
俳優、アーティスト、タレント。
多くの人から見られる仕事には、ステージやカメラの前で見せる「仕事の顔」と、誰にも見せない「素顔」がある。
そんな二つの顔の間に恋愛を置くと、「好きな相手は、本当の自分をどこまで知っているのか」という問いが生まれる。
今回は、芸能界を舞台に、表向きの姿と本当の気持ちの間で関係が動いていくBL作品を3作紹介する。
■ 人気アーティストと大学生、二つの顔を持つ『秘密の輪舞曲』
YouTubeで公開されているオリジナルBLアニメ『秘密の輪舞曲(ロンド)/Secret Rondo』の主人公・朝倉悠真は、大学生活を送る一方で、人気アーティスト・MINATOとして活動している。
MINATOは本名や学校、私生活を明かさないアーティスト。
そのため悠真は、ステージではウィッグや衣装を身につけ、普段とは異なる姿で活動している。
そんな悠真と偶然に素顔のまま知り合うのが、MINATOのスポンサーでもある年上の実業家アレッサンドロ・ロッシだ。
ロッシは「朝倉悠真」と「MINATO」が同じ人物だとは知らない。
悠真としてなら自然に話せる。美術館を一緒に歩き、音楽について語り、イタリアフェアでは食べ物を味わいながら笑うこともできる。
8月14日に公開された第5話では、ロッシと過ごすデパートでの時間を、悠真が「小さな旅」のように感じていく。
しかし二人の距離が近づくほど、「MINATOであることを言えない」という秘密も大きくなる。
仕事の顔を守ることと、好きな人に本当の自分を知ってもらうこと。その二つが同時には成立しにくいところに、この作品の恋愛の緊張感がある。
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■ “役作りの恋人”から本当の気持ちへ『25時、赤坂で』
夏野寛子のBLコミックを実写ドラマ化した『25時、赤坂で』は、芸能界で活動する俳優同士の恋を描く作品。
人気俳優・羽山麻水と、新人俳優・白崎由岐は、BLドラマで共演することになる。
白崎が役作りに悩む中、二人は撮影期間中だけの「恋人関係」を結ぶことになる。
つまり二人には最初から、「演技としての恋」と「現実の感情」という二重構造がある。
カメラの前では恋人を演じ、そのために私生活でも恋人のように過ごす。では、そこで生まれた気持ちは役なのか、それとも本人のものなのか。
芸能界という舞台だからこそ、「演じているうちに本当になってしまう」という境界の曖昧さが恋愛そのものになる作品だ。
2025年には、恋人となった二人のその後を描くSeason2も放送された。
■ 世間が決めたイメージの外側へ『抱かれたい男1位に脅されています。』
TVアニメ『抱かれたい男1位に脅されています。』も、芸能界そのものが二人の関係に深く関わるBL作品だ。
5年連続で「抱かれたい男1位」だったベテラン俳優・西條高人。その座を奪ったのが、新人俳優の東谷准太だった。
芸能界で競う二人というところから物語が始まり、公の評価や人気とは別の場所で二人の関係が変化していく。
「抱かれたい男1位」という肩書き自体が、世間から見た人物像を象徴しているのも特徴的だ。
人気、キャリア、イメージ。多くの人に見られる立場だからこそ、二人だけの関係と外から見える関係には大きな差が生まれる。
■ “見られる仕事”だから生まれるBLの緊張感
『秘密の輪舞曲』では、MINATOという存在そのものが悠真の素顔を覆っている。
『25時、赤坂で』では、役として演じる恋と現実の恋が重なる。
『抱かれたい男1位に脅されています。』では、世間から与えられた人気やイメージの裏側で関係が変わっていく。
形は違っても、3作品に共通しているのは、「誰から見た自分なのか」によって人物の姿が変わることだ。
たくさんの人から見られる仕事をしているからこそ、一人の相手にだけは本当の自分を見てほしい。
芸能界BLには、そんな公の顔と私的な感情の距離を、恋愛そのものとして描ける面白さがある。
