日本格闘技界におけるヘビー級の立ち位置は難しい。体格的に、日本で層が厚いのは軽量級だ。対世界という面でも、重量級はどうしても不利になる。
ただヘビー級のド迫力ファイトはやはり格闘技の花形だ。どの団体もスター選手がほしいから人材獲得も簡単ではない。体格に恵まれ運動能力が高ければ、そもそも他の競技に行く可能性もあるだろう。
昨年、RIZINが開催したヘビー級世界トーナメントは、お世辞にも成功とは言えなかった。期待に反して判定決着の連続。意地悪な言い方をすれば、ただ勝ち負けを競っているだけに見えてしまう試合が多かった。
それでも、RIZINはヘビー級開拓を諦めていない。今年は日本トーナメントを開催。8月11日の『RIZIN.54』(TOYOTA ARENA TOKYO)で1回戦2試合が行なわれた。
結果だけでなく内容も問われる試合は、どちらもKO決着。スダリオ剛が酒井リョウを1ラウンドで倒すと、エドポロキングは上田幹雄をヒザ蹴りでノックアウト。
とりわけインパクトが大きかったのは、極真空手世界王者だった上田を完璧に沈めたエドポロだ。ナイジェリア人の父を持ち、身長は204cmと規格外。今回のフィニッシュとなったヒザ蹴りも、軽々と相手の顔面に届いた。
フィニッシュが2ラウンドだったことにも意味があったという。
「1ラウンドは様子を見て、2ラウンド、3ラウンドで勝負かけようと。それを遂行できましたね」
エドポロは“1分間格闘技”BreakingDownで注目され、RIZINへ。誰もがそれを当然のことと思ったはずだ。RIZINでも2連続フィニッシュ勝利を飾ったが、その後は今回の試合まで1年4カ月の間隔があいた。
その間、アメリカ修行を敢行。元UFC王者のアレックス・ペレイラと練習し、世界トップレベルを体感してきた。またBreakingDown時代に比べて大幅に増量。食事の量も話題になっている。持って生まれた能力に頼っての勝利ではないのだ。
スダリオとの決勝戦は11月。「10回やったら10回勝てるんで」と強気だ。そう確信できるだけの勝ち方だったと言っていい。単に圧倒しての勝利ではなく、1ラウンド5分間に“攻防”をした上で倒したことも大きいのだろう。カーフキックへの対処など「ファイトIQが上がった」とエドポロ。
弟は、北海道日本ハムファイターズのエドポロケイン。フレッシュオールスターでMVPを獲得し、そのことが兄にも刺激になっている。
「切磋琢磨して、朝倉兄弟じゃないけどエドポロ兄弟を日本中に轟かせていきたいですね」
ちなみに出世争いでは「まだ俺が勝ってますよ。弟にはもっと頑張ってもらわなあかん」。
決勝では勝つことはもちろん“この選手ならヘビー級を背負っていける。海外の強豪とも渡り合える”とファンに思わせることができるかどうかも重要。UFCで通用するという声もある中、再度アメリカで練習するというエドポロがどれだけ成長するかに注目したい。
取材・文●橋本宗洋
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