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”神童”の「高い知能」が成人期まで続くことは稀、大規模研究で判明

”神童”の「高い知能」が成人期まで続くことは稀、大規模研究で判明

神童の高い知能は「意外と続かない」 / Credit:Canva

子どもの頃に「神童」と呼ばれた人は、大人になってもやはり周囲より高い知能を保っているのでしょうか。

私たちは一度「頭のいい子」と認識すると、その知的な優位性は成長後も続くように考えがちです。

ところがスペインのリェイダ大学(UdL)の研究チームが、英国の大規模縦断研究に参加した1万1119人分のデータを分析したところ、幼少期の一般認知能力の順位は想像以上に流動的で、早い時期の高い能力がそのまま維持されるとは限らないことが分かっています。

研究は2025年9月16日付で科学誌『Intelligence & Cognitive Abilities』に掲載されました。

目次

  • 幼い頃の「頭の良さ」はどこまで将来を予測できる?
  • 7歳で高能力でも、16歳まで維持したのは16%

幼い頃の「頭の良さ」はどこまで将来を予測できる?

一般認知能力(GCA)は、語彙や推論、問題解決など、さまざまな認知課題に共通する総合的な能力を表す指標です。

認知能力は比較的安定した特徴として知られていますが、その安定性は幼い頃ほど低く、成長するにつれて高まることが過去の研究から示されていました。

そこで研究チームは、幼少期に高いGCAを示した子どもが、その後も同じ高い位置を保つのか、また、その変化にどのような要因が関係するのかを調べました。

使用したのは、英国のTwins Early Development Study(TEDS)のデータです。

研究では4歳、7歳、12歳、16歳、21歳のGCAを分析し、年齢に応じて語彙や言語理解、図形を使った推論など複数の課題から総合的な認知能力を測定しています。

主要分析では7歳時点の得点が99より高く115未満だった3958人と、平均より1標準偏差高い115を超えていた1580人を比較し、それぞれの得点が年齢とともにどう動いたかを統計モデルで追いました。

さらに、認知能力と関連の深いポリジェニックスコア(多数の遺伝子のわずかな影響を合計して、ある特性のなりやすさを数値化した指標)、親の学歴や職業に基づく社会経済的地位、家庭環境、行動上の問題、学校への取り組み、人生上の出来事との関連も調べています。

その結果、高い認知能力を示す人の顔ぶれは成長の途中でかなり入れ替わっていました。

つまり、幼少期の一度の判定だけでは、その子が将来も同じ位置にいるかを予測するのは難しかったのです。

では実際に、どれほど大きな入れ替わりが起きていたのでしょうか。

7歳で高能力でも、16歳まで維持したのは16%

7歳でGCAが115を超えていた子どものうち、16歳でも高能力水準を維持していたのは16%でした。

また、12歳で高能力だった人では次の測定時点まで高水準を保った割合が23%、16歳で高能力だった人では21歳まで保った割合が24%でした。

さらに、より極端な高得点者に絞った分析でも、7歳で130を超えていた207人の大半は、その後同じ高得点を維持していませんでした。

一方、7歳では99より高く115未満だった人の中にも、後から高能力群に入る人がいました。

7歳から16歳では8%が115を超える水準まで上昇しています。

つまり、幼少期の検査は「将来もこの順位が続く」という保証ではなく、その時点での認知能力を切り取った一枚の写真に近いのです。

そして、年齢をまたいだGCAの相関は、4歳から7歳で0.32、7歳から12歳で0.45、12歳から16歳で0.59、16歳から21歳で0.65と、年齢が上がるほど高くなっていました。

研究者たちは、この結果から平均すると12歳ごろから高能力の判定がより安定しやすくなると考え、その後も継続的に評価する必要があるとしています。

では、こうした違いには何が関係していたのでしょうか。

分析では、ポリジェニックスコアや親の社会経済的地位、学校への取り組みの高さが、より高いGCAやプラス方向の変化と関連しました。

一方、今回測定された親のしつけや家庭内の混乱などの家庭関連指標は、GCAの長期的な変化率とはほとんど関連しませんでした。

ただし、これは「知能は遺伝だけで決まる」という意味ではありません。

今回の研究は長期間の観察データを分析したものであり、これらの要因が認知能力の変化を直接引き起こしたとまでは断定できないからです。

また、研究では脳画像を取得していないため、認知能力の変化と脳の発達を直接結びつけることはできず、統計モデルの条件から分析できなかった要因もあります。

それでも今回の結果は、幼い頃の一度の検査だけで、子どもの将来の知的な位置を固定的に判断することの危うさを示しています。

「神童」という評価は未来の保証書ではなく、子どもの認知能力は思春期にかけて大きく動く可能性があるのです。

参考文献

Early giftedness rarely lasts into adulthood, large developmental study finds
https://www.psypost.org/early-giftedness-rarely-lasts-into-adulthood-large-developmental-study-finds/

元論文

Developmental Changes in High Cognitive Ability Children: The Role of Nature and Nurture
https://doi.org/10.65550/001c.144062

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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