政界再編であぶれた旧立憲民主党の国会議員や前議員たちが、新たな互助会を立ち上げる。新政治団体の名称は「護憲リベラル共生」、略称はなんと「ゴリラ」だ。8月19日に設立の記者会見を行う。
設立趣旨によると、この風変わりな略称は「Goken Liberal」の一部を取り、「力強く、地に足をつけて平和を守る」という意味も込めたという。ゴ(GO)リ(Li)ラ(ra)だそうだ。
中道改革連合の川内博史前衆院議員が名を連ねているが、離合集散の末にどこからも声がかからず行き場を失った議員たちが、窮余の策としてウケ狙いのネーミングに走ったようにしか見えない。
彼らが掲げる基本政策の中身を見れば、そのガラパゴスぶりは一目瞭然だ。まず「憲法9条を1項及び2項も堅持」し、自衛隊の集団的自衛権に基づく武力の行使を認めないと声高に主張している。
さらに「アベノミクスを克服」するとして「逆進性の高い消費税の見直し」をブチ上げている。その一方で「財源なき消費税(率)の引き下げが社会保障や地方財源の削減となることは認めない」とも記しており、いったい税率を引き下げるのかどうかは不明だ。
エネルギー政策に至っては、原発を「一日も早く終わらせていくべき」とし、化石燃料から脱却して再生エネルギーを最大限普及させると主張している。
外交・安全保障面でも、辺野古新基地建設に象徴される安全保障からの脱却や、日米地位協定の見直しを掲げている。
自民党閣僚経験者がコキ下ろし「非現実的な夢物語が満載」
設立宣言では「世界が今、第二次世界大戦後最大の恐怖と欠乏の危機に瀕している」「専制と隷従、圧迫と偏狭が支配する弱肉強食の社会に向かう」と警鐘を鳴らすも、「私達は、憲法を変えて軍事に偏重し国民を管理する社会ではなく、国政の福利を全て国民が享受する自由な社会を目指します」と宣言した。
全体としてはかつての「革新政党」が擦り倒してきた、手垢のついたスローガンのオンパレードだ。自民党閣僚経験者は、
「万年野党による非現実的な夢物語が満載」
とコキ下ろす。
そもそもなぜ略称を「ゴリラ」にしたのか。有権者の政治離れが進む中で「知ってもらう」ことを優先したとみられる。「ゴリラ」という名前ならば、知名度を獲得するスタートダッシュとしては絶大な効果があるからだ。
一方で、奇をてらった名称は「ウケ狙いの軽い集まり」「真剣さに欠ける」と受け取られるリスクが高い。特に彼らの支持層となりうる真面目なリベラル層からは、反発を招くおそれがある。
「平和な『共生社会』を作る」と高らかに謳う彼らだが、まずは自分たちが弱肉強食の政界の波に飲み込まれず、生き残り・共生できるのかが最大の課題だろう。誰にも見向きもされず身内同士で毛づくろいをして終わるのか。失笑交じりの視線が注がれる中で、行き場のない彼らのサバイバル劇がひっそりと幕を開ける。
(岡田哲司/政治ジャーナリスト)

