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「愛用の本屋が…」 「取次」の倒産で実際に起きた事態 書店が突然消える “衝撃のメカニズム”

「愛用の本屋が…」 「取次」の倒産で実際に起きた事態 書店が突然消える “衝撃のメカニズム”


書店のイメージ写真(画像:写真AC)

【画像】「えっ」「こんなことやってるの」 これが苦境の「取次会社」が乗り出した新ビジネスです(6枚)

書店を取り巻く厳しい状況

 書店の数が減り続けています。出版社から本を仕入れ、全国の書店に届ける取次(問屋)もきわめて厳しい状況にあります。もし取次が倒産したら何が起きるのか。かつて存在した取次「太洋社」の倒産により愛用の書店を失った筆者の体験談を紹介します。

 筆者が住む人口約10万人の街には、かつて5軒の書店がありました。約20年の間に4つが閉店し、ひとつが増え、現在は2軒が残っています。とはいえ1軒は児童生徒に教科書を供給する「教科書取扱書店」としての活動が主であり、店舗自体は極めて小さく書籍の数もそれほど多くはありません。実質的に機能している書店は1軒のみと言えるでしょう。

 全国的に書店の数は減少を続けており、2025年度末には「9993店」と、1万を割り込み、最盛期だった1998年の2万4237店の4割にまで減少しました。出版文化産業振興財団による調査では、2024年11月末の時点で書店が1軒もない自治体は「493」と、日本全体の約3割に至っています。

 印刷費や紙の高騰など、紙の書籍を巡る状況は悪化する一方です。本を全国の書店へ届ける卸売業者である取次も、トラックドライバーの働き方改革などを理由に「もう運べない」と音を上げ、出版業界に対し収益配分の見直しを求めています。お金がからむとななれば本来は書き手である作家を第一とすべき問題ではありますが、取次が無くなれば日本全国に本を送り届けるシステムそのものが崩壊し、書店そのものが無くなる可能性すらあるのです。

かつて存在した取次「太洋社」倒産のケース

 今からちょうど10年前となる2016年。ひとつの取次会社が自主廃業に追い込まれました。その名は「太洋社」。「コミックの太洋社」とも称される、マンガに強い取次でした。

 筆者の実家の近所にも太洋社と関係が深い書店があり、「他の店にはないマンガでもここならある」と深く信頼を寄せ、子供のころからちょっとマニアックなマンガが欲しい時は必ずその店に足を運んでいたものです。

 しかし2016年の3月、太洋社が自己破産し、取引のあった書店に自主廃業を通知したというニュースが流れました。以前から取引書店を他の取次に引き抜かれるなど経営状況の悪化は耳にしていましたが、突然の自主廃業により、複数の書店が廃業に追い込まれたのです。筆者が25年以上愛用していた書店も、瞬(またた)く間に閉店してしまいました。取次の倒産・消滅は、同時に街の本屋を瞬時に消し去る破壊力があるのです。

 かつて街中ではよく見られた古本屋もかなり数を減らしており、紙の書籍が読者から読者へと循環するルートも通販へと移行しています。「BOOKOFF」は健在なものの、本以外の多彩な品物を取り扱う店舗とスペースを分け合う事例も増えています。コンビニエンスストアも書籍の扱いを減らす、あるいは取りやめる動きが加速し、人びとが紙の本を手に取る機会は減少し続けている状況です。

 書店には「いま自分が知らない、興味もないジャンルと出会える」という重要な機能があります。電子書籍や通販サイトの場合は「ユーザーが興味を持ちそうな本」を勧めてくる機能がありますが、それでは「いま自分が興味がある、過去読んだものと似ている」作品との出会いに偏ってしまいます。興味あることには詳しいが、知らないことはそもそも認識すらしない……というような人が増加することは、あまり良い傾向とは思えません。

 紙の本を売るビジネスは難しい状況にあります。それを理解した上で、紙の本がもたらす恩恵を守っていくにはどうすればいいのか。出版社・取次・書店・作家・読者それぞれの立場でできることを考えていく必要があるのではないでしょうか。

配信元: マグミクス

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