
結婚生活を長く続けていると、仕事や家事、子育てに追われ、夫婦だけでゆっくり話す時間は少なくなりがちです。
では、夫婦のコミュニケーションを良好に保つために、日常生活へ取り入れられる習慣はあるのでしょうか。
米ブリガム・ヤング大学(BYU)の研究チームは今回、若い既婚カップルを調べた結果、「パートナーと一緒に運動すること」が、良好なコミュニケーションや対立解決と関連していることを報告しました。
研究の詳細は、2026年8月5日付で学術誌『Family Relations』に掲載されています。
目次
- 「一緒に運動する夫婦」ほど関係が良好
- 特別な運動は必要ない、最も多かったのは「一緒に歩くこと」
「一緒に運動する夫婦」ほど関係が良好
運動には、身体だけでなく精神面にもさまざまなメリットがあることが知られています。
一方で、夫婦が一緒に余暇を過ごすことも、関係の質を支える要因になり得ます。
そこで研究チームは、「運動すること」だけでなく、「配偶者と一緒に運動すること」が夫婦関係とどう結びついているのかを調べました。
分析には、米国の新婚夫婦を追跡する「CREATE研究(Couple Relationships and Transition Experiences)」に参加した、若い既婚カップル1693組のデータが使われました。
研究者らは夫と妻それぞれについて、1人で行う運動と、配偶者と一緒に行う運動の状況を確認し、「コミュニケーション」「対立解決」「夫婦間の葛藤」という3つの指標との関連を分析。
その結果、夫婦ともに、運動している人ほどコミュニケーションと対立解決の評価が高く、夫婦間の衝突や葛藤が少ない傾向が見られました。
しかし、さらに興味深かったのは、1人での運動と夫婦での運動を同時に比較した場合です。
良好な夫婦関係との関連は、1人で運動する場合よりも「パートナーと一緒に運動する場合」の方が一貫して強く、夫と妻の双方で同じ傾向が確認されました。
研究者らによると、その影響は必ずしも大きなものではありませんが、小さいながらも有意で、一貫した関連が見られました。
特別な運動は必要ない、最も多かったのは「一緒に歩くこと」
では、夫婦そろってジムに通ったり、本格的なトレーニングを始めたりする必要があるのでしょうか。
今回の結果を見る限り、その必要はなさそうです。
調査では夫と妻のおよそ60%が運動していると回答しましたが、配偶者と一緒に運動していたのは約3分の1でした。
そして、一緒に行う運動として最も多く報告されたのは、意外にもウォーキングでした。
チームが特に注目したのはコミュニケーションです。
3つの夫婦関係の指標の中でも、運動との関連が最も目立ったのがコミュニケーションであり、一緒に運動する夫婦は、相手の話をよく聞けている、自分の話を聞いてもらえている、配偶者から支えられていると感じる傾向も示しました。
研究者らは、一緒に体を動かす時間そのものが、夫婦に前向きな交流や会話の機会を与えている可能性を指摘しています。
特にウォーキングなら、特別な設備も必要なく、歩きながら自然に話す時間を作れます。
運動による健康効果だけでなく、「2人で同じことをしながら過ごす時間」が夫婦関係にとって意味を持っているのかもしれません。
ただし、今回の研究は横断的な観察研究であり、「一緒に運動したから夫婦仲が良くなった」という因果関係までは証明していません。
もともと関係が良好な夫婦だからこそ、一緒に運動する機会が多いという逆の可能性もあります。
そのため、一緒に運動することを夫婦関係の問題を解決する「特効薬」と考えるのは適切ではありません。
それでも、忙しい毎日の中で夫婦が定期的につながる時間を作る方法として、「一緒に運動する」という習慣はかなり手軽です。
高価なジムも特別な器具も必要なく、まずは近所を2人で歩くだけでも構いません。
夫婦関係を支える「たった一つの習慣」があるとすれば、それは激しい運動ではなく、同じ時間に、同じ方向へ一緒に体を動かすことなのかもしれません。
参考文献
Want a happier marriage? BYU study suggests one simple habit
https://news.byu.edu/intellect/could-a-walk-strengthen-your-marriage-byu-researchers-say-yes
元論文
Conjoint Exercise among young married couples: Exploring associations with couple conflict, conflict resolution, and communication
https://doi.org/10.1111/fare.70260
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

