8月3日のトレード・デッドラインが過ぎ、ポストシーズン進出を目指すコンテンダーの補強は一段落した――わけではない。実績がありながらデッドライン前後に所属球団をリリースされた選手たちが、新たな補強候補として密かに注目を集めている。
7日、ヤンキースはマリナーズを解雇されたばかりのベテラン捕手ミッチ・ガーバーとマイナー契約を交わした。デッドライン・トレードでルイス・ガルシアJr.(一塁手)、エリオット・ラモス(外野手)を補強したヤンキースだが、球界ワースト級の打撃成績に苦しむ捕手は手つかずのままだった。一方のガーバーは、ここ数年は精彩を欠いているものの、23年にはレンジャーズで19本塁打、OPS.870を記録して世界一に貢献するなど実績十分。ヤンキースにとってはまさに「渡りに船」の補強となった。
夏のトレード市場で課題の投手陣の底上げに失敗し、マイク・ヘイゼンGMが「仕事が果たせなかった」と自己批判したダイヤモンドバックスも積極的に動いている。
5日にナショナルズをDFAとなった先発右腕のザック・リッテルと契約に合意。今季はここまで112.1回で防御率4.97と苦しんでいるが、レイズとレッズで投げた昨季は32先発で10勝、防御率3.81の好成績でポストシーズンのマウンドにも立った。ダイヤモンドバックスはさらに前パイレーツの救援右腕デニス・サンタナとも契約。こちらも昨季は70登板で防御率2.18、16セーブの好成績を残しており、新天地での復活が期待される。
そのダイヤモンドバックスとワイルドカードの座を激しく争う同地区のパドレスは、9日にベテラン外野手のオースティン・ヘイズと契約した。
23年にオールスター出場経験もあるヘイズは今季、ホワイトソックスで開幕を迎えたものの、5月上旬に左ふくらはぎを痛めてIL入り。離脱中に若手選手が続々台頭したこともあり、8月5日にILから復帰と同時にDFA→解雇となっていた。ギャビン・シーツ、タイ・フランスの活躍からも明らかだが、近年のパドレスは「中堅/ベテラン野手再生工場」と化しているだけに、このヘイズも復活の可能性は十分あるだろう。
現在、FA市場には元本塁打王のホーヘイ・ソレーア、マーセル・オズーナらがまだ残っている。彼らのような実績十分のベテランが、ポストシーズン争いに影響を与える可能性も十分。夏の補強戦線はまだ終わっていない。
文●久保田市郎
1976年、東京都出身。2002年にSLUGGER編集部に加入、編集長を務めた後、26年にフリー・エージェントとなる。日本の雑誌メディアで最初にOPSやDRSを紹介した一人。
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