8月11日、中日の根尾昂は2軍DeNA戦の9回にマウンドへ上がった。13-4と大量リードした、楽な場面だった。ところが先頭から連打と四球を重ね、一死も奪えないまま降板。6安打2四球で7失点だった。今季の2軍防御率は9.39。プロ8年目の右腕は、2軍ですら結果が出なくなっている。
同じ日、ロッテの藤原恭大は1軍ソフトバンク戦で3安打を放ち、打率を3割2厘に乗せた。5月に右肩関節前方亜脱臼で戦列を離れたが、復帰後は打率3割、OPS.807を維持している。
根尾と藤原は同じ2000年生まれ。大阪桐蔭高校で2018年の甲子園大会で春夏連覇を果たし、ドラフトで揃って1位指名を受けた。あの甲子園を沸かせた2人がプロ8年目の同じ日に、対照的な結果を残した。
2人の道が分かれたのは2022年だ。この年、根尾の1軍打率は2割。藤原も2割9厘だった。数字だけなら横並びだが、藤原は前年の7月と8月に24試合で打率3割4分8厘、5本塁打と打ちまくり、月間MVPに選ばれていた。球団が「この先やれる」とみる材料があったのだ。しかし、根尾にはそれがなかった。
2021年の1軍打率は1割7分8厘。遊撃から外野へ移しても打撃は上向かず、首脳陣との話し合いの末に投手に転向したのが2022年だった。高校時代の登板経験と150キロを超える速球。転向初年に1軍25試合で防御率3.41をマークしており、判断にはそれなりの根拠があった。
藤原もすぐには花開かなかった。2023年は103試合で打率2割3分8厘。転機は2024年で、打率9割9分を残すと、翌2025年は452打席で初の規定打席に到達。打率2割7分1厘でパ・リーグ10位に入った。
そして今季は8月時点で打率3割を超えた。高卒7年目でようやく規定打席、8年目で3割である。
井上一樹監督は野手再転向を明確に否定
根尾の4年間は、その対極にあった。中継ぎから先発へ挑み、再び中継ぎへ戻る。2軍では2024年に防御率2.63、2025年も42試合で2.68と安定したが、1軍ではまるで別人になる。2024年が防御率9.39、2025年は7.94。今季は5試合連続無失点と好投し、4月にプロ初勝利を挙げた。しかしその後、4試合連続で失点して登録抹消。2軍に戻っても防御率9.39と崩れたままだ。
投手として先が見えない以上、野手に戻すべきではないか。OBやファンの間には、そうした声が絶えない。だが井上一樹監督は2024年秋の時点で、再転向を明確に否定している。仮に今から戻したとして、4年間バットで勝負してこなかった26歳が、藤原のように打てるとは考えにくい。
2025年秋には秋季キャンプのメンバーからも外れ、現役ドラフトの候補として名前が取り沙汰された。4球団が競合したドラフト1位でなければ、ここまで支配下で残れていたかどうか。投手としても野手としても居場所が定まらないまま、8年目の夏が過ぎていく。
藤原が証明したように、高卒の野手が1軍に定着するには7年かかることもある。だが投手転向から4年が過ぎた根尾に、同じ時間はもう残されていない。
(ケン高田)

