NBAのオフシーズンでは、新加入選手がどれだけそのチームへフィットするのか、開幕までにどんなタイプの選手を加えたいか、といった話題があふれている。
また、史上最高の選手を意味する“GOAT(Greatest Of All Time)”や歴代最強のスターター陣に関するトークも展開され、ベスト5については“フランチャイズ別”でセレクトするケースもある。
現地時間7月27日(日本時間28日、日付は以下同)、『The Smoking Cuban』でダラス・マーベリックスの番記者を務めるノア・ウェバーは、チーム在籍2年目を終えたナジ・マーシャルへ「マブズ史上最高の先発陣は?」と投げかけた。
そこで28歳のフォワードは、ポイントガードから順に「J-Kidd(ジェイソン・キッド)、カイリー(アービング)、マイケル・フィンリー。…それとダーク(ノビツキー)、タイソン・チャンドラーだね」と回答。
マブズ一筋21シーズンを過ごしたノビツキーは、レギュラーシーズン通算1522試合出場や3万1560得点、1万1489リバウンド、3ポイント成功数1982本など、数多くの球団最多記録を保持するレジェンド。2006年にファイナル進出を果たし、2011年には球団初優勝をもたらしてファイナルMVPにも輝いた。
その当時のチームメイト、チャンドラーは在籍2シーズンのみだったが、守護神としてリーグ制覇へ貢献したほか、引退後に古巣マブズで選手育成コーチも務めた。
フィンリーは約9シーズンの在籍でノビツキーやスティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)と主軸を務めたウイングで、タフガイで知られたスコアラーの1人。
マーシャルが最初に挙げたキッドは、約8シーズンの在籍で球団トップの平均8.4アシストに10.5点、5.5リバウンド、1.9スティールを誇った名司令塔。キャリア終盤にマブズへ帰還し、ノビツキーを強力にサポートして王座獲得に大きく貢献。昨季まではマブズで指揮を執っていた。
アービングはケガのため昨季は全休を余儀なくされたが、在籍約3シーズンで球団2位の平均25.5点に4.9リバウンド、5.1アシスト、1.3スティールと、堂々たるスタッツを残している。2024年には球団史上3度目のファイナル進出を大きく後押しした。
確かに、マーシャルが挙げた5人は、このフランチャイズを代表する選手たちと言っていい。ただ、マブズ在籍約7シーズンで球団トップの平均28.6点、同2位の8.3アシスト、トリプルダブル数で同トップの80回を誇るルカ・ドンチッチ(現ロサンゼルス・レイカーズ)が不在なことに違和感を覚える人もいるはず。 実際、ファンからは「この野郎、ルカ・ドンチッチはどこにいるんだよ」と叫ぶファンもいれば、「マブズの選手契約には、ルカ・ドンチッチの存在を認めてはいけない条項でも盛り込まれているのか?」というリアクションも。
また、「これで次の試合、ルカは死に物狂いでプレーするだろうな。でも、マブズの世界からルカの存在を消し去ろうとするような動きのおかげで、このチームを愛する気持ちから憎む気持ちへと切り替えるのが、本当に楽になりそうだ」、「もうこいつはこれからヘイトウォッチ(嫌いながら観続ける)の対象だな」といった声もあった。
2024-25シーズンからマブズ入りしたマーシャルは、シーズン序盤こそドンチッチと一緒にプレーしたが、2025年2月2日に成立した3チーム間トレードでレイカーズへ移籍。
キッドは優勝時の司令塔で、アービングは今もマブズで一緒に戦うチームメイトということもあり、マーシャルはバックコートにその2名をセレクトしたのかもしれない。
といっても、マーシャルがドンチッチのことを嫌っているわけではない。ドンチッチがレイカーズの一員としてアメリカン・エアラインズ・センターへ凱旋した際、マブズはトリビュートビデオで温かく迎え入れた。
その時、マーシャルは「素晴らしかった。ルカはこの街にとって非常に大きな存在だし、この街にとっても彼はそういう存在なんだ。ルカは母国を離れ、ダラスを拠点にしてアメリカにおけるキャリアをスタートさせた。…そこには愛しかないのさ」と語り、ドンチッチをこう評していた。
「彼は唯一無二の存在さ。彼がどれほどの実力かは誰もが知っているし、こうしたストーリーは前にも目の当たりしてきた。ルカへ敬意を表したい。戻ってきてあのような時間を過ごせたことは、彼にとってすごく大きなことだっただろうから、彼にエールを送りたい」
マブズとファンにとって、ドンチッチとの別れが突然訪れたことで大きなショックを受けたに違いない。それはマーシャルも同じで、驚きを隠せなかったはずだ。
だがマブズとドンチッチはトレードによって別々の道を進み、それぞれ優勝を目指している。マーシャルの“球団ベスト5選定”が来季のレイカーズ戦で影響するかは微妙だが、少なくともこの男にドンチッチに対するネガティブな思いはないと言えるだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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