『G1 CLIMAX 36』両国国技館(2026年8月15日)
天山広吉引退試合 ○小島聡vs天山広吉×
天山広吉が引退試合で盟友・小島を相手に死力を尽くした最後の全力ファイトを展開。蝶野正洋らゆかりある顔ぶれに見送られ、新日本一筋だった35年7ヵ月のプロレスラー人生に終止符を打った。
天山は1991年1月11日、新日本でデビュー。IWGPヘビー級王座4度の戴冠、G1 CLIMAX3度の優勝など、90年代から2000年代の新日本をトップレスラーの一人として支えた。昨年4月から腰とヒザの負傷のため欠場してきたが、現役続行を断念。この日、引退試合を迎えた。
ラストマッチは自らの希望で盟友・小島との一騎打ちが実現。IWGPタッグ王座を6度も戴冠したパートナーで、かつて2005年2月のIWGP&三冠ダブルタイトルマッチ、2006年8月のG1 CLIMAX優勝戦を争った両国で最後のテンコジ対決を迎えた。
天山の試合を数えきれないほど実況してきた辻よしなりアナウンサーが実況席に座り、蝶天タッグとして天山とIWGPタッグ5度戴冠した蝶野正洋が登場。蝶野は「今日の出せる全てを見せてくれれば十分だと思います」とエールを送った。そして小島が入場すると、テーマ曲「TENZAN〜時空〜」が鳴り響く中、天山コールの大合唱に迎えられて天山が登場。雄叫びとともに最後のリングに足を踏み入れた。
当初、試合は5分1本勝負の予定だったが、マイクを持った天山が「おい、コジ。俺、とことんやりたいから、5分1本勝負じゃない。無制限でやろうぜ!」とアピール。棚橋弘至社長がゴーサインを出し、急きょ時間無制限1本勝負に変更となった。
これまでと変わらない険しい表情で開始のゴングを聞いた天山はロックアップでガッチリ組み合うと、ヘッドロックに捕まったものの、小島がショルダータックルを連発しても倒れず。十分に走れないながらもタックルでやり返し、チョップ合戦を小島が連打で押し込んでも、モンゴリアンチョップ連打で徹底抗戦。ショルダータックルでなぎ倒して沸かせた。
なおも天山はヘッドバットを連打し、串刺しラリアット、ブレーンバスターの連続攻撃で攻勢を続ける。2カウントで返されてもアナコンダバイスで捕獲。小島が耐えてもムーンサルトプレスを狙ってコーナーに上がった。
これは小島が食い止め、マシンガン逆水平で反撃。串刺しジャンピングエルボー、いっちゃうぞエルボーの連続攻撃に出る。天山も2カウントで返したが、小島がラリアットの構えに入ると、前のめりに倒れ込んでしまう。小島が「天山、立て!」と絶叫し、応えるように立ち上がった天山はラリアットをヘッドバットで阻止。モンゴリアンチョップを連打すると、TTDを仕掛けた。
不発に終わったものの天山はテンザンスープレックスで引っこ抜き、アナコンダマックスで絞め上げる。力が入らなかったか自ら解いたものの、天山は足をふらつかせながらもチョップ合戦で渡り合い、モンゴリアンチョップを連発していく。後方に倒れ込んでも天山コールに後押しされて立ち上がり、なおもモンゴリアンを連発した。
だが、小島がコジコジカッターで動きを止め、「立て!」と絶叫。天山も最後の力を振り絞って立ち上がり、豪腕ラリアットを食らっても3カウント寸前に返してみせる。さらなる天山コールが後押しし、天山はラリアットをガードして頭突き、モンゴリアンチョップ連打、ショートレンジラリアットを次々に叩き込む。「コジ!」と絶叫してヘッドバットを連打したが、小島は豪腕ラリアットで応戦。天山も1カウントで返してみせたが、小島がこん身の豪腕ラリアットを叩き込むと力尽き、3カウントを聞いた。
大の字で終了のゴングを聞いた天山だが、自力で立ち上がると一礼した小島と握手。感極まった表情で抱擁を交わし、小島の手を掲げた。場内は天山コールの大合唱。天山が四方に一礼し、いよいよ引退セレモニーの段となったところで、飯塚高史のテーマ曲が流れ、飯塚が客席から現れた。
かつて天山と飯塚は友情タッグを結成したが、飯塚の裏切りによって抗争を展開した。2019年2月の飯塚引退試合以来、猛牛と怨念坊主の再会が実現。天山が「飯塚さんよ、やっぱり来てくれたな。何がやりたいんだ? コラ。入ってこいよ。入ってくれ」と呼びかけると、飯塚がリングイン。天山にフロントキックを見舞うと、ストンピングを連発し、アイアンフィンガーを右手に装着した。が、小島がコジコジカッターで阻止。飯塚を羽交い絞めにすると、天山は加勢を拒否。「コジ、ありがとう、助けてくれて。でもちょっと待ってくれ。飯塚さん、目覚ましてくださいよ。飯塚さん、俺たち友情ありますよね? カモン、飯塚!」と呼びかけた。
