北中米ワールドカップの熱戦が幕を閉じ、欧州では早くも新たなシーズンが動き始めている。すでに国内リーグが開幕している国がある一方、W杯で終盤まで勝ち進んだ代表チームの選手は、バカンスを経て所属クラブに戻り、本格的な調整に取り掛かったばかりという選手も少なくない。
ただでさえクラブで長いシーズンを戦った直後に、世界最高峰の舞台であるW杯を経験した選手たちの肉体的、精神的な消耗は大きい。十分な休養を確保しながら、新たなシーズンに向けてふたたび身体を作り上げなければならず、短期間でトップコンディションに戻すのは容易ではない。
それでは、W杯を最後まで戦った選手が本来のコンディションを取り戻すには、どれほどの時間が必要なのだろうか? その疑問に対して伊紙『Gazzetta dello Sport』が、フィジカルコーチのアレックス・フルスタチ氏の解説をまじえながら調整方法を紹介した。
記事では、W杯決勝から22日後にインテルの練習場へ戻ったアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネス(インテル)をはじめ、3位決定戦に進んだフランス代表のFWマルキュス・テュラム(インテル)、GKマイク・メニャン、MFアドリアン・ラビオ(いずれもミラン)を例に挙げた。
「過酷なシーズンを終えた後に行なわれた特大規模のW杯による疲労から、回復するための時間は限られている」と前提を説明したフルスタチ氏によると、「W杯を最後まで戦った選手には一般的に約3週間の負荷を落とす期間が必要になる」という。
「最初の2週間は、本当の意味での休暇だ。選手はトレーニングをせず、心と身体を完全に休ませ、関節を解放する。11か月にわたってストレスを受け続けた関節を休ませるための、科学的にも裏付けられた期間だ。これより短ければ、選手たちは本当の意味で休んだことにならない」
2週間の休養を終えた後、チームへ合流する前に約1週間の「リトレーニング」に入る。「この段階でいきなり走り込むのは逆効果」のようで、「主に筋力の回復に取り組む。スクワットやデッドリフトなどを行ない、せいぜいランニングマシンで軽く走る程度だ。加速、減速、方向転換は、まだ完全に回復していない関節にストレスを与え、負傷に繋がる可能性があるため避けるべき」と説明している。
さらに、所属クラブへ戻っても、すぐに通常メニューの全てをこなすわけではないという。「そこから3~4週間をかけて段階的に負荷を引き上げていく。具体的には、第1週は身体の回復、第2週から特定の負荷をかけ、第3週から有酸素運動を始め、第4週にスプリントやボールを使った高強度のトレーニングを行なう」という流れだ。
こうした見解から、フルスタチ氏は「W杯組が本格的に先発出場できる状態になるのは、8月末から9月初旬」と予想しており、さらに9月下旬~10月上旬の代表活動による中断を踏まえ、「チーム全員が揃って100%の状態になるのは、代表ウィークの後だろう。ここから彼らにとっての、本当のシーズンが始まる」と見通している。
ただでさえ過酷とされているサッカー界の過密スケジュールにおいて、W杯を戦った選手がトップコンディションに戻るのは、もうしばらく先になりそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
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