
オランダ開幕戦、23歳日本人アタッカーが“新境地”で躍動! 敵を混乱に陥れる“パニックメーカー”の資質【現地発】
プレシーズンマッチで好結果を残したフェイエノールトは、アヤックスに次いで下馬評が高い。オランダリーグ初戦は8月9日、同じロッテルダムのスパルタとのアウェーゲーム。立ち上がりから中盤を制圧したフェイエノールトは60分間に渡り、一方的に攻め立てたが、35分にMFバレンテがあげた1点にとどまり、終盤のスパルタの猛攻を辛うじて防ぎ切って1-0で勝利した。
この日71分間プレーした上田綺世は35分、スローインをボックス内で巧みに受けて、MFゼヒエルの右ポケット侵入を促すパスを通すことで、MFバレンテの決勝ゴールにつなげた。昨季、スローインのレシーバー・ターゲットとして機能した上田の技が存分に出たシーンだった。スパルタにとっては、このシーンでMFトールンストラを上田に付けたことがミスマッチになった。
スパルタの背番号は変動制。ポジションに応じて番号が変わる。昨季は主に11番を付け左ウイングでプレーすることの多かった三戸舜介はフェイエノールト戦で10番を付け、トップ下でシーズンインした。本人によるとプレシーズンマッチの最後の2試合(対アステラス・アクトル、対デュイスブルク)でこのポジションを試されたのだという。
「(ロヒール・マイヤー)監督から『中央のプレーでいいクオリティを持ってるから、ちょっと中に置きたい』と言われて、『自分もやってみたい』と答えた感じです」
三戸はライン間でボールを受ける天才。左ウイングとして起用されていたときも、曖昧なポジションをとって、ビルドアップや攻撃のスイッチ役になっていた。164センチという小柄な身体を長所に活かし、すばしっこい動きで大柄なDF陣を翻弄する。そんな三戸に、マイヤー監督は10番の特性を見出したのだ。
序盤、フェイエノールトはCBセント・ジュステが三戸を見張った。しかし三戸は13分、自陣でセント・ジュステを含むふたりの選手をフェイントで軽々とかわしてから急加速で左サイドを切り裂き、コーナーキックを得る。やがてフェイエノールトはゾーン気味に三戸に対応した。
三戸がプレーした77分間、フェイエノールトがボールを握り続けていたため、守備に回る時間が長く、しかもこの日のオランダは猛暑だっただめ、早々に疲労した。それでも71分には小回りのきいたボール保持から、味方に絶好機を作ったり、左右に流れて機敏なウイングプレーを披露した。
「まだまだトップ下で学ぶことは多いです。攻撃のところは、自分の感覚でなんとかできる部分あるんですけど、やっぱ守備の部分で強度だったり、ウイングとは違う守備の仕方だったりあるので、まだ難しい。これから僕も学んでいきたい」
「ウイングとは違うトップ下の守備」とは?
「ボランチを見ながらセンターバックに行ったり、逆にボランチをずっと見ていたりとかっていう、その“行ったり来たり”の強度がまた違うと思いました」
しかし三戸には独特の守備がある。それは相手の死角からアプローチして、ボールをさらってしまったり、相手のパスコースにすっと入ってインターセプトしたりすること。相手が三戸の姿を認めたときにはもう手遅れ。攻撃面での意外性のある動きも含めて、三戸には相手を混乱に陥れる“パニックメーカー”の資質がある。
「ポジションは固定して、『ここにいろ』って言われてないので。『ちょっと左側にいてくれ』とか『右側にいてくれ』とかはありますけど、基本的には『自由にやってくれ』という感じなんです。だから自分の思ったところに、自分の感覚で入り込んだりとか、走り込んだりとかできるので。自由すぎてもよくないですけど、自分の良さが出せるポジションかなと思ってます」
昨季の三戸は7ゴール・5アシストだった。
「ポジションが真ん中、左、右、どこでやってもゴール、アシストには関わっていきたい。“二桁”はずっと狙っているところなので頑張ります」
取材・文●中田 徹
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