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「超速ラグビー」では勝てないのか――豪州2連戦で突きつけられた課題。W杯へ向けて問われる“辛抱強さ”

「超速ラグビー」では勝てないのか――豪州2連戦で突きつけられた課題。W杯へ向けて問われる“辛抱強さ”

課題が持ち越されたうえ、辛抱強さが必要だと再確認した。

 発足3季目となる第2次エディー・ジョーンズヘッドコーチ体制のラグビー日本代表が8月8、15日に挑んだのは、対オーストラリア代表2連戦。蒸し暑かった自国での初戦を32―35で落としたうえ、快適に映る相手国での80分は後半無得点で17―56と落とした。最終戦前の世界ランクで4つ上回る8位の相手に、2連敗した。
  顕在化した課題のひとつは、攻撃時の接点だ。

 特に2戦目の後半は、攻め続けながらも地上のボール争奪局面で屈したことが6回もあった。この試合を通じての「ターンオーバー獲得」は、日本代表の「4」に対してオーストラリア代表は「8」だ。『超速ラグビー』を旗印にフェーズを重ねたい日本代表にとって、向こうの地面の球へ絡むうまさは乗り越えたい壁だったのだが…。

 敗れたロックのハリー・ホッキングスは認める。

「たくさん取り組んできたところだったが、きょうはよくなかった。ボール保持者、クリーンアウト(相手を引きはがす役目)ともに、です」

 初戦でも孤立したランナーが絡まれ、球を失うことがあったが、2戦目のそれはやや様相が異なったような。そう指摘するのは齋藤直人。2試合を通じてハイテンポなさばき、好カバー、ロングキックで気を吐いたスクラムハーフである。

 試合直後の会見で、「ごめんなさい、まだスタッツ(統計を)見ていないですが」と前置きを繰り返しながら皮膚感覚を語る。ポジション柄、目と鼻の先で見た肉弾戦について、具体的なシーンを想起して述べた。

「僕の感覚ですけど、1試合目は明らかにサポートが遅くてスティールされましたが、今回はボールキャリアの周りにも人がいる状態でスティールされていた印象です。(変化させる点は)キャリアが(倒れる前に)もうワンアクション、ツーアクション、耐える…なのか、倒れた後に自分たちの側に(ボールを)向ける…なのか、はたまたサポートの問題なのか…。しっかり突き詰めないといけないです」

 ハイボールの争奪戦でも学ばされた。相手が蹴ってくる高い弾道のキックが、時間が経つにつれ向こうに確保されたのだ。

 2戦目では、前衛に入っていたウイングの選手が下がって捕る形が序盤こそ機能。しかしメンバーを入れ替えた後半には、形勢逆転を許してしまった。

 遠くからの走り込みとジャンプで捕球しようとする相手の勢いを、いかに身を挺して止められるかが鍵となりそう。齋藤は「自分は(役割上)競る側ではないですが」と申し訳なさそうにしつつ、リーダー格として「取り組み続けるしかない」と話した。
  ブリスベンでの大量失点で、組織としての辛抱強さも問われた。

 接点、空中戦で驚かされたほか、それまで問題のなかったラインアウトでも相手に競られ続けた。あらゆる攻防の起点で後手を踏んだことで、チームが求めるボール保持率を維持できなかった。その流れで相手の推進力を真に受け、たびたび自陣ゴール前で防戦一方となった。
  新興の日本代表が4年に1度のワールドカップで伝統的な列強国を倒すには、上位国相手のレッスンを通して辛抱強さを得なければならない。トライライン上で難局を迎える回数を減らしたり、その難局を乗り越えたりする、組織的な辛抱強さだ。それは2015年のイングランド大会、19年の日本大会で強豪を破った展開と、そこまでのプロセスに証明されている。

 現ナショナルチームは、改めてその無形の力を、いまのナショナルチームは掴もうとしている。24年に大幅に若返り、25年以降に大型の外国人選手を相次ぎスコッドに入れ、ジョーンズの言葉を借りれば「(ワールドカップ登録メンバー33名のうち)80パーセント強」を固めつつある現在、当確組のしぶとさを引き上げたうえで新戦力の台頭を模索すべきだ。

 今年代表デビューを果たした明大4年のスタンドオフの伊藤龍之介は、鋭利な走り、キックで気を吐く。圧力下で力を発揮できるプレーメーカーとあり、組織的な辛抱強さを引き上げるタレントのひとりとなりそうだ。

 その伊藤と司令塔団を組んできた齋藤は、今度の2戦目にあった波を生きた教材にしたいという。

「今日は前半をリードして終えられる可能性があったなかで簡単にスコアされ(前半39分に失点)、後半も早めに(11分)トライを奪われた。そういったところは、モメンタム(全体の流れ)が要因のひとつです。自分たちがそういう傾向にあるので(意識的に改善したい)」

 このほどホッキングスは、生まれ育った大地で母国と戦う初めての経験をした。「とにかく悔しい気持ちでいっぱいで、そのこと(感慨)はあまり振り返られません。ただ、いずれいい思い出になるのかなと思っています。いまはとにかく、挙がった修正点をどう改善するかにフォーカスします」と話した。

 次の代表戦は9月に新潟である。向こう2試合で格下と対峙するなか、スタイルの再定着と自信の回復に努めたい。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

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配信元: THE DIGEST

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