
「彼だけ違う速度でプレーをしている」チェルシー戦を見た英国人記者が久保建英のパフォーマンスに驚嘆!「何より印象的だったのは…」【現地発】
8月15日、私はスタンフォード・ブリッジで開催されたチェルシーとレアル・ソシエダの親善試合を取材した。
この日のスタジアムは大きな盛り上がりを見せていた。チェルシーは今夏、オーストラリア、香港、インドネシア、マレーシアでプレシーズンツアーを行なった。このソシエダ戦は、新シーズン開幕前の唯一のホームゲーム。多くのファンにとって、新シーズン開幕前に今季のチームを生で見ることのできる貴重な一戦だった。
またチェルシーのシャビ・アロンソ新監督にとって、ホームのサポーターの前で指揮を執る最初のゲームだったのだ。しかも、対戦相手はレアル・ソシエダ。アロンソ監督がプロサッカー選手としてキャリアをスタートさせ、2019年にはBチームの監督として指導者人生を始めた古巣だ。
そんなソシエダの注目選手は日本代表MFの久保建英。この試合に先発出場して右サイドに入った。これまで久保のプレーを生で見る機会がほとんどなかった。まず目についたのは、守備への貢献だ。
積極的に後方へ戻り、自陣のペナルティエリア内では重要なインターセプトも披露。そのプレーがなければ、間違いなく失点していた場面だった。
一方の攻撃ではやはり違いを生み出す。巧みなテクニックからのクロスで味方の決定機を作り出した場面では、最終的にはチェルシーのGKロベルト・サンチェスのファインセーブに阻まれたが、久保の個人技には明らかな輝きがあった。
そして何より印象的だったのは、ボールを持った瞬間の期待感だ。久保がボールを持つと「何かが起こる」と感じさせられた。
私には、この日本人が他のチームメイトより一つ、二つ、先のことを考えているように見えた。明らかに彼だけが少し違う速度でサッカーをしているようだ。
攻撃の起点になろうとする久保の意図に、味方が追いついていないような場面も何度かあった。パスのタイミングや動き出しが噛み合わず、彼に謝るようなジェスチャーを見せるチームメイトもいた。
久保は63分までプレー。派手なゴールこそなかったものの、十分に存在感を示してスタジアムを後にした。
彼を「日本のメッシ」と呼ぶ声も少なくない。もちろん、この日のパフォーマンスだけでリオネル・メッシと比較するのは大げさかもしれない。それでも、ボールを持ったときの落ち着き、狭いスペースで相手をかわす技術、そして次のプレーを予測しているかのような判断力には、確かにメッシを思わせる部分があった。
ソシエダは1-3で敗れたが、久保が新シーズン、どんなプレーを見せるのか今から楽しみだ。
文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した
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