「ちいかわ」をご存知だろうか。正式タイトルは「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」で、イラストレーター・漫画家のナガノが、2020年からX(旧Twitter)で連載している漫画だ。2021年に単行本化されて8巻まで発売されており、昨年11月の時点で電子版を含む累計部数は460万部を突破している。
私が「ちいかわ」を知ったのは「めざましテレビ」(フジテレビ系)だ。2022年から火曜と金曜の週2回放送されているアニメ版を見たのがきっかけだった。
当初こそ「またフジテレビが新しいマスコット展開で儲けようとしてやがる」と冷ややかな目で見ていたが、元来「かわいいもの」や「キャラクターもの」に目がない私はやがて、登場キャラクターたちに魅了され(ちなみに私はうさぎ推し)、いつの間にか世間に溢れまくっていたグッズやカプセルトイに手を出すことに。
ただ、私はXをやっていないし、アニメも毎回欠かさずというほどチェックしていない。筋金入りの猛者から怒られそうな「単にキャラがかわいくて好き」程度のライトなファンだ。
ところが「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」のテレビCMを見て、一気に「ちいかわ」という作品の捉え方が変わってしまった。そのCMは海辺でちいかわ、ハチワレ、うさぎの三者が焚火を囲む映像から始まり、「その友情も」「その罪も」「その命も」「いつまでも。」の文字が順に現れるというもの。いや、「その友情も」は分かるけど「罪」と「命」って何事だよ!
しかもバックに流れているのが、ハチワレがアカペラで歌う「今日の日はさようなら」というのも強烈に気になった。「いつまでも 絶えることなく 友達でいよう」の歌詞で知られるキャンプファイヤーの定番曲だが、私には(そしておそらく多くの同志たちも)「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の劇中で、あまりに残酷な場面の挿入歌として使われていたのを見てから、不穏を感じさせるトラウマソングになっているからだ。
もはや「女子供のものでしょ」なんて高を括ってはいられない
さらに、既に鑑賞した人々がSNSにあげた「絶句」「帰りはお通夜状態」「後味は湊かなえ」といった感想の数々に、好奇心は高まる一方。ついに決意した私は、遅ればせながらコミックを全巻購入して、一晩で読破。特に今回の劇場版の原作となる「セイレーン編」が丸々収録されている第8巻は念入りに読み込み、いざ映画館へと向かったのだった。
満席の館内は不思議なことに、夏休み真っ盛りとは思えないほど、子供の姿が見えない。代わりにカップルや若い女性同士に混じって、中年男性のひとり客が目立つ。
そういえば以前から、ケツ(ニッポンの社長)や内海崇(ミルクボーイ)といった芸人たちが「ちいかわ」好きであることを公言していたし、8月11日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)では、あの玉川徹までもが、
「僕もね、最近ハマッたものがあって。『ちいかわ』にハマッたんですよ」
と言い出し、作品のディープな魅力を熱弁していた。
もはや「女子供のものでしょ」なんて高を括ってはいられないところまできている「ちいかわ」。世のおじさま方よ、今からでも遅くないから、まずは劇場版から「ちいかわ」の世界に触れてみてはどうだろう。まだ間に合えば、数量限定の入場特典として、映画の登場キャラをかたどった「ボンボンドロップシール」も貰えるよ。映画の感想? 良かったに決まってるじゃない。
(堀江南/テレビソムリエ)

