを極限まで活かしきる。信念そのもの、ゴールそのものだ。山をも動かす確信と、貪欲な捕食者の如き飢餓感を胸にピッチに立っている」と描写する。
その執念はゴールに向かう姿勢だけでなく、クロスに飛び込む勇気、相手CBとの競り合い、前線からのプレッシングにも如実に表れている。昨シーズン、1部残留を賭けた大一番の37節マジョルカ戦(2-0で勝利)では相手CBダビド・ロペスに猛烈な勢いでプレスをかけてボールを奪い取り、そのままGKレオ・ロマンの虚を突いて右足でネットに沈める先制弾。まさに彼の真骨頂と言えるゴールだった。
ピッチに立てば必ず爪痕を残す。レバンテで証明してきたその強烈な存在感を発揮する力を、マドリーとモウリーニョは期待している。
文●下村正幸
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