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今夏、ウェンバンヤマが選んだ異色のトレーニングは“ラグビー”「潜在能力をできるだけ引き出したい」<DUNKSHOOT>

今夏、ウェンバンヤマが選んだ異色のトレーニングは“ラグビー”「潜在能力をできるだけ引き出したい」<DUNKSHOOT>

昨年の少林寺での修行に続き、ヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)は今オフも異色のトレーニングに取り組んだ。彼が今年選んだのは、”ラグビー”だった。

 現在のウェンバンヤマは、8月16日からスタートしたフランス代表合宿中だが、その前週、彼は南フランスに滞在し、エクス・アン・プロヴァンスにあるラグビーチーム、プロヴァンスラグビーのトレーニングに参加した。

 この練習参加はただの思いつきではなく、4月に公開された『ESPN』とのインタビューでも、
「今年のオフにはラグビーチームの練習に参加してみたい」と構想を明かしており、今回の目的も、身体能力のさらなる向上にあった。

 昨年の少林寺での修行について、ウェンビーは次のように語っていた。

「今の自分には身体的にできないことがまだあるんじゃないか、と考えていた。まだ発達させられる部分があるんじゃないかと。自分の身体を、なり得る状態にできる限り近づけて、潜在能力をできるだけ引き出すこと。それは僕にとって、ずっと重要な課題になっているんだ」

 そして今回のラグビーチームでのトレーニングも、その延長線上にあった。

「ラグビーには、(バスケと)似た動きのパターンがある。僕の身体が普段やっていないような動きだから、それを身につけることで、バスケットボールのプレーに応用できる可能性があると感じていて、そこにもの凄く興味を持っているんだ」
  今回の練習参加は、プロヴァンスラグビーのフィジカルコーチがウェンバンヤマのスタッフとつながりがあったことで実現した。ウェンバンヤマのパーソナルコーチであり、2023年10月にサンアントニオ・スパーズのスタッフに就任したギヨーム・アルキエも、かつてフランスでラグビーチームのフィジカルコーチを務めていた経歴を持つ。

 現在、プロヴァンスラグビーでスポーツ・ダイレクターを務めるのは、元フランス代表のウイングで、引退後はフランス代表監督も務めたフィリップ・サンタンドレ。彼が『RMCスポーツ』に語ったところによれば、ウェンバンヤマはチームの選手たちに混ざって、タックル、リフトといったラグビーならではの練習にも参加した。

「ラグビーについてよく知る彼のフィジカルコーチと一緒に、月曜日と水曜日の2回のトレーニングを準備した。目的の一つは、彼をコンフォートゾーンから抜け出させて、別の競技を体験してもらうこと。ラインアウトに参加したり、リフトの練習もした。タックルバッグを使ったタックルの練習も行った」。

 224cm、107kgの彼を持ち上げるのは容易ではなさそうだが、彼がラインアウトでジャンパーを務めたら、かなりの確率でボールを奪えそうだ。

「ヴィクターはあらゆることを難なくこなしていた。彼の器用さ、身体の使い方には驚かされた。あれだけのサイズがありながら、驚くほど身体のコーディネーションがうまくて、巧みさがある。本当に感心したよ」 しかしそれ以上にサンタンドレが感心したのは、ウェンバンヤマの人間性だった。

 ラグビーについて深く知ろうと積極的に質問し、物事の考え方や視野も広い。そして何より、NBAを代表するスター選手という地位にありながら、謙虚で気取らない。彼だけでなく、彼をサポートしているスタッフ全員が同じように気取りのない謙虚な人たちだったことにも「この世界では珍しいことで感銘を受けた」とフランスラグビー界の重鎮は語っている。

 ウェンバンヤマはチームの選手、スタッフたちにすっかり溶け込み、彼らが記念に購入した大量のスパーズユニフォームにサインしたり、多くの時間をともに過ごしたそうで、本来は予定されていなかった練習試合の観戦にも姉と一緒に足を運んだ。
 
 今回のウェンビーの練習参加は極秘プロジェクトで、クラブ関係者一同には箝口令が敷かれていたそうだが、この観戦に訪れたことで、一般の人たちにも知られることになったのだった。
  ちなみに、このトレーニングセッションには、スパーズの同僚ハリソン・バーンズも同行していた。ラグビーがそれほどメジャーでないアメリカ出身のバーンズにとっても、貴重な経験になったことだろう。

 今週からはウェンバンヤマはフランス代表の合宿に合流して、W杯予選に備える。チームは20日にベオグラード、23日にフランスのオルレアンでニコラ・ヨキッチ擁するセルビアと2連戦の練習試合を行ない、27日にホームでスロベニア、30日に敵地でスウェーデンと対戦する。

「“活動の多い夏だった”というより、“活動の多い1年だった”。だから夏の間は、できる限り日常から切り離すようにしていた。それは、いろいろな人たちから学ぶ、といったこれまでの経験と同じように、僕の助けになっている。

 スパーズのチームメートたちがパリに来てくれたことも、長期的な結束をチームに築く意味ですごく良かった。人生の中で学ぶことは、すべて自分の役に立っていると感じるよ」

 彼が様々なことを学び、経験することを己の糧にしているように、そんな彼の姿勢が、多くの人を刺激している。プロバスケットボール選手の枠にとどまらないウェンビーの生き様は、ますますスケール感を増しているようだ。

文●小川由紀子

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配信元: THE DIGEST

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