場内も飯塚コールで後押し。天山は「最後、リングに来てくれて、ありがとうございます!」と感謝すると、右手を差し出した。「最後ですよ。俺の最後の試合なんだ。あなたもそうですよ。飯塚さん、俺たち友情あったよね? ありましたよ。応えてください、飯塚さん、お願いします! もういいでしょう。終わりだ、これで」と訴えた。
飯塚コールの中、頭を抱えた飯塚だったが、天山が「友情、カマン!」と呼びかけると、ようやく握手が成立。二人は感極まった表情で抱き合った。そして飯塚が天山の手を挙げて称え、場内は大歓声。リングを降りた飯塚はテレビ朝日・野上アナウンサーとも握手を交わしたが、次の瞬間、襲撃し、Yシャツを引き裂いてから去っていった。
場内が騒然とする中、天山引退セレモニーに突入した。永田のテーマ曲が流れる中、永田を先頭に本隊勢が登場し、永田、小島が激励の花束を贈呈。2004年のG1優勝戦を天山と戦った棚橋社長も花束を手渡した。
天山の同期・金本浩二がVTRで登場した。1990年11月の和歌山大会におけるバトルロイヤルで二人そろってプレデビューした時の思い出などを語ると、「天山広吉選手、いや、俺はやっぱ山本さんやな。山本さん、天山広吉から山本広吉に戻っても次の人生、頑張ってください。またどこかで」とメッセージを送った。
さらに元横浜DNAベイスターズ監督・三浦大輔さん、新日本プロレス学校時代の同期生・金原弘光さんも花束を贈呈。さらに1年後輩のケンドー・カシン、天山が初優勝を飾った2003年のG1で決勝戦を争った秋山準、天山が新日本に入門した当時コーチを務めていた馳浩、nWoジャパンとして共闘した武藤敬司、新人時代に天山が付き人を務めた長州力、IWGPヘビー級王座をかけて対戦したこともある藤波辰爾と豪華な顔ぶれが花束を贈呈し、天山をねぎらった。
そして最後に蝶野がリングに登場。天山に花束を渡すと、「ガッデム! 天山…」と語りかけたところで長州が天山を羽交い絞め。困惑した蝶野だったが、ねぎらいのビンタを見舞った。「本当にお疲れさん。今日は本当に控室からリングに上がるのがきついと思ってた。立派にリングに立って、最後まで戦って」と称えると、「どれだけやっても天山の気持ちの中で引退の迷いがあったのがわかりました。今もまだ不安があるのかもしれないけど、これからだよ。みんな、見てよ、レジェンド。ジジイになっても戦ってんだよ、俺らは世間と。まず、そのケガと健康を戻すためにちゃんとしっかり治療とリハビリを続けて頑張ってください。最後に一言。天山、ありがとうございました」とエールとメッセージ。握手を交わすと、天山は感極まった表情を見せた。
一人リングに残った天山はマイクを握ると「本日をもって私、天山広吉は現役を引退いたします。思い起こせば少年の頃、テレビでプロレスを見て、プロレスに憧れ、そしてプロレスラーになりたい一心で新日本プロレスの門を叩きました。そして道場に入ってメッチャ辛いことあって、すぐに逃げちゃったんですけど、本当にプロレスラーになりたいという夢を追いかけてきて、どうしてもプロレスラーになりたい一心でまた再入門しました。そしてデビューできて、こんにちまで必死に戦ってきました」と回想。「振り返れば本当につらいことが多くて、本当に同期の選手や後輩、社員の皆さん、関係者、スタッフのみんなに支えられて、ここまで来ることができました。もちろん、ここにいるファンの皆さんのおかげでここまでで来たことを本当に感謝いたします」と感慨とともに謝意を示した。
G1初優勝、小島とのダブルタイトルマッチなど多くの激闘を残してきた両国とあって、「私にとって、この両国国技館は本当に思い入れの深い場所なんで、この両国で皆さんに見守られながら最後の試合を終えることができて、本当に幸せ者です」と続けた天山。「本当にこれまで、この新日本プロレスのリング一筋で頑張ってきましたけど、本当に応援ありがとうございました。最後になりますが、35年間、新日本一筋で頑張りましたけど、本当に応援ありがとうございました!」と感謝の言葉を繰り返した。
両国は天山コールの大合唱。引退テンカウントゴングを聞いた天山は最後のリングコールを受けた。両手を挙げた次の瞬間、後方に倒れ込んでしまったものの満面の笑顔。本隊勢に胴上げされてリングを降りると、天山は大観衆に向かって「ありがとう!」と絶叫。蝶野、棚橋社長らとあらためて握手を交わし、小島と永田に伴われて最後の花道を下がっていった。ここに新日本一筋だった天山の35年7ヵ月に渡るプロレスラー人生は幕を閉じた。

