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クロップの代表監督就任だけではない! 復権を期すドイツサッカーの「新しい船出」【現地発】

クロップの代表監督就任だけではない! 復権を期すドイツサッカーの「新しい船出」【現地発】


 来るべき時がやってきた──。

 数年前、『ワールドサッカーダイジェスト』編集部に「今、一番人気があるドイツ人は誰か」と聞かれ、ユルゲン・クロップを挙げた。マインツとドルトムントを経て、リバプールで世界的な監督となったクロップは当時、ドイツの至る所で目にすることができた。

 現在もそうだ。テレビをつければ必ずCMに登場するし、ワールドカップ期間中は『マジェンタTV』(ドイツ・テレコムのテレビ・ストリーミングサービス)の解説者として独特のクロップ節を披露していた。クロップがドイツ代表の新監督に就任するのは、当たり前の日常の続きであり、ごく自然なことのように感じられる。

 近年、思ったような成績を残せていないドイツ代表は、ユリアン・ナーゲルスマン体制で臨んだ26年大会も大きな失望を残した。その反動もあり、7月24日に行なわれたドイツ代表の新監督就任記者会見は、国民の期待を集める新内閣の所信表明のようにも見えた。

 いや、十数年前のドルトムントの記者会見を思い出す光景でもあった。クロップの隣にはハンス=ヨアヒム・ヴァツケ(ドルトムント会長とドイツサッカー連盟副会長を兼任)が座っていて、クロップと付き合いが長いドルトムントの地元記者たちも数多く出席していたからだ。
 
 クロップはメディアに対して、こう語った。

「ここに座らせてもらえるのは、とても光栄だ。……だが、もう私をここに置きたくないという日が来たら、そう言ってくれ。そうしたら私はすぐに去る。退職金もなしに。もし明日、あなたたちが『こいつはダメだ』と言ったら、私は去る。そして、もしあなたたちが無礼な振る舞いをして、私の家族を放っておいてくれないなら、私は去る」

 将来のドイツ代表候補に向けては、こうメッセージを送っている。

「まだその機会を予想していない選手たちにも、チャンスが与えられることになる。私は大胆な決断を下し、誰もが楽しめるサッカーをする選手たちを選びたい。ドイツ代表としてプレーする資格がある者は、誰もが努力すべきだ。なぜなら、私は注目しているからだ。誰一人として見捨てられることはない。これは新たなスタートだ」
 
 そして、ドイツ国民に対しては現実を直視する必要性を説いた。

「成功とは、期待値に対する成果のことだ。私たちに必要なのは、現実的な期待値だ。デンベレやエムバペのような選手はいないが、それでもフランスに勝つことはできる。私たちが世界一か? いや、そうじゃない! でも、ある局面では格上のチームを打ち負かすべきだ。それを実現させたい」

 同時に、クロップの代理人であるマルコ・コジッケが、『戦略・開発・イノベーション担当』としてドイツサッカー連盟(DFB)に加わることも発表された。クロップ自身は、連盟の改革について「石の一つひとつをひっくり返して見る」と表現している。

 完全に門外漢のコジッケがDFBの内部に入り込むことで、何が起こるのか。そこもまた、今後を占ううえで興味深いポイントになる。
 
 2027年1月からは、元ドイツ代表DFのペア・メルテザッカーが、DFBのスポーツ部門最高責任者として、A代表から年代別代表、育成アカデミーまでを包括的に統括することになる。

 ドイツでは現在、ユース年代からトップチームへの移行を含め、育成システム全体の見直しが求められている。その意味でも、アーセナルの育成部門責任者として経験を積んできたメルテザッカーの起用は、理にかなった人事と言えるだろう。

 クロップがドイツ代表に加わったことだけではない。人事、育成、組織改革まで含め、ドイツサッカーそのものが動き始めている。

 まさに「新しい船出」を感じさせるに十分な内容だった。

文●円賀貴子

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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