
ナウシカの側を片時も離れず、最後は眠るように息を引き取った「テト」。 画像は『風の谷のナウシカ』静止画より (C)1984 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, H
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ナウシカに心を開いた「テト」のその後は?
2026年8月14日の「金曜ロードショー」では、宮崎駿監督の名作ファンタジー『風の谷のナウシカ』が放送されます。アニメ史に残る不朽の名作として知られていますが、実は原作マンガ全7巻から見ると、映画で描かれたのはまだ序盤の内容です。
その先の物語では愛すべき登場人物たちが悲しい運命をたどる展開も描かれており、彼らの「その後」を知る前と後では、作品の見え方も変わってくるかもしれません。
※この記事では、『風の谷のナウシカ』の結末および原作の内容に触れています。ネタバレにご注意ください。
そもそも大前提として、マンガ版とアニメ版ではストーリー展開が大きく異なります。多くの人が知るアニメ版では、終盤で風の谷に「王蟲」の群れが押し寄せ、主人公の「ナウシカ」が身を挺(てい)して人びとを守る姿が描かれました。再び風の谷に平穏が戻り、ハッピーエンドともいえる結末を迎えるのです。
一方、原作ではアニメ版と共通する展開を辿るものの、王蟲たちが南下し続ける理由を探るためナウシカは谷へ戻らず、トルメキア軍の残存部隊とともに南へ向かいます。その旅をともにしたのが、キツネリスの「テト」とトリウマの「カイ」でした。
トリウマの「カイ」は、映画冒頭で旅の剣士「ユパ」が連れていた巨大な鳥です。マンガ版ではナウシカの乗騎としてともに戦地へ赴きますが、敵兵の銃撃を受けて深手を負ってしまいます。それでも最後の力を振り絞り、ナウシカをトルメキアの陣地まで送り届けると、その使命を果たしたかのように力尽きました。
キツネリスの「テト」は、アニメ版でもナウシカと常に行動していたため、記憶に残っている人も多いでしょう。ナウシカが「怖くない。ほらね、怖くない」と優しく呼びかけ、「テト」の心を開くシーンは、本作を象徴する名場面のひとつです。
小さな体ながら肝が据わっており、映画終盤では王蟲の群れが迫るなかでもナウシカのそばを離れませんでした。ともに跳ね飛ばされながらも無事に生還し、最後まで寄り添う姿が印象に残っています。
その忠誠心は原作でも変わりません。たとえそこが戦地だろうと極寒の地であろうと、ナウシカのそばを片時も離れず、最期は「巨神兵」の発する毒の光を浴びて衰弱死してしまいます。それでも息絶える直前までナウシカを守ろうと周囲を威嚇し続ける姿からは、「カイ」と同じく、「テト」にとってもナウシカが命を懸けるに値する大切な存在だったことがうかがえるでしょう。
ナウシカの師匠にあたる「ユパ」も、原作マンガでは非業の死を遂げています。「腐海一の剣士」と称されるほどの腕前を持ちながらも、むやみに争いを好まない人物であり、アニメ版でも敵を圧倒しつつ命までは奪わず、降伏を促していました。
そんな「ユパ」の信念は、原作でより色濃く描かれています。トルメキアへの復讐に燃える人びとを止めようとして左腕を失い、それでも怒りの収まらない者たちがクシャナへ剣を向けると、自ら盾となって彼女をかばいました。ユパの死は憎しみに支配されていた人びとの心を静め、双方が和解へ向かう大きなきっかけとなったのです。
カイやテト、そしてユパが命を懸けて守ろうとしたものを知ると、『風の谷のナウシカ』という物語が持つ優しさと残酷さをあらためて実感させられます。8月14日の放送では、彼らがたどった運命にも思いを巡らせながら、あらためて作品を味わってみてはいかがでしょうか。
