1993年のスタートから34年目で初となる夏開幕となったサッカーJリーグが大盛況だ。2節続けて観客動員ではJ1、J2、J3の全カテゴリーで1節あたりの最多入場者数を更新するロケットスタートとなった。
J1開幕節では、1試合平均観客動員数が初めて3万人を突破(3万429人)。長年の悲願だった、プロ野球に並ぶ観客動員に成功した。実はこれには、秘かに取り組んできた「カラクリ」がある。
史上初となる夏開幕となった今季のJリーグでは、新規顧客を取り組むために「開幕招待キャンペーン」と題して、全国で22万枚(抽選)の大規模無料招待を行った。
Jリーグ開幕時は「クラブの経営を圧迫する無料券のバラ撒きだけはやめよう」と御法度だったが、2023年春のJリーグ誕生30周年企画として、全国無料キャンペーンをスタートさせている。
開幕前年の1992年に実施された「ヤマザキナビスコカップ」から、観客動員に関しては概算で発表していたプロ野球にならわず、厳格な「実数」カウントにこだわってきた。今季ももちろん、これを続けている。
「有料、無料の区別をしていないのが特徴です。入場料金が発生しない、膝上観戦をする未就学児もカウントされるルールがあります」(サッカー担当記者)
とにかくスタジアムに来てもらいたい一心で無料キャンペーンにこだわったのは、将来的な事業収入の拡大という狙いがあるからだ。Jリーグ関係者が明かす。
「仮にチケット収入が減ってもスタジアムに来てもらえれば、飲食やユニフォームなどのグッズ収入よるマージンがあり、金額はある程度、計算できる。多くの公共交通機関の利用もあります」
三菱UFJやユニクロなどの大企業がこぞってスポンサー参入
観客動員が増えれば、テレビ中継などでの「見栄え」がよくなる。Jリーグ本体の経常利益(売り上げ)は昨年度の決算(今年5月発表)が、346億円という過去最高額を突破した。今季で4年目を迎える無料券配布の効果は絶大で、放映権や協賛スポンサーが大幅に増えている。
「三菱UFJやユニクロなどの大企業もこぞって、Jリーグスポンサーとして参入しています。協賛したい企業はあとを絶ちません」(前出・Jリーグ関係者)
無料チケットキャンペーンは、多くの相乗効果を生んでいるようだ。
無料チケットの発券においては、基本的には「JリーグID」の登録を必須にしており、合法的な個人データ収集により、今後の観客動員に向けた施策に活用できる。
もちろん懸案事項はあり、そのひとつが今季もピッチ上で顔と名前が一致しない選手ばかり、というものだ。Jリーグではスター選手の不在も継続中である。
(小田龍司)

