
画像は、ゴップとマ・クベのシーンが含まれる『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』PVのサムネイルより
【画像】「あぁ…」「アカンやつだ」 これがガンダム作品でいろいろ「やらかした」人物たちです(5枚)
ゴップの「悪評」を加速させた関連作品たち
『機動戦士ガンダム』に登場したキャラクターは、さまざまな考察がされることがあります。なかには人によって大きく評価が分かれるキャラクターもいました。「ゴップ」もそのうちのひとりでしょう。
ゴップは地球連邦軍参謀本部の所属で、階級は大将です。しかし名前を聞いてもわからない人もいるかもしれません。それは特に目立った活躍もなく、印象的な出番があったわけではないからです。
もっともジャブロー襲撃のきっかけとなった「ホワイトベース」を「永遠に厄介者」呼ばわりしたり、「ミライ・ヤシマ」に対し「婿さんを紹介する」というセクハラじみた発言をしたりした人物といえば、思い当たる人も少なくないでしょう。
さらにホワイトベースを囮(おとり)部隊である「第13独立部隊」に任命するなど、味方側の嫌な役どころを担った人物でした。それゆえにファンからは評判の悪い人物だったといえるでしょう。
この悪評に拍車をかけたのが、ゲーム「ギレンの野望」です。ここでゴップは耐久以外全キャラクター中最低クラスなのに、指揮範囲だけは広いので他の優秀なキャラクターの足を引っ張るという迷惑なキャラクターでした。
しかも収録されたセリフも情けないものがほとんどで、「ゴップは無能」という位置づけを決定的なものにしました。しかし、このレッテル付けは不当なものかもしれません。なぜなら少ない登場シーンを考察していくと、むしろゴップの優秀さが際立つ部分があるからです。

ゴップの「切れ者」の一面が描かれる、マンガ『機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還』 作:Ark Performance/メカニックデザイン:大河原邦男/原作:富野由悠季/原案:矢立肇 (KADOKAWA)
能あるタヌキ(?)だった? ゴップの采配
たとえば、ゴップはホワイトベースを囮に使ったことで、あの「シャア・アズナブル」の裏をかき、主力艦隊を無傷で打ち上げました。しかもシャア自身がいうように、反転して主力艦隊に向かえばホワイトベースと挟み撃ちされるわけです。これらはホワイトベースの実績を考え、その戦力を正当に評価した結果でしょう。
さらにミライに対し、「ソロモン」が落ちれば「ジオン公国」は和平交渉に出るとも予見していました。実際これは「デギン・ソド・ザビ」が和平の道に歩んだので的中したといえます。もっとも強硬派である「ギレン・ザビ」が、父親であるデギンを暗殺するという暴挙により、和平は水泡に喫しました。
こうしてアニメで描かれた行動を考察していくと、ゴップが無能ではなく優秀だったことがわかります。それでは、ゴップが無能だと思われるようになった要因はどこにあるのでしょうか。
それは後の作品による印象操作だといえます。
『機動戦士ガンダム』以降の続編では、連邦軍上層部は無能な人物ばかりだとされてきました。この風潮は現在も続いており、連邦上層部にロクな人材がいないから争いの種が尽きない……という点が、宇宙世紀の物語の基本となっています。
そのため連邦上層部で珍しく名前のあるキャラであるゴップが「やり玉」に挙がったといえるでしょう。ほとんど風評被害に近いものかもしれません。もっとも近年では、この風潮に変化がおとずれていました。
マンガ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の設定に準拠した劇場アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022年)で、ゴップは優秀な面を多く見せています。マンガ『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、ゴップの考え方がくわしく考察されており、無能と思える部分はありません。
この『ジョニー・ライデンの帰還』で、ゴップは自分をあえて俗物として見せて、相手が油断してくれればいいと思ってることがわかります。つまり無能な高級官僚に紛れて淡々と自分の目的を果たすタイプ。まさに「タヌキ爺」といえる優秀な人材だといえるでしょう。
ガンダムシリーズの魅力のひとつは、こうした登場シーンの少ないキャラクターを深掘りできることにあるのかもしれません。今後もいろいろなジャンルでスピンオフが作られると思いますが、キャラクターのピックアップ次第でさまざまな考察が楽しめることでしょう。